目を丸くした私に彼は手をどけた。その後も放心状態だったし、する必要もないか。
「ほら、やっぱり血縁者っていうの、まずいよね? テストとかそういうので贔屓とかあるとかないとかされてもさ。だから先生の間での秘密だったんだ」
「そう……じゃ、キスしたのって?」
「彼女が幼稚園の頃。あの頃はまだ紅葉の奴も可愛げがあってさ、あたし大きくなったらおにいちゃんのお嫁さんになる~なんていってた。そのときにね」
ばっかみたい。そんなの早く言えばいいじゃない。
なに? 私は存在しない敵を作ってたの?
「この前、文芸部の部室でズボン脱いでたの……」
「あれはボタンをつけてもらってたんだ。最近太ってきてたし……誰かさんの真心こもったお弁当のせいで……」
「私はバランス考えてるもん」
なんか胸が痛くなってきた。
「紅葉はさ、僕達のこと応援してくれてたんだ。もしこのまま僕が童貞のままじゃ、いつか問題起こすからって……」
「努はそんなことしないわ」
「ありがと。でも紅葉の奴、結婚できないと私も困るって煩くて……」
「そうなの?」
「嫁き遅れが増えると私の番が遅くなるからってさ」
あの子、あんなんでも結婚願望あるんだ。
「僕の兄も彼女の兄も結婚してなくてさ……いまだに仕事が恋人のワーカーホリック……って古いかな?」
「そうなんだ……」
「あはは、情けないよね」
「違くて、先生童貞なんだ……」
「……ごめんなさい」
「謝らなくていいよ。そんなこと……むしろ、私が努の初めてなんだ……」
「由香……だからそれは……もう誤解も解けたんだしゆっくりと育てていこう? 僕らの愛を……」
恥ずかしいこと真顔で言ってる。でも、私ってばせっかちなのよ。多分、今の誤解だって私が落ち着いて努の言葉を待てば……ね?
「ダメだよ。努が他の女子に取られたらやだもん。今すぐ私とするの」
「僕はそんなにもてないよ」
「知ってる。けど、ほしいの……努が……」
彼の汗臭いワイシャツにしがみ付き、一部に噛み付き唾で湿らせる。
彼はやるせなく、ただ私の髪を撫でるの。
あーあ、私、彼を追い詰めちゃった。
**
私の熱意に圧される格好で彼は服を脱いだ。
でも私が制服姿なのはどうしてかしら?
努の罪悪感を煽るため? 教師なのに教え子に手をだしたんだもの、当然でしょ。
「由香……」
なのに彼、私のオッパイをブラウス越しにもんでくるの。
んぅ、やっぱりこのくすぐったいような身体の芯がざわつく感じが好きじゃない。
全身、皮膚の下をムズムズって蠢くような、力が抜けていっちゃうのがやだ。
「えっち……」
誘っておいて、跨っておいて臆病になる私。これが初めてってわけじゃないのにどうして? 好きになった人だから? いわゆるセカンドヴァージンって奴?
「由香、やっぱり早いよ……」
「なに弱気なこと言ってるの? 努のここ、こんなにカチコチになってるくせに……」
彼のオチンチン、すごく熱くて硬い。なんども私の湿った部分を攻撃してきて、すごくエッチ。
そんなにカクレンボしたいの?
