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……タイッ!?_63

闖入者

「なんだよ、さっきから」

 水を差された悟は語気を荒げ、優を真吾のほうへ押し付ける。

「お前さ、同罪だってわかってるのか? いまさら改心しましたなんて通用しねーんだよ。つかさ、うぜーよ……」

 悟は和也に数歩歩み寄ると、次の瞬間、鼻先に鋭くこぶしを叩き込んだ。

「あっ!」

 真吾の注意が目の前の出来事に向いた瞬間、今が逃げるには絶好のチャンス。にもかかわらず、足がすくんだのは、血なまぐさい現実を目にしたからだろう……。

**

「なんだよ、あのババアとやったからもう満足ってのか? それとも俺らみたいな童貞とは付き合いきれませんてか? 生意気なんだよ。お前も、和彦も、稔も久恵も、里美もあのクソマネージャーもよぉ!」

 鼻から血を噴出す和也を前に暴力を振るう悟。和也も抗おうとするも呼吸が難しいらしく防戦一方のこの勝負。
 優はへたりこみ、真吾も呆気にとられていた。
 足をもつれさせた和也の首根っこをつかんだ悟は諭すようにゆっくりとしゃべり始める。

「そのオンナまわそうぜっていってるだけだろ? どうせ稔とやりまくってんだし、あいつの中古ってのは癪だけどさ、ばばあのマンコよか絶対いいって」
「……う、こは、彼女は……、ばば……、あじゃ、ね、え」
「あん? なんか言ったか?」
「ババアじゃねー!」

 首根っこをつかむ悟の振り払い、一糸報いようと掴み掛かる和也。予期せぬ反撃にきりもみになる二人。

「逃げろよバカ!」

 先ほどまで捕まえようとしていたはずが、どこを正したのか逃げろという和也。しかし、その思いは届かないらしく、優は真吾の影でしゃがみこんだまま。

「あ、だって、血出てる、あんなに、出てる」
「おい、サトチン、やりすぎだって……。カズさんもやめろよ」

 どう見ても二人より体格の良い真吾だが、二人ほど血気盛んでもないらしくおろおろするばかり。あるいみ平和主義な彼は優にとってありがたくもあり、不都合でもあった。

「おまえさ、俺にかなうと思ってるわけ?」

 頭から突っ込む形の和也に押しきられそうになる悟だが、中腰になり踏みとどまるとそれ以上は動かない。そして無防備な和也の背中めがけて握りこぶしを叩きつける。

「ぐぅ!」

 鈍い声。

「かぁ」

 甲高い声。

「もういっちょ」

 哂い声。

「うぅ……」

 崩れる音。

 そして獣道を踏みしめる足音。
 二歩、三歩、数歩……。

「逆らうとああなるわけだ」

 着実に近づく絶望に優は声も出せず、ただ震えるだけ。

「おい、なにやってんだ!」
「優ちゃん? そこにいるんだね!」

 そこへ現れたのは冴えない男子マネージャーと困りものの先輩。

「先輩、紅葉先輩!」

 それでもすがりたくなるこの状況。かといって二人より体格の良い和也が組み伏せられたなか、彼女らが来たところで打開される見通しもない。

「お前、優さんになにをした!」
「お前には関係ないだろ? このエロマネージャーさんよぉ!」

 容赦なく振りかぶられる悟の右拳。紀夫はある程度予想はしていたものの、両腕で防ぐのが精一杯。

「何をしたって、今からするつもりなんですけど~」

 嘲るようにとぼける悟は反撃が無いことをいいことに、紀夫をサンドバックのように扱い始める。

「ほらほら、どうした? ボディがお留守で、ガードも甘いぞ?」

 痛みに耐えかねて降り始めた腕の隙間を縫って左の拳が入る。

「うぐぅ!」

 もともとケンカなれしていない紀夫は全身を走る不快なだけの痛みに混乱と過呼吸を引き起こす。

「ほらほら、最初の威勢はどうした? もうおねんねか? 里美にでも添い寝してもらうのか? このやりちん野郎がよぉ!」

 膝を折って蹲る紀夫に容赦ない蹴り。彼の背中に土と屈辱を塗りつける。

「ちょっと、あんたそんなことしてただで済むとおもってるわけ? いい? このことが知れたらあんた停学よ? 下手すりゃ退学だってあるんだから」

 及び腰ながらもつとめて冷静を装い流れを止めようと叫ぶ紅葉。だが、自らの行為に興奮したらしい悟は鼻息を荒げてにやりと笑うだけ。

「うげっ」

 わき腹をえぐるような蹴りにのたうつ紀夫。

「痛がるなよ。ちょっと遊んだだけだろ? これだから秀才君は困る」
「何が遊んだだけよ。いい、今ならまだ丸く納めてあげる。けど、これ以上やったら……」
「どうなるんですか? 紅葉先輩。あんたがサービスしてくれるとか?」

 高校生にもかかわらず発想は時代劇の悪代官そのもの。しかし、次の瞬間、その表情も一変する。
 理由は境内のほうからこちらへ向ってくる足音。
 草を掻き分け、ジャリを蹴散らし、力強く走る音。

「優! そこにいるんだな! おい、悟! なにやってんだ!!」

 本日三度目の闖入者はかつての青臭い友にしてひな座りする女子の幼馴染、稔であった。

続く

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