キスに酩酊しながら私は彼をタオルケットで包む。
街灯の明かりも届かない場所で二人睦み合う。
彼は私の手を握り、指を絡め、ずいずいと私に覆いかぶさってくる。
「ん、んぅ……、ちゅぅ、んはぁう」
乱暴なキスですごく下手。なのに気分がまどろむ。
澄んだ川底に勢いよく小石を投げ込んで汚泥を巻き上げる。
そんなイメージが頭に浮かんだ。
彼、私の心をかき乱しにきてるの。
「はむぅ、んちゅちゅ……」
指が離れて肩に向かう。それが滑って背中。シャツ、ボタンしてないから脱がされてくよ。
私も彼のパジャマに手を侵入させる。
彼は体温の違う手にびくりと震えたあと、それから逃れるように、それでも私から離れないようにしてる。
「う、うぐぅ……」
運動不足で身体が硬い彼は妙な体勢に苦しそう。
あん、それじゃせっかくのキスが離れちゃう。
「努、無理しないで」
「無理なんか、その、ちょっと驚いただけだよ」
「ふふ、かわいい、童貞の子みたい」
童貞の子なんか相手にしたこと無いけど、初めて幸太ちゃんのアレを咥えてあげたとき、こんな感じだったかな。
もう、いつまで童貞気取りなのよ。部室で誰かさんとセックスしてたくせにさ。
「ね、ここ触られると気持ちいい?」
指先は彼の乳首へ。
「ん、いや、べ、つに、なにも」
結構弱いんだ。じゃあ、ここはどうだろ。
さらに下へ、おへその辺り。
「ん、ぁあ! わぁ、そこ、や、めて」
途切れ途切れになる吐息。もう私を抱くどころじゃない彼は両手をベッドについて身体をなぞる私の手に怯える。
「ねえ、どうして? 嫌なの?」
「それは、だって、由香さん、僕ら、まだ、今日は、キスまでって」
「そんな約束したかしら?」
膝でたつ彼。どうしてかしら? それは多分、彼の息子さんが起きてきちゃったから。
「ゆ、かさん……」
右手でおへそ周り。左手でアレをゆるく刺激してあげる。
別にはじめてじゃないでしょうに。ご無沙汰だけどフェラしてあげた仲じゃない。
「だめだ、由香さん」
「え?」
彼は大きな声で叫ぶと、私にどさっとのしかかり、そのまま身動きを封じてくる。
「ん、やだ、努、苦しいよ」
「由香、好きなんだ」
「それはわかったわよ」
「だけど、まだ、なんだ」
「どうしてよ。もういいじゃない?」
「君の笑顔が見たくて、好きになって、一緒にいたくて、だから、誰にも邪魔させないためにも、今はまだ早いんだ」
早い? なにがよ。まだ紅葉とつながってるから? 二股ぐらい平気よ。つい最近までそうだったんだし、それに、負けるつもりも無いから。
「由香、好きなんだ」
はいはい、わかったわよ。もういいよ。
大きな駄々っ子さん。私を満たしてなんて期待しないわ。
「先生、暑いから離れてよ……」
それならこのハグも暑苦しいだけ。
だってあなたの中で私はまだそのつまらないこだわりより下なんでしょ?
大切にしてくれない人い身体をゆだねるほどお人よしじゃないの。
私は彼と距離を置き、着信を知らせる携帯を見る。
どうせ美奈子とわかっていながら、気が紛らわせるならと。
でぃあふれんず
なんかさ、どきどきするわ。とっちめるつもりなんだけど、こんな夜遅くにオトコの部屋行くの。
別に平気だよね。うん、大丈夫。私がんばるから応援してて。
やっぱり処女なのね。この子。
私も今オトコの部屋にいるけど、こっちはオトコが融通きかないから。
でもま、キスまではしたのよね。んじゃま、約束通り……。
美奈子へ
私、さっき彼と初めてのキス、しちゃった。
なんかごめんね。こんなときにこんなことで。
美奈子もその子とキスしちゃえば?
なんちゃって。
送信っと。
でも、そんなにやり手な子なら処女の美奈子が太刀打ちできるのかしら?
