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……タイッ!?_54

辛と幸

 汗ばんだ身体に毛羽立ったシーツのホツレが張り付き、酸味と粘り気のある汗がしみを作る。
 エアコンの調子が悪いのか、締め切った部屋の温度は二人の熱気でぐんぐん上昇する。
「はぁ、熱いよ……なんか、すごく……」
 けれど久恵が感じているのは体温と別の熱。
 水玉ショーツに隠れた濃い芝生に隠れて現れるのは意外にも男を知らないらしい綺麗な割れ目。
「うん、俺も……」
 頷き、傾き、そのまま倒れこむ。
「ん」
「久恵……」
「あのね、私……、昔、保育所の頃ね、かけっこで一番を取ったの」
「へえ……」
 聞いているようで無関心。紀夫はただ本能の赴くまま、開かれた身体をさすっている。
「そうしたら、パパとママ、来てくれるって思った」
「フンフン……それで……」
 芝生を掻き分け、しなしなな皮に覆われた勃起するものをいじくると、彼女は話を遮るように身をよじる。
「ん、もう……やだ! 人が話してるときに……」
「ごめんなさい」
「いいよ、もう……。それでね、見事久恵ちゃんが一等賞! だけど、ね……。二人とも来ないし……。私は先生と一緒にお昼ごはん。しかもコンビニのカラフルなの」
「それは……」
 自分には関係ないこと。だからキスをしよう。悲しい過去を持つ彼女にキスをしよう。そうして慰めるんだ。お互いを……。
「授業参観……も、運動会も、ん! 中総体も、入学式は……あはぁ……どっち……が来たっけ……、忘れちゃったよ」
 未熟な割れ目を舌先で弄り、とろりと零れる酸っぱい水を舐め取る。
「高校ってさ、レベル高いよね……あたし、全然ダメだもん」
「レベル?」
「えっと、陸上ね? 中学の時なんか結構いけたんだよ。それなのに……全然……」
「先輩……」
「勉強だってそう。一番なんて気が遠くなる」
「そんなのいいじゃないですか……それよりも今は……」
 彼女の痛々しい思い出話に萎える分身。それを鼓舞するためにわざとらしく「ジュルリ」と音を立てて吸い付くも、気持ちは下がりっぱなし。
「でもね……もういいの」
「え?」
「君にね、君が甘えさせてくれるから……」
「俺が?」
「君と一緒に寝た日、あ、エッチとかじゃなくてね。その一緒にいたでしょ? 嬉しかった。だって、目が覚めても一人じゃないんだもん。君が間抜けな顔して涎垂らしてさ、隣にいるの……」
 自分が目覚めたときは既に彼女はいなかった。きっと自分は遊ばれていたのだろうと思っていた紀夫だが、実際は彼女の照れ隠しだったのかもしれない。
「だからがんばって朝ごはん作ったの。君が私を好きになるようにさ……」
「はい、すごく美味しかったです」
「けど君もいなくなっちゃう……」
 あの日彼女が言いかけた言葉は、もしかしたら「一緒に病院に来てほしい」だったのかもしれない。
 束の間の恋人気分、一人じゃないことを確かめたかったのだろう。
 だが、それは今の紀夫にはなりえない立ち位置。本当の気持ちに気付いた今では……。
「今日逢えたことに運命感じるって変かな? 私、あんまり寂しすぎておかしくなったのかな? ねえ、どうかな?」
 後頭部に触れた手は弱く、それでも紀夫が起き上がろうとすることを拒む。そして彼自身、彼女と目を合わせるのが怖かった。
 きっと傷つける。自分は別の誰かを想い、誓い、叫んでいた。
 だから……。
「ねえ、今はだけは騙してよ……。今日だけ、君は私の恋人……、好きな人。大切な……初めての人……」

