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僕とあたしの海辺の事件慕_06

オトメ心と夏の海!

▼▽――△▲

 夕飯までの間、澪達は御前海岸へと繰り出した。

「ふぁー、きんもちいー!」

 潮風を頬に受けると、太陽の陽射しすら心地よい熱さになる。
 今年の夏は着ることも無いと封印していた黄色のセパレートに身を包む澪は、腰にハイビスカスが描かれたパレオを巻いていた。

「あら、可愛らしい水着ね」

 パーカーを着たままの理恵はサングラスをしながら日焼け止めを両足に塗っている。

「ふふーん。どうです? 結構がんばったと思いません?」

 腰と頭に手を当て若干古臭いグラビアのポーズを決める澪を、何か微笑ましいものとばかりに見つめる理恵。

「ねえ、澪ちゃん、背中に塗るの手伝ってくれない?」
「はい、いいですよ」

 シートに寝そべる理恵がパーカーを脱ぎ捨てると、紐と申し訳程度の布地が大切な部分を隠すというハイビキニが顔を出す。

「うわあ、理恵さん刺激的……。っていうか、女のあたしでもドキドキしちゃいます……」

 紫の布地には蝶の刺繍が施してあり、スレンダーで長身だからこそ似合うというもの。
 コレでは力を入れたつもりの澪もまるでお子様の域に留まり、ちょっとだけ後悔の念が出てきた。
 オイルを手に塗り、丹念に伸ばす。

「理恵さんの肌、スベスベ……」
「んー、そう? 自分じゃわかんないわ……」

 赤ん坊の肌といえば言いすぎだが、それでもしっとりとした手触りと、指が吸い込む感覚が楽しかった。

 ――真琴のお尻もこんなんだったな……。

 逃げ惑う彼にしがみ付き、ちょっとだけ爪を立てた。柔らかいそれには赤い筋が走り、すこし気の毒でもあったのを覚えている。

「そういえば真琴君は?」
「えっと、ちょっと買い物に行ってもらってて……あ、来た」

 ジュースのパックとイカのポッポ焼き、焼きそばのトレイを重ね持つ彼はバランスを取ろうともたもた歩いている。

「遅いぞ、早くこーい!」
「待ってよ~……」

 急ぎ足になるも、目の前をチョロチョロ動く子供達に道を阻まれ、何度となく立ち往生。
 澪は仕方なく受け取りに行くことにした。

◆◇――◇◆

「澪、その水着は?」
「どう? 似合う?」

 黄色のセパレートの水着は露出面積こそ少ないものの、身体にぴちっと張り付き、そのラインを見せてくれた。胸にそれほどボリュームがないものの、ついこないだより気持ち大きくなっており、凝視する自分がいた。

