FC2ブログ

目次一覧はこちら

……タイッ!?_32

ミエナイ、ナニモミエナイ

「診てっていっても見るんじゃないぞ。恥ずかしいから目隠ししてな……」
 綾はアイスノンを巻いていた長めのタオルを解き、紀夫の頭に巻きつける。
「ちょ、息が出来ない……ってか、これで何を見るのさ?」
「いや、その、匂い? あたしの匂いを嗅いで判断してくれないか?」
「え?」
「や、やっぱ変だよな。悪い。忘れてくれ……」
「あ、そうじゃなくて、俺でいいの?」
 どこの匂いを嗅ぐかは示されていないが話の流れからすれば……。ただ、自分で
「ん、本当は嫌だ。けど、他の男子に頼めることでもないだろ。ってかお前はマネージャーなんだし、いいかなって思って……」
 マネージャーという立場は男子と女子の中間に位置するのだろうか? それでも信用をしてもらえているのだろうと解釈し、頷くことにする。
「目、隠せよ」
「う、うん」
 タオルで包むといっても布地が粗く、薄ぼんやりとだが綾の輪郭が透けて見える。
「えっと、まずはここ……あ、そうだ。その前に、ちゃんと言ってくれよ? いい匂いとか誤魔化されてもいい気分じゃないし……」
 右腕を上げる綾のシルエットに近づきながら、鼻をひくつかせること数回。
 汗が乾いたのか、ツンとする匂いがたち、草むらのような匂いがする。雨上がりの山道の匂いを薄めたというべきか、そこまで良い匂いでも無い。
「どうかな?」
「ん、そうだねえ、汗かな、匂いがするよ。あと、お日様の匂いっていうのかな? ちょっと変かも? でもあんまり強くない。近づかないと分かんないよ」
 本人の希望通り率直に答えると、綾は目線を下げて「やっぱり」と頷く。けれど取り乱す様子もなく、むしろ期待していた答えが聞けたことに安堵しているようにも見える。
「そうか……んじゃ……あ、でも脚を嗅がせるのは悪いな……はは」
 タオルケットからはみ出る脚とくるぶしを隠さない靴下を捲りながら笑う綾。彼女の笑顔を見たことがない紀夫は目隠しをしているのが残念に思えてならない。
「別に、いいよ……。大丈夫。うん。マネージャーだし、それぐらい……」
「そ、そうか? お前って変な趣味あるとかじゃないよな?」
「別に無いよ。けど、日吉さんの脚って長いし、綺麗でスベスベしてるから……」
「まあな。自慢の脚だし……」
 長身モデル体型の綾の脚は長く、無駄毛一つ無い理想的なモノ。日に焼けているのが惜しいものの、春頃に見た生足は今も覚えている。
「里美とどっちが綺麗?」
「イジワルだな」
「どっち?」
 上擦った感じの試す聞き方に窮してしまうが、今は里美もいない。率直な意見、大方の視線を参考にすれば、
「間違いなく綾さん」
「へー、言うね。ふふん、まあそうだろうな。てか、はは、嬉しいかも……」
 小声になる綾を前に胸がきゅっと締め付けられるのを感じる。普段クールどころか他人を寄せ付けない彼女の少女らしい仕草のギャップに騙されるのが悔しいが、今の綾に冷静さを保てるか自信も無い。
「……里美とはどうだったの? したんだろ? エッチ」
「里美さんは……」
「脚、触ったんだろ? 舐めた? キスした?」
「いや、だから……」
「あたしの触ってみる? いいぞ。特別な……。あ、でも匂い……嫌じゃなかったらだけど……」
 体育座りを解き、右足を前に出す綾。左足はタオルケットに隠したままなのが残念だが、目隠ししたままではそう変わらない。
 二十九度に設定されたエアコンはあまり賢くないらしく、主の周りだけに風を送っており、カーテンで囲われたベッドは二人の熱気が混ざり合い、蒸し暑い。
「綾の……脚……」
 右のひとさし指でそっと触れる。小さく「ん」と聞こえた。
「スベスベしてる……」
 中指を滑らせ、手の平で感じる。目隠しをずらして間近で拝みたい気持ちがあるもぐっと堪え、代わりに鼻をわざとらしく大げさにヒクヒクさせる。
「綾の匂い……、ふぅ……なんか、変……俺……なんかなあ……」
「お、おい?」
「ゴメン……ちゅっ……」
 乾いた唇をそっと押し付け、唇で噛むこと数回。
「ん、お、おい……あ、なんなの? 馬鹿、やめろよ……」
「こうすると、綾の匂いがわかる気がして……」
 じたばたしだす脚を両手で押さえ、下唇をナメクジのように這わせる。
 口腔内から溢れてきた粘液質の唾液がこぼれ、モデル並みの脚を汚し始める。