「ん、あ、あぁ……、あっ! 来てる、紀夫のが、私の中……」
「久恵、久恵のなか、きつい……」
 安物のタオルケットに包まる男女。女子は男子にあお向けに組み伏せられ、抵抗しているのか、両足で男の腰周りにからみつく。
 枕元には敗れたビニールの包みがあり、セイフティーセックスと印字されている。
「ん、あ、すご……痛……っ! でも……ん、あ! 紀夫の……感じちゃう……」
 破瓜の痛みに唇を噛む久恵だが、紀夫はそれに構わず腰を前後させていた。
「はぁはぁ、先輩、先輩……俺……もっと、もっと……」
 グチュポ、ブチュッ……クチャ……ヌチュ……。
 鮮血と愛液、若干の汗の混じる結合部から卑猥な音が漏れる。
「先輩の、すごく、俺の締め付けるから……だから……」
「いいの? そんなに気持ちいいの? 私の中、好き?」
「はい……先輩の中、気持ちいいです……」
 本当は……。
「ねえ、私は? 私のことは?」
 久恵の前髪が紀夫の胸元に触れ、一部張り付いてしまう。
「私、紀夫が好き。だって、一緒にいてくれたんだもん。追いかけてくれたんだもん。だから好き、好きなの!」
 胸に溢れる熱い気持ち。直接ぶつけられる感情に疑うところなどない。
「人を好きになったの初めて……だって、皆私のこと、心配してくれなくて、それなのに、それだけだけど……君が好きなの……」
「先輩……」
 泣きじゃくるように頭を振る彼女。それをあやすように頭を撫でると腰が萎えてしまう。
「いや! やめないで……。私、今すごい幸せなの。初めてを好きな人に捧げられて、しかも気持ちよくなってもらえるなんて、そんなの幸せじゃない……」
 ベッドのスプリングを利用して跳ねるように腰を突き出す久恵。その健気な愛の行為に疼く部分がある。
「先輩……そんなに……」
 尿道を濡らすジュンとした快楽。間違いなく久恵からもたらされたそれ。
 ちょっとした行き違いで、少しの勇気と勘違いが今このときを演出している。
 そんな奇跡に近い逢瀬なのに、身体は喜んでいるのに、それでも……今は自分を騙してでも彼女と一緒に……。
「久恵!」
「うう!」
 勢いを取り戻した逸物を強引にねじ込むと痛みによるものなのか、彼女の足の戒めが解ける。紀夫はそのまま両足を持ち上げ、久恵をひっくり返すようにする。
 血とどろりとした淫水で濡れる秘裂と、期待に満ちた真顔をする彼女を見下ろす格好。紀夫は目で頷くと、そのまま自らをズププと押し込んでいった……。
「あ、あぁ……あぁ……ん……」
 半開きの口元をがたがたと揺らしながらなにともつかぬ声を上げる久恵。目尻には薄っすらと涙が滲むが、それは痛みなのか、それとも彼女の言う幸せによるものなのか?
「気持ち……イイ」
 ゴム越しに伝わる彼女の複雑な膣内。処女らしくこなれていないそれはどこか硬く、彼のものにも無愛想であった。
 けれど、寂しさを埋めてくれる男を求める気持ちなのか、奥から溢れ出る粘液がそれを潤滑にし、かつ膣口の強い締め付けが離そうとしなかった。
「あ、あ……あぁ……」
 ゆっくりとさしこみ、ゆっくりと引き抜く。名残惜しげに糸を引く秘裂と、再開を喜ぶ子宮。触れるたびに大人ぐらいの握力を感じ、雁首がびりびりと信号を発する。
「ひさ……えぇ……俺、もう……」
「いいの、いっても……紀夫に、私のこと、好きになってもらいたいから……、いつでも思い出してほしいから……、今日のこと、忘れてほしくないから……だから、お願い……」
「う、ん……」
 筋を撫で回す膣襞の哀願にそろそろ堪えるのも限界と、紀夫は大きく深呼吸をする。
 そして……、
「俺は!」
 グイと差込み、そのまま彼女の顔面へとキスを求める。
 久恵はシーツの上を滑り壁に当たってようやく止まる。
 行くところまで行った逸物は少し硬い何かにあたったところで強い伸縮にあい、みっちりと締め付けられる。
ぎゅうと目を瞑る二人。
「久恵……」
「紀夫……」
 薄目を開けると、相手もそうしていて、目があった瞬間笑いが漏れた。
 が、
「あ」
 耐えられなくなった牡は呻くように声を漏らしたあと、牝に覆いかぶさるように崩れる。
「のり……紀夫君? だい……じょうぶ?」
 覆いかぶさる彼を拒むことなく、その背中に腕を回し、先ほどされたように髪を撫で、あやし始める。
「俺、先輩の……すごく良くて……」
 小刻みに震える彼はカクカクと腰を揺らし、その度に期待していた分の欲望を吐き出す。
「そう? そんなに……」
「だって、先輩、俺のこと……」
「俺のこと?」
 ――愛してくれたから……。
 口に出してはいけない言葉。きっと言えば裏切りになる。自分に対しても、想う誰かに対しても……。
「すみません、眠くて……」
「うん。大丈夫だよ……朝まで……一緒に……」
 訪れた眠気に抗うことなく目を閉じる。
 ズルさと弱さ、若干の妥協と目を背けたい真実に、二人はすぐに寝息を重ねることが出来た……。

「ん、んぅ……」
 目が覚めると、少し肌寒い。室内はクーラーでおよそ二八度に保たれているものの、全裸ではそれなりに辛い。
「重い……?」
 左腕にある違和感とこそばゆい触感。そちらを向くと久恵がいた。
 髪が汗でオデコに張り付き、時折痒そうに耳を掻く彼女はまだ眠っているのかもしれない。
 素面に戻ると後悔がやってくる。ただ、意外にもそれは大きくなく、歩も遅い。
 理由はおそらく……。
「オハヨ……」
「あ、おはよございます」
「うん。うふふ……なんか変だね……」
「そうですね……」
「でも、もう大丈夫。夜遊びなんかしないから……約束する」
 そういって彼女は小指を伸ばす。紀夫もそれに応じ、指きりをした。
「嘘ついたら……またしてあげる」
「したくなったら夜遊びですか?」
「イジワル……」
「だって……先輩」
 ――俺のこと……。
「今日からはまたキャプテンとマネージャーだね。ちゃんとできるかな?」
 いつもの愛想のない笑い方と寂しそうな横顔。起き上がる彼女は彼を押しのけ、シャワー浴びに行く。
「そう……ですか……」
 昨日のあれは嘘のよう。だが、心は寂しくない。理由は一緒に朝を迎えたから?

 財布を見るも野口英世が三人程度。精算機が示す金額は四千円で若干人手不足。
「だっさ。普通ホテル代ぐらいスパッと払いなよ……」
 笑いながら樋口一葉を機械に挿入する彼女。お釣りを受け取るとそのまま出口に行ってしまう。
「先輩、半分出します!」
「いいよ。君は昨日たくさん出したし……」
 彼女らしくない卑猥なジョークに紀夫も苦笑い。
「それに……借りを作っておいたほうがいいよね……」
 振り向く彼女の表情は輝く朝日でよく見えないが……、
「え?」
 一瞬見えたそれは今まさに昇るものを思わせる笑顔。
「私、しつこいからね!」
 そういって走り出す彼女を、紀夫は何故か追うことが出来なかった……。

続く

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