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……タイッ!?_60

神社の裏手

 髪、伸びたかも。
 四月の入学式のころから切ってないもの、当然かな。
 それもこれもアイツのせい。
 ちょっぴり背が高いからって私を見下したように見るあいつ。
 照れ笑いするとどうしても左後ろを向こうとするあいつ。
 私は鬱陶しくて嫌いなのに、黒くて長い髪が好きなアイツ。

 私とアイツはいつも一緒。
 ずっと前からそうだった。
 もし相模原が女子高のままだったら、多分学校も違ってたと思う。
 でも、結局一緒。

 私思ったの。
 これは神様の思し召しなんだって。

 生まれたときは違うけど、中流の家庭に育ったんだ。同じ病院、同じ保育所、同じ小学校、同じくらい中学に高校。アイツも私も勉強は中の上だし、陸上だって目立てるってタイプじゃない。
 だから大学も経済学部? とかそういうところで同じサークルに入って、そして、うん。そうするつもり。

 それに不安が無いといえばウソになる。

 やっぱりアイツはどこか頼りないし、格好悪いこともある。
 そのくせ私の前では一人前を気取ろうとして空回りする。
 そんなとき、私はいつもこういうんだ。

「いつかその努力が実るといいね。稔なだけにさ」

 アイツは照れたように笑っていうの。

「俺だってヘコむことあるっつうの。もっとやさしくしてくれよ。優なだけにさ」

 それじゃあ、キスしてあげる?
 んーん、まだ早いな。多分、もうすこし、お祭りまで待とうか?
 貴方の誕生日……の二ヶ月前だけど、プレゼント。
 私のファーストキス。

 そんな計画を立てていた自分はがわいいと思う。
 でもそれじゃあスパイスがたりない。
 だから、約束を破ってみた。

 彼と四時に待ち合わせしたの。
 でも行かなかった。
 彼は探しに来てくれるかな?
 怒ってる? だよ。せっかくのお祭りの夜に私がいないんだもん。
 怒って、焦って、悲しませて、それでようやく会いに行ってあげるの。
 そのときはしおらしく私も謝るの。

「ごめん。携帯、なんかおかしくて」

 きっと彼は今までの感情が混ざったようなむちゃくちゃな顔してると思うな。
 怒ってるくせに嬉しがって、なきそうな、変な顔。
 走りよってくる彼に抱きしめられて、小さくごめんねを繰り返す私。何度も、何度も。そして、彼が抱きしめるのやめたら、ちょっとだけ離れて左下を見ながら瞬き二回。それから彼を見つめて、「……して」っていうの。
 そしたら多分彼、「何?」って聞き返すから、下唇噛んでいうんだ。

 ――キス、して。

 って。



 ……そのつもりなんだけど、なんか変。

 さっきからあいつら、あんなところで何してるんだろ?

続く

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