「……ん、くぅ……っ!」
 脚を退くと背中が壁に当たる。その反動でベッドが揺れ、滑車がキィと音を立てる。
「おい、やめろ、もういい。分ったよ。あたしは別に変じゃないから……」
「何聞いてたのさ? 俺は変だって言ったんだけど?」
「な、馬鹿……そんな、誰も舐めろなんて……」
「綾の汗を舐めるとなんか不思議な匂いがするんだ……、ぼうっとするような、でも、すごくはっきりと……綾のこと、わかる気がする」
「わかる? あたしを?」
「今はまだわからない。けど、もう少し続けたら、もっと、綾のこと……」
 膝の皿を弄り、太腿の外側を撫でる。
 何故こうも大胆に彼女を求めてしまうのか彼自身不思議であった。
 理恵にお預けを喰らったから? それとも裕子の余計な一言。もしくは不完全な密室での二人きり。熱のこもった今、この瞬間のせい……。
「はむ……ちゅ、れろ……」
 裏側を撫でると拒まれる。なのに、表から回って内側を弄ると……。
「ん、んぅ……あはぁ……」
 甘美なため息を漏らし、抵抗をしない。それどころか左足を楽にしだし、靴下を放り投げる。
「なぁ、約束だぞ。足も……な?」
「うん……」
 一旦身体を退き、手探りでくるぶしを目指す紀夫。本当は薄く見通せるのだが、さすりながらの方が気持ち、嬉しかった。
「綾の足……」
 糸くずのようなものをはらい、指の隙間に指を差し込む。湿った感じと汗の凝集した匂いに面食らうものの、蹴飛ばされること覚悟で親指を口に含む。
「あん、馬鹿! そんな、いきなり……」
 びくりと震えた彼女の足は逃げようとするが、即座にそれを押さえつける。
 遠めに綾がベッドの手すりを掴むのが見えた。彼女は二の腕で口元を隠し、たまに背を丸める仕草をしていた。
「綾の足、臭い……けど」
 指の隙間の埃を取り除き、汗とも垢ともつかない汚れにすらひるまずに舌を
「けど?」
「俺、変なのかな? やめられない……」
 自慢の足と言うだけあって入念に手入れをされている足は角質も目立たず、ほのかな酸味と塩気をくれる。
 そして興奮。
 自らの行為を冷静に考えればそれは不自然でおよそ睦みあう行動と言いがたい。むしろ奉仕する関係……。
「あ、ん……」
 傍にあった枕を抱きしめて声を押し殺す綾。そのくせ愛撫を求めようとつま先を差し出して裏を見せる。
「へろ……ん、ちゅぱ……はむ……」
 タオルで目隠しされたまま、差し出される足にすがりつき舌を這わせる自分。客観的に見る術がないことに安堵しながら、彼女の望むままに淫行を続けた……。
「な、なぁ……なぁ、あのさ、目、見えないよな……」
 おぼろげながら彼女の姿は見えている。だが、余計なことを言えば彼女の信頼を失うことに……。
「うん」
 既に目的と希望を混同している紀夫はただ頷くのみ。
 この状況での新たなお願いなど……。
「じゃあさ、もう一つ頼みたいところがある……かも。あのさ、嫌ならやめてもいいからな。ほんと、やめてもいいから……」
「うん?」
「えっと、脇? だぞ、脇。えっと、もう一回さ、臭いを嗅いで……」
 脇を強調するくせに綾は何故か中腰になり、短パンを下ろし始める。
「綾?」
「えっと、なんか汗かいてきたし、もしかしたらそれがあたしの臭いの原因かもしれないし……、ほんと悪いな、でも頼む……」
 ピンクの布地と黒のフリフリのついたショーツが目の前に落ちるのを、紀夫は気付かれないように目で追っていた。
 膝を立ててМの字に開脚する綾の表情は、繊維の隙間から目を凝らしても見えそうに無い。
「うん。いいよ……」
 善意ではなく、マネージャーでもなく、ただ男として……。

続き

Trackback

Trackback URL
http://13koharu.blog73.fc2.com/tb.php/102-218aa116

Comment

Comment Form
公開設定

プロフィール

小春十三

Author:小春十三
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ

創作検索ぴあすねっとNAVI
dabundoumei
trt
オンライン小説/ネット小説検索・ランキング-HONなび  
リンク予定


二次元世界の調教師様のサイトです。



無料アクセス解析