「私、がんばるの」
彼のいきり立つソレを握り締め、まだ濡れたり無いあそこにあてがう。
なんでだろ。多分このままだと痛いことになるのに……。
「ん、んくぅっ! あ、ん、まだ、きつい……」
わかっていながらどうして? でも、彼のオチンチン、温かさとか固さ、形はどうだろ。結構長くて細いけど、うん……私の大切なところ、奥まで……とどいちゃった……。
今、努と繋がってるんだ。
直に。
生で。
すごく、痛いけど、でも、なんか幸せ。
彼、私のこと、私だけを愛してくれてるんだもん、当然よね。
「う、うぅ……由香……うごか……ないで」
目をぎゅっと瞑ってしわくちゃな顔になる努。彼、どうしたのかしら。私、こんなに幸せな気持ちになってるのに。
「努、どうしたの……」
露出した彼の乳首を指でいじること数回。私に跨れたままの彼は芋虫のように蠢く。
「由香、お願いだ。僕は……もう、まって、動かないで……」
私は言われるほど動いてるつもりは無い。そっちこそ私の中で暴れるのやめてもらいたい。
久しぶりのエッチ。それも愛情百パーセントの行為なんだし、もっとゆっくり味わいたいのに……。
「由香の……僕のを……締め付けて……撫でて……あ、でそう……ゴメン、離れて……お願い……」
「え? もう? もういっちゃうの?」
入れてまだ数十秒って感じなのにどうして? 私もっと努を感じたいよ。
「由香さん。ゴメン……ん、んくぅ……、も、我慢できない……」
「ちょっと……努……」
最後まで私を感じて欲しいのに彼、私のこと無理矢理引き剥がそうとするの。
やだよ。中に出して……。今日安全日じゃないかもしれないけど、努の欲しいよ。
「イヤよ! 離れるなんていや!」
シーツを掴んで彼に倒れこむ。絶頂を迎えている彼に反撃する余裕もなく、私の暴挙になす術もない。
「由香さん……あ、あぁ、う、うぁあ……」
私の中で何かがはじける。
最初それはびゅっって勢いよくなって、そのあとびくんびくんって動いてた。
「あ、熱い……努の、中で出てる……」
自分の中で快楽の証が漏らされる。彼は必死に私にしがみ付き、柔肌に指を食い込ませてくる。
痛いよ。そんなにきつくされたら……。痕ついたらどうするの? スクール水着なら隠れるけど、普通の水着じゃ隠れないってば……。
「あ、由香の中……、すごく……気持ち……いい……」
「私、まだイッてないのに……」
「ゴメン……機嫌治してよ……」
髪を撫でる彼。大人としての余裕を見せたいとか? もう……。なんでそんなに格好つけたいんだろ……。
「だーめ、赦さないもん!」
だからあえて子供っぽくするの。
だって彼から見たら私だって子供でしょ?
この淫行教師め……。
**
「なにこれ?」
彼の息子が元気なったっていうのに彼は帰る準備を始めてた。
私はまだ一緒に居たかったからベッドに寝転んだままでいたの。
そしたら彼、私の隣に来て何かを薬指にはめたの。
それは銀色に輝くリング。
「ぴったりだね。どうして?」
「僕、君の指何度も触ってたろ? だからさ」
「ありがと」
不意打ちのプレゼントに女の子は弱い。だって返せるものがないじゃない? キスぐらいしかさ。
エッチして中に出されて。
なのにホッペタにキスするのにもなんかドキドキ。
すごくバランスが悪い恋だと思う。
「さ、もう帰ろうか」
「やだ、もう一回するの」
「だめだよ。カレー作ってもらいたいんだから」
「もう、こんなときまで食い気? 太るわよ?」
「君の料理で太るのなら本望だよ」
「私太ってる人嫌い」
「なら痩せる」
「頼りないのも嫌い」
「なら鍛える」
「従順すぎるのも嫌い」
「ならついてきてよ」
「束縛されるのも嫌い」
「僕は一緒にいたい」
「私も……」
「じゃあ、今日も……」
「エッチ……」
「好きなんだ。君の事」
「そればっかり」
「ズルイ人だし」
「ほんと、ズルイわ」
「でも……」
「うん……」
『好きなんだ、貴方のことが……』
何度目になるかしらないけど、ヘタクソなキスとエッチな指使い。
そのときリングがぶつかってキンッ! と音を立てたの。
まるで二人の間を祝う合図のようにね……。
愛されタイッ!? 完