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……タイッ!?_34

誘惑

 ――ん、んう……んむぅ、ああ、キス、しちゃってる。あたし、マネージャーなんかと……なんで? なんでこうなったの?
 唇を塞がれると息が出来ない。こういう時に限って鼻がつまり、息苦しくなる。かといって今唇を離すのは例え呼吸の為であっても負けた気持ちになる。
 ――あたしの方が上手だし、進んでる。
 そんな矜持が彼女の後退という選択肢をさせず、状況的に不利な睦み合いに身を差し出すことになった。
「あ、ん、ちゅ、あむ……」
 舌を突き出して男を求めるのは去年処女を上げた相手で練習済み。
 彼の名は意識的に思い出さないようにしている。
 お互い好きだったままで、かつ、セックスのそれさえなければ今も上手く行っていたはず。とはいえ、紀夫の言う通り体質の問題ならいつかは別れる結末かもしれない。それともどちらかが大人になれば、それなりの解決策も模索できたのかもしれない。
 そういう「かもしれない」と思う自分が惨めで嫌いだった。
 同情されたりするのが嫌い。
 自分のことをささやかれるのが嫌い。
 弱み、欠点を見せたくない。
 常に完璧でありたい。
 常に周囲から一目置かれていた彼女ならではの弱点。
 悲劇なのは彼女がそれを自覚していないことで、今まではそれを努力でカバーしてきた。
 しかし、体臭とそれにまつわる余計な悩みを克服できず、彼女は他と交わることを避けてしまった。
 なのに、
「あ……ずるい、弄りながキスするなあ……」
 下半身の女子の特徴、卑猥な水音と汁をこぼす陰唇はそう親しくないはずの男子に成り行き任せのまま弄られ、快感を与えられていた。
 二本の指がバタ足をするかのように蠢くと、快感を知っているせいか余すことなく反応してしまう。
 背筋に走る甘い電流に幾度と無く恥ずかしい声を漏らす自分。
 運動も出来ないガリベン男子。常に同級生のお尻を追い回しているイメージの紀夫に言いように弄ばれるのが悔しかった。
「綾、もっとキス……」
 何故に彼は自分を呼び捨てにするのか?
 前の彼氏ですら「さん」をとるのに三ヶ月かかった。キスは四ヶ月。セックスはさらに二ヶ月かかったというのに、この男子はものの数十分で侵略してきた。
「お前、ずるいぞ……んぁあふぅ……ふわぁ……」
 それとも自分が淫乱なのだろうか?
 そもそもどうして秘裂の匂いを嗅がせるようなことをしたのか?
 単純な好奇心。他人の悩みを聞きますなどと言う偉そうな男子に対するイタズラ……?
「ん、あ、はぁ、な、なあ、もうやめよ、もう駄目。ありがと紀夫、あたし、自信もてたから……だから……ひゃ、うぅ! ……ん、くぅ……」
 全身を電流が走ったと思うと、綾は数秒間呼吸が出来なくなる。
「う、あ、うぅん……」
 ひちゃぷちゅ……と遠くで音がする。蜜の奥を弄る指は弛緩させたあともイタズラをやめてくれず、浮かぶ身体を押し上げていた。
 シーツに指を立て、ぎゅっと掴む。背筋を丸めて何かに耐えようとするも、やわらかい唇がじゅるると這うと、反射的に背筋が伸びて頭を壁にぶつけてしまう。
「い、イタタ……」
「大丈夫。綾?」
「お前のせいだろ……んもう……」
 ――この痛みも快楽も全てこいつのせい。なのにそいつは体を起こし、頭を撫でてくる。しかも「いたいのいたいのとんでけ」だって、馬鹿じゃない? まあ、いいけどさ……。
 おまじないが効いたのか頭部はそこまで痛まない。ただ、心臓の音が収まるのはしばらく先のこと。

**――**

「……どうすんだよ、これ……」
 ベッドのシーツには小さなシミが出来ていた。
 目の前の綾はあくびをするように伸びをしており、たまに自分の愛液が濡らした箇所を指で擦る。
「すぐ乾くさ」
「色、残るかもな」
「なら洗濯してくるよ」
 今日ぐらいの天気なら一時間もしないで乾くだろう。紀夫は早速シーツを取り替えようと棚を探り始める。
「あ、おい、先生の机」
「ん? なに? どうかしたの」
「三番目、あ、二番目かな? ちょっと開けてみろよ」
 何のことだろうと訝りながらも言われるまま引き出しを開ける。
 性格の割りに整頓された中身はノートと資料がいくつか。それに横文字のある白い箱があった。
「なんか箱ない? 投げて」
「うん」
 箱が何であるのかは不明だが、ここは元女子校の保健室。生理用品などだろうと思い、軽く放り投げる。
「サンキュ……」
 紀夫は棚を調べるのに戻る。新品のタオルやガーゼ、絆創膏があるが、肝心のシーツが見つからない。部屋の隅の本棚の辺りを見てようやく見つかった。
 保健室のベッドは三つ。一つだけ剥がされていると気付かれるかもと思い三つ取る。他の二つのシーツも交換しておけば、気の利く生徒のお手伝いといい訳ができるし、ごまかしやすいというもの。
 紀夫は最近の自分を冴えてると思いつつ、アリバイ作りを行った。
「なあ、どうすんだ?」
「え? ああ、大丈夫。上手くやるよ」
「違うよ。こっち……」
 二つのシーツを替え終わり、いざ鎌倉へとカーテンを開けると、ベッドの中央で胡坐をかく綾がいた。しかもまだショーツを穿いておらず、視線に困る格好。
「な、綾さん……」
「綾でいいよ。っていうか、あたしのこと、どうすんの? まさかコレでおしまいとかいわないな?」
 白い箱から正方形の包みを取り出して、ピリリと破る綾。中からは最近お世話になったことのある薄い膜が出てきた。
「人のアソコ弄んでおいて、しかもごにょごにょして……」
「綾、満足できなかった?」
 驕りと思いつつも自分はクンニリングスと指での行為、それにキスで彼女を絶頂に導いた自負がある。
「あのさあ、お前のせいであたしのアソコ、まだクチュクチュしてるんだよ。奥もなんかむず痒いし、っていうか、お前の指、短いんだよ。だからイイトコまでとどかなくって……」
「うん、うん、それで……」
 鼻の頭に例のきな臭さがよぎる。興奮で血管が膨れ上がり息もしづらくなる。
「あたしが言わないと駄目か? 結構イジワルなんだな……」
 枕にドスンと倒れこむ彼女は、脚をMの字に開いて彼を誘っていた……。

続く

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