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跪かせタイッ!?_07

悩みの種は、尽きないものです。

「で、先輩、何かわかりましたか?」
「んー、男女の仲というのは複雑ね」
「なにをいまさら。つか、先輩でも人並みに悩むことあるんですね」

 いつものミーティング。今日は屋上。前回の埃っぽいところに懲りたのか、彼女はバナナミルクを飲みながら。

「失礼ね。私だってあるわよ、悩みぐらい。たとえば、いつまでたっても結婚できない従兄弟とかさ」
「先輩、結婚したいんですか?」
「んー、一回くらいはしてみたいかな」

 トラブルを好む(暫定)彼女の結婚生活とういうのはどのようなものなのだろうか? 他人の私生活などこれまで興味を持たなかった稔だが、電車の中吊り広告に眼が行くようなものと、苦笑して流す。

「ね、稔はあたしに押し倒されてさ、好きになったりした?」
「それは、無理です」
「優ちゃんがもし居なかったら」
「そうなると……」

 彼女を知れば知るほどごめんこうむりたい。そんなことは口が裂けてもいえないのだが、かといって安易なごまかしをしたところでウソを突き通すほどの気力も無い。

「じゃさ、初めてフェラされたら?」
「逆にありえないと思います」
「そっか、そうよね」

 いったいなんのことなのかと首をかしげたくなるが、彼女の好む恋愛というのは、つまりこういう類のことなのだろう。確かに耳にするだけなら、おそらくは、もしかしたら楽しいのだし。

「じゃさ、泣いてたら?」
「んー理由によるかもしれませんけど、でも、自分が泣かせたのなら、そりゃ気になりますね」
「そこから恋が始まるとかさ」
「どうですかね。相手によるんじゃないすか?」

 自分はどうせ、いや、できればきっと、幼馴染とこれからも一緒。できることなら自分が少しだけ長生きしてやりたい。そんな気持ちがある。

「相手ねえ」

 そしてまた黙り込み、校庭でかいがいしく走り回るありんこのようなソフトボール部を見つめる紅葉。

「んー、やっぱりお互いを知ることからスタートかしらね」

 続いてどこかにメールを送信。おそらくは同級生の恋のお悩み相談だろう。彼女がその相手としてふさわしいかは別として。

「さて、来週の総体だけど、稔はでるんだっけ?」
「いえ、男子の枠は和彦と悟だけなんで、自分はでないっすよ」
「そ、じゃさ、とりあえず調べてきてよ」
「何をですか?」
「んーと、高級レストランと流行の映画!」

 隠しだまは変化球なのか? それともビーンボールなのか。
 とりあえず、あさってのほうへ投げられたのは事実。

*-*

「映画? んー、何がいいかな」
『何がいいかなって、別にお前が行くんじゃないんだぞ?』
「えー、もしかして稔、彼女できたとか?」
『違うよ。先輩が調べろっていうからさ』
「ふーん、稔、先輩と仲いいんだ」
『よかねーよ。ただ、なんつうか、ほら、逆らえないし』

 口ごもる彼は中学のころからの体育会系。上下関係にはそれなりに気を遣っているらしく、気苦労も絶えない。

「じゃさ、優が調べてもいい? あのね、この前パパとママと一緒にいったんだけど、すっごいレストランがあるんだよ」
『じゃあそこでいいや。どうせ俺たちがいくわけじゃないし、適当にしようぜ』
「あとさ、映画っていうと、もうすぐ終わりなんだよね。南太平洋の怪獣大決戦。お父さんが券もらってるからさ、行こうよ」
『なんだよ。また特撮かよ』

 かれこれ十数年の付き合いになるふたりだが、どうしてか映画の趣味は合わないらしく、優は常に特撮を見たがり、稔はそのときはやっているものを見られればそれでいい。

「特撮かっていうけどねえ、いい? 日本が生んだ最高にして世界に誇れる技術なんだよ? コンピューターグラフィックなんちゃらなんて味も無い薄っぺらいものよりずっと渋いんだから!」
『はいはい、わかったよ。んじゃ、そういうことで伝えておくよ。んじゃな』
「あ、ちょっとまってよ、稔!」

 ぶつりと切れた携帯をベッドに投げ出し、優はガラリと窓を開けて屋根伝いに隣の家の窓へ向かう。

「ちょっと、酷いじゃない! 話の途中で切るなんて!」
「おいおい、窓から入ってくるなよ。つか、最初から電話なんてしなくていいじゃねーか、これじゃ」

 部活の途中、相談したいことがあると持ちかけてきた稔に、優は「じゃあ後で電話して」といった。そもそも帰り道も一緒だというのに、なぜそのときにしてはいけないのか、彼にとっては不満でならなかった。

「いい? こういうのは雰囲気が大事なの。そもそも恋愛系の話でしょ? それなら電話に決まってるじゃない」
「いや、そんな不文律は初耳なんだが」
「あーこれだ。わかってない。君、これじゃ困るよ」

 いったい何が困るのかは不明だが、優はわざとらしく額をぺチンとたたき、両手を上げる。

「だからね、稔。いい? 良く聞きなさい。先輩から恋の相談をされました。どこへ行けばいいのでしょうか? 何を食べましょうか。それを聞かれたってことはさ、つまり、稔が誘われてるってことじゃない!」
「え? えぇ!」

 さすがにそれはないだろうと裏返った声を出す稔。

「ええじゃありません。いい? 稔にも遅い春が来たの。まあ、ついこないだも春だったけど、とにかく、春なのです。爛漫なのです」
「いや、話を聞けって」
「えと、誰先輩だっけ? 美奈子先輩? それとも久恵先輩?」
「いや、紅葉先輩だけど」
「あちゃー」
「えぇ……」

 先ほどのオーバーリアクションとはうってかわって、素な動作で自然に額をぺチンと叩く優。どうやら紅葉の放蕩ぶりは一年女子の間でも十分に知れているらしい。

「いや、まあ、しょうがない。ね、それじゃさ、んーと、いいこと考えた! 稔、私とデートの練習しない?」
「え?」
「だってさ、いきなり紅葉先輩とデートってなったら絶対大変だよ?」

 確かに彼女といきなりデートとなれば困るだろう。というか、一番困るのは、本命の彼女といきなりのデート。
 とくに、目をきらきら輝かせ、流行に乗り遅れた若草色のミニスカートを翻されると、視線は欲望に従うべきか、それとも恋心に従うべきかと混乱をきたす。

「あ、ああ。しょうがねえなあ。まあ、優相手じゃ調子狂うけど、まあ、行ってやるよ」
「なに言ってるのよ。ホントは嬉しいくせに!」

 そっぽを向く稔と、ガードの甘いわき腹を握りこぶしでどついてくる優。地味に痛みが蓄積されるのは気のせいだろうか?

 とはいえ、いつかは通る道と、稔は年相応のデートプランを練ることにしたのだった。

続く

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