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……タイッ!?_紛れ話_19

告白

――ディアフレンド
 今日から私旅行なんだ。
 っていっても合宿だけどね。だからお土産とか期待しないでね。

 話は変わるんだけど、なんか綾が変におとなしくなったんだよね。
 最近の孤高のオーラっていうの? なくなって部員ともすごく打ち解けるようになったの。
 それはいいんだけど、やっぱりアレが理由なのかなって思うと癪だわ。
 私はいつも彼女の近くにいたし、そういうのわかって上げられるとおもってたんだけど、勘違いだったみたいだし。

 由香のほうはどう?
 しっかりがっちり決着つけなよ。なにがあっても私はあなたの味方だから。
 それじゃね~

 フライパンにふたをしたあとゆでたブロッコリーとジャガイモをお弁当箱に詰め、ご飯をよそる。
 夏休み中は私がみんなのお弁当を作るのが決まり。中学のころからそうなんだ。
 美奈子からメールが届いたのは私がハンバーグを四人分焼いているとき。
 ひとまず菜ばしを置き、内容を確認。ふむふむ。なるほど。結局オトコですか。
 やっぱりそうなのかな? だって私も……。

 今日の私の気分は晴れ模様。ちっとも改善されてないのに。
 いや、雲ひとつ発見。

――美奈子へ

 合宿がんばってね。次の大会とかあるならお弁当もって応援しにいくよ。
 そういえば橘さんも同じ陸上部だよね。彼女も合宿?

 さりげなく聞いてみるけど、やっぱり不自然だ。
 かんぐられたらどうしよう?

 ……話せばいいんじゃない? だって美奈子は友達だもの。それぐらい、どうってこと……、話にくいな。すごく。

 ブルルル……。

 送信をしたと思ったら即着信。
 なんとなく後ろめたい気持ちがあるも、私はえいと気合をこめてメールを開く。

――そだよ。

 他は一年四人かな。綾に里美に男子二人だったかな?
 どして?
 それよりさ、合宿が終わったら夏祭りあるっぽいね。一緒に行こうよ。ね?

 やっぱり変に思われてる。けど、それ以上のイベントがあるんだ。そう。でも、できれば一緒にいけないといいな。
 ごめんね、美奈子。

「それじゃ由香ちゃんお願いね~」
「あ、まって!」

 せっかちなママはしたくを終えるともう玄関にいた。
 私は十分火が通ったことを確認してからお弁当箱にハンバーグをつめる。
 そのあとはバス停まで飯を届ける少女になる。

**

「うわ、今日もハンバーグ? ありがとう。すごく嬉しいよ」

 生徒指導室で二人きり。言い回しだけだと、なんか背徳な感じがするけど、いざ当事者となるとそれほどでもない。
 多分努の邪気の無い態度がその原因だと思う。
 とにかく今日はしっかりと渡せた。邪魔になる陸上部員、橘紅葉は合宿に行ってる。今日は私の日……。

「ねえ先生、昨日のお弁当」
「ごめん。全部は食べられなかった」

 ぱんと手をあわせて平謝りの努に私は目を丸くする。
 もしアレを全部食べていたらあなたは今日ここにこれないわよ。ほんとに意地汚い人。

「そんなこといいの。それより、なんであそこに落ちてたと思う?」
「さあ?」

 ごぼう巻きをほおばりながらさらりと言いのける。

「努、紅葉さんとキスしたの?」
「え?」

 食べてたものを噴出しそうになる彼はあわてて口を覆う。
 一緒に持ってきた水筒から麦茶を出し、ゴクリと溜飲ごと飲み込む。

「それは昔のことで……」

 否定はしない。それどころか彼は昔から彼女と付き合いがあるとほのめかす。

「そう……」

 本当なら取り乱していてもおかしくない。けれど冷静でいられた。
 多分、似たような経験が私を強くしてるんだと思う。

「由香さん……、僕と紅葉は……」
「私先生のこと好き」

 自分でも思っていなかった言葉がすらっと口をすべる。

「由香……さん?」
「好きになっちゃったの。多分、昨日」

 じゃなかったらお弁当なんて嬉々としてつくったりしないか。

「どう、して?」
「お弁当、おいしいって言ってくれたから。落ちても食べてくれるんだもん。そんなの、好きになっちゃうよ」
「そっか、そうなんだ」

 突然の告白に努はまだ半分あるお弁当に目を落とす。
 もうおなかいっぱいかもね。こんな重たい愛の告白じゃさ。

「僕は悪い教師だな」

 うん。すごく。
 だってそうじゃない? 教師と生徒ってだけでもおかしいのに、二股だよ? 絶対ばれたら首。まちがいないよ。

「ねえ、キスしてよ」
「どうして?」
「私も彼女に並びたい」
「並ぶ必要なんかないよ。彼女は別に……」
「んー……」

 私はまだ戸惑う彼にかまわず目をつぶって唇を差し出す。もし彼に勇気があれば、多分たまねぎとにんじんの甘さのあるキスが来る。

「僕は悪い教師だが、それでも教師なんだ」

 目をつぶってもわかる。彼が近づいてくる。そして、私を抱きしめて……えっ!?

「だから、これが精一杯」

 汗臭い、ちょっぴりアレくさい彼が私を抱きしめる。ただそれだけ。
 童貞じゃないくせにこれだけ? なんか期待はずれ。

「明日もお弁当、作ってきてよ」
「ずるい人」

 でもそれでいいや。

続き

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