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……タイッ!?_36

ウチトケレバ……

 抱擁をといたのは綾のほうから。紀夫がイタズラ心をだして彼女の耳朶を噛んだのが原因だ。
「調子乗りすぎだって……」
 ひっぱたかれることこそなかったものの、ヤンワリと胸を押す手の平が切なかった。
「綾?」
「ん、なんだよ」
 といってもそれは彼女なりの照れ隠しなのかもしれない。どういうわけか陸上部のエースは癖が強く、自分の感情にフィルターをかけてしまうらしい。
「気持ちよかったから……もう少し……」
 肩口に手を差し出すと握り返され、それでもピロートークを拒まれる。
「あたし、ベタベタするの苦手だし……」
「俺は好きだけどな……」
 懲りずに彼女のわき腹に手を伸ばす。
「あはは、くすぐったいって……」
「だって綾がさ……」
「駄目だって、もう先生帰ってくるかもしれないし、他の皆に知られたら大変だっつうの」
「あっ!」
 行為を終えてまだまどろみの中にある紀夫もようやく部活を中座していたことを思い出す。もちろん綾の看病といえば理由もたつ。実際擁護教員の裕子がいないのだ。もしものことがあった場合、自分がそれを……。その結果が何故セックスになったのかは別として。
「あーあ、ベトベト……なあ、あたしこのまま帰るわ。つか、皆にあわす顔無いよ……」
 はははと笑う綾はシーツを剥がして紀夫に放る。
「うん。言っとくよ。でも綾、あのさあ……部活でも、もう少しうちとけてくれないかな……?」
「ああ、わかってる」
 綾は紀夫の頭を抱き寄せると耳たぶを痛い程度に噛み、
「あたしは変じゃないもん……」
「うん……」
 それだけ言うと綾はブラとショーツを正し、名残惜しそうに愛液の糸が伸びる結合部を「んくっ……」と呟きながら離し、身支度を整え始める。
 天高く上った陽射しがブラインドの隙間から差し込み、カーテンを開けると目が痛かった。
 センスの悪いジャージを穿きなおし、例の箱を元に戻すと、綾は手を合わせて「さき帰る」と舌を出して笑っている。紀夫は「まかせて」と手を振ると、彼女は元気良く廊下を走って行った。
 ――シーツ三枚、今から回せば帰る前には……。
 証拠隠滅に奔走する紀夫には、駆け出す音が歪な和音になっていることに気づけなかった……。

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