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……タイッ!?_68

どうして知ってるの?

「紀夫ってさ、エッチしたことあるんだね」
「え? あ、……うん。そりゃあるよ」


 ぼそりとつぶやく隣の子の言葉に、すでに見切られていると認める。

「理恵と? それとも綾と?」
「里美さん……」
「美奈子先輩、キャプテンまで……」

 他にもう一人いるのだが、それはさておいて。

「なんで、そんなこと?」
「聞いちゃった。それだけ」
「そう」

 今度は紀夫がうつむく番。
 しかし、その心境は複雑そのもの。
 知られてしまった恥ずかしさがほほからおでこ、耳に灼熱を点し、絶望的な青写真が色あせるどころか青かびが侵食していく。

「別にいいじゃん。浮気してるんじゃないし」
「うん」
「けど、私とキスする前にエッチするなんて最低だよ」
「ごめん」
「いいよ、約束してたんじゃないし、それにただのキスだもん。君にとってみればさ」
「そんなこと、大切な、重要な思い出だよ」
「私にはね。だってファーストキスだもん。それとも君も?」
「俺は、違うけど、でも、大切だって思うさ」
「みんなとのエッチより?」
「ああ」
「そういうの酷いと思うよ。だって理恵も綾も美奈子先輩もキャプテンも、みんな君とのエッチ、大切にとっておいてたもん」
「それは……」

 声が弱くなると握る手にも力が入らなくなる。けれど半比例して里美の握力が強くなり、彼を放そうとしない。

「私、それ知らなかったら多分君と付き合うって思ってた」
「里美さん」

 心が温かくなり、そして急激に冷めるのを感じる。

「それにほら、ゴム。用意してたんだ」

 浴衣の帯につけた巾着には見慣れたパックの商品がいくつか。

「ばっかみたい。君やりチンだもの。私がもってなくても君が持ってるよね? じゃないといざっていうとき、女の子と遊べないもの」
「そんな……こと」

 事実、ジーパンの裏のポケットには以前保健室でもらったお守りが三つ。

「ね、境内まで行こうよ。静かに話せるところがいいし」
「ああ」

 石段を登る足並みも重苦しくなる。
 まるで死刑台にあがる囚人のごとく。
 すでに死刑宣告も出ているのだ、あとは結末に怯え、自らの行いを悔いる以外に無い。

 そして、手に入らないこれからの未来の一部を、今、そのときまで噛み締めようと、彼女の手を強く握る紀夫であった。

続く

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