「エッチ、どこ見てるのよ?」

 胸元を手で隠す澪に真琴は照れた様子で頭を掻く。

「ゴメン。その魅力的だから……」
「うふふ、真琴君はエッチな子だからね……」

 ムクリと起き上がる理恵はこれまた煽情的なビキニ姿で、D程度の胸と柔らかそうなお尻、控えめなオヘソと日焼け止めが太陽の光できらめいていた。

「理恵さ……ん」

 唾を飲みこみ、目を伏せるも、学校指定の紺色の水着がゆっくりとむっくり起き上がるのが切なかった。

「あらあら、真琴君どうしたの? 腰が引けてるわよ?」

 ――知ってるくせに……。

「もう、馬鹿なんだから!」
「でも、澪も可愛いよ……」
「何が可愛いよ、よ・っていうか「も」ってなによ! 「も」って!」

 明らかに間違った言葉選びの仕打ちは両頬を抓られ、ぐりぐりとねじられることだった。

「い、痛いよ澪……ごめんってばあ~」
「もう、節操なし、スケベ! 変態!」

 その後、真琴の頬が真っ赤にはれ上がったのは言うまでも無い。

***

「そーれっ!」

 レンタルしたビーチボールを天高く打ち出す理恵。

「はい!」

 澪は水しぶきを上げながら落下地点へ走り、真琴のほうへ向ってトス。

「うわぁあっと……」

 深みに足をとられた真琴は倒れ気味にレシーブ。ビーチボールは理恵の胸元へと上がるも、彼自身はそのまま海中へダイブ。

「あはは、真琴君、それ! アタック!」

 理恵は倒れた真琴に容赦なくボールをぶつけ、指をさして笑う。

「真琴ってばだらしないわね~、ほら立って……」

 海水をぺっぺっと吐く真琴に手を貸し、ボールを掲げて再開を促す。
 理恵は高い球を容赦なくアタックし、今度は澪が尻餅をつく。

「あっはっは、そーれ!」
「もう、理恵さんったら! 真琴、行くわよ!」
「え? うん!」

 運動神経抜群の理恵は長い手足でどんな球も捌き、いつの間にか澪&真琴対理恵の構図が出来上がっていた。

「ふふふ、二人がかりでも不足無し! さあさ、どんどん来―い!」

 きわどい場所を狙うもしっかり返され、逆に間を突かれると、澪は真琴と目を合わせて止まってしまう。

「くー、なんでよ~、悔しい! 悔しい! 真琴、アンタなんか作戦無いの?」

 ハンカチがあったらきつく噛み締めていそうな澪は、真琴をきっと睨む。

「えっと、そうだな……。そうだ、これなら……、澪、僕の言うタイミングでアタックして!」

 真琴はビーチボールを空高くトスし、理恵を見る。

「ん? うん、分かった!」

 滞空時間の長いボールはしばらく落ちてこず、理恵も澪も上を向いたまま。

「あ、理恵さん、紐、外れてますよ?」

 結び目の弱いブラの辺りが緩んでいたのを、真琴はしっかり見ていたらしい。

「え? 嘘……あ、あれ?」

 二人を翻弄していた理恵だが、その動きがたたってあわや大惨事、いや珍事、さもなくば嬉しい出来事を引き起こしそうになっていた。

「きゃあ!」

 はらりと煽情的な紫の布が落ちたとき、理恵もしゃがんで胸を隠していた。

「今だよ、澪!」
「おっけー! あたーっく!」

 好機を見定め澪は軽くボールを叩く。ビーチボールは柔らかな軌道を描いて理恵の頭でポンとバウンドした。

「くう、卑怯なり……」

 手探りで布を手繰り寄せる理恵は、上機嫌でハイタッチする二人を睨んでいた。

「理恵さんが悪いんだよ。そんな脱げやすい水着を着てるから」

 視線に気付いた真琴は二度目となる「出し抜き成功」に大満足。しかし……、

「えい!」

 水着を正した理恵は、大きめの波に流されそうになる二人の両足めがけて足払いをかける。

「うわあ!」
「ひゃっ!」

 三、四十センチ程度の波に洗われる格好の二人……。

「もう、酷いよ、理恵さん……」
「私を笑った罰よ」

 砂に塗れてしょっぱくて苦い海水をぺっぺと吐く真琴。どこか既視感のある台詞に首を傾げながら、ひとまず立ち上がるもふにっとした感触が右手にある。
 昆布にしては柔らかく、イソギンチャクやヒトデのいる水域でもなく、クラゲ注意の看板も無い。

「馬鹿……」

 目の前では腰を波に洗われる格好の澪が恥ずかしそうな上目遣いをくれていたが……?

「どうしたの澪?」

 波が引くと水域が下がり、脚の下の砂がささーっともって行かれる感覚がむず痒い。けれど、それすら忘れてしまうのは、右手が触れる部分。
 パレオの隙間から柔らかそうな太腿がこぼれ、右手はしっかりとそれを揉んでいた。

「ごめん。転んだせいで……、波で見えなかったし、わざとじゃないよ」
「どうだか……、大方あたしの魅力にのぼせちゃって触りたくなったんでしょ? エッチ」
「かもね」

 唇の端っこを上げて笑う真琴は手をどけようとしない。それは澪も同じで拒む気配が無い。
 波が引き寄せるたびに起こる歓声はウミネコの声とそうかわらない。けれどカラフルなボールが二人を現実に戻す。

「ちょっと、いつまでそうしてる気? もう、これだからカップルは……、やっぱり楓も連れてくるべきだったかしら?」

 「はあ」とため息をつく理恵に、真琴も慌てて立ち上がる。彼は澪に手を差し出すも、彼女はその手を払い、ボールを拾い上げる。

「カップルなんて……、別にあたし達そういう関係じゃありませんよ」
「澪……」

 ――どうして?

 乙女心と秋の空。遷り変わるは必然としても、どこか納得の行かない真であった……。

続き

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