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逃げ出しタイッ……。_4

最悪の体験

 身を覆うものはおそろいの黄色のブラだけ。最初は可愛らしいフリルのようなものが肌を刺してむずがゆかったけれど、日々身に着けているうちに柔らかくなっていく。
 もうすぐお小遣いもたまるのだから新しいものを買おう。それとも父親に頼んで買ってもらおうか? 甘えた声を出してお願いすれば、娘に甘い父のことだ、二つ返事で了解するだろう。
 だが、今はそれどころではない。

「いや、やめて……、お願い」

 威嚇のせいですっかり怯えた様子の雅美だが、今まさに剥ぎ取られようとしている使い古したブラを必至で守る。

「焦らすなよ、ま、そのほうが燃えるかも?」

 身勝手な解釈をする悟は拳を振るう動作を行う。

「いやぁ」

 また暴力を振るわれると予想した雅美は、頭を庇うようにして縮こまる。
 そして、肩に触れる手。

「ひぃっ!」

 反射的に飛びのこうとするも無機質な壁がそれを阻む。
 ぶちりと嫌な音。そしてこぼれる乳房。
 まだ男を知らないそれは、薄いピンクに近い肌の色。触りすぎると色素が沈着するからとお風呂でも注意して洗っている乳首は、シャワーが当たるたびに少し気持ちが昂ぶる。

「へー、きれいなおっぱいしてんな。なあ、マネージャー、お前って処女?」
「別に、いいでしょ、そんなこと……」

 両腕で隠し、できるだけ距離をとろうとする雅美。しかし、この格好では外にも逃げられず、かといって誰かが助けに来てくれる時間でもない。

「ね、やめて。お願い、酷いことしないで……」

 男の股間はズボンの上からでもわかるぐらいに隆起しており、その中にはきっと昨日の男と同じようなものがあるのだろう。

「酷いことってどんなこと?」
「だから、変なことすることよ」
「変なこと? 例えば?」
「その、アレだして……、無理やり、触らせたり」
「アレってこれか?」

 男はするっとズボンと一緒にトランクスを下ろし、ぶるんと勃起したものを見せる。

「や、いや、お願い、やめて」

 黒光りするそれを見て、昨日の悪夢がよみがえる。
 あのアンモニアくさくてしょっぱい、青臭さを持ち、ぬるりと喉に絡まる汁を垂れ流すモノ。
 自分は苦しく、気持ちが悪いというのに、男は喜び、こぼし、苦い汁を吐き出す。

「なに? マネージャーはチンコを無理やり触らせられたの?」
「……そう、そうよ。だから、お願い、田辺君、やめてよ」