やっぱりされちゃったりしてね。
「由香」
「はい?」
隣ではまだ井口が私の名前を呼んでる。なんでそんなに未練がましいのかしら。
「一緒に、いたいよ。行かないで」
「はいはい、どこにも行きませんよ……って、寝てる?」
目をつぶって安らかな寝息を立てる彼。
彼のよくわからない大切なことには遅れをとるけど、でも夢の中でまで私を求めてるのは……、正直悪くない気分。しょうがない。
私はタオルケットを彼の肩までかけた後、それにもぐりこむ。
暑苦しいけど、朝までそうしてくれてたらさ。
続く
乱暴なキスですごく下手。なのに気分がまどろむ。
澄んだ川底に勢いよく小石を投げ込んで汚泥を巻き上げる。
そんなイメージが頭に浮かんだ。
彼、私の心をかき乱しにきてるの。
「はむぅ、んちゅちゅ……」
指が離れて肩に向かう。それが滑って背中。シャツ、ボタンしてないから脱がされてくよ。
私も彼のパジャマに手を侵入させる。
彼は体温の違う手にびくりと震えたあと、それから逃れるように、それでも私から離れないようにしてる。
「う、うぐぅ……」
運動不足で身体が硬い彼は妙な体勢に苦しそう。
あん、それじゃせっかくのキスが離れちゃう。
「努、無理しないで」
「無理なんか、その、ちょっと驚いただけだよ」
「ふふ、かわいい、童貞の子みたい」
童貞の子なんか相手にしたこと無いけど、初めて幸太ちゃんのアレを咥えてあげたとき、こんな感じだったかな。
もう、いつまで童貞気取りなのよ。部室で誰かさんとセックスしてたくせにさ。
「ね、ここ触られると気持ちいい?」
指先は彼の乳首へ。
「ん、いや、べ、つに、なにも」
結構弱いんだ。じゃあ、ここはどうだろ。
さらに下へ、おへその辺り。
「ん、ぁあ! わぁ、そこ、や、めて」
途切れ途切れになる吐息。もう私を抱くどころじゃない彼は両手をベッドについて身体をなぞる私の手に怯える。
「ねえ、どうして? 嫌なの?」
「それは、だって、由香さん、僕ら、まだ、今日は、キスまでって」
「そんな約束したかしら?」
膝でたつ彼。どうしてかしら? それは多分、彼の息子さんが起きてきちゃったから。
「ゆ、かさん……」
右手でおへそ周り。左手でアレをゆるく刺激してあげる。
別にはじめてじゃないでしょうに。ご無沙汰だけどフェラしてあげた仲じゃない。
「だめだ、由香さん」
「え?」
彼は大きな声で叫ぶと、私にどさっとのしかかり、そのまま身動きを封じてくる。
「ん、やだ、努、苦しいよ」
「由香、好きなんだ」
「それはわかったわよ」
「だけど、まだ、なんだ」
「どうしてよ。もういいじゃない?」
「君の笑顔が見たくて、好きになって、一緒にいたくて、だから、誰にも邪魔させないためにも、今はまだ早いんだ」
早い? なにがよ。まだ紅葉とつながってるから? 二股ぐらい平気よ。つい最近までそうだったんだし、それに、負けるつもりも無いから。
「由香、好きなんだ」
はいはい、わかったわよ。もういいよ。
大きな駄々っ子さん。私を満たしてなんて期待しないわ。
「先生、暑いから離れてよ……」
それならこのハグも暑苦しいだけ。
だってあなたの中で私はまだそのつまらないこだわりより下なんでしょ?
大切にしてくれない人い身体をゆだねるほどお人よしじゃないの。
私は彼と距離を置き、着信を知らせる携帯を見る。
どうせ美奈子とわかっていながら、気が紛らわせるならと。
でぃあふれんず
なんかさ、どきどきするわ。とっちめるつもりなんだけど、こんな夜遅くにオトコの部屋行くの。
別に平気だよね。うん、大丈夫。私がんばるから応援してて。
やっぱり処女なのね。この子。
私も今オトコの部屋にいるけど、こっちはオトコが融通きかないから。
でもま、キスまではしたのよね。んじゃま、約束通り……。
美奈子へ
私、さっき彼と初めてのキス、しちゃった。
なんかごめんね。こんなときにこんなことで。
美奈子もその子とキスしちゃえば?
なんちゃって。
送信っと。
でも、そんなにやり手な子なら処女の美奈子が太刀打ちできるのかしら?
やっぱりされちゃったりしてね。
「由香」
「はい?」
隣ではまだ井口が私の名前を呼んでる。なんでそんなに未練がましいのかしら。
「一緒に、いたいよ。行かないで」
「はいはい、どこにも行きませんよ……って、寝てる?」
目をつぶって安らかな寝息を立てる彼。
彼のよくわからない大切なことには遅れをとるけど、でも夢の中でまで私を求めてるのは……、正直悪くない気分。しょうがない。
私はタオルケットを彼の肩までかけた後、それにもぐりこむ。
暑苦しいけど、朝までそうしてくれてたらさ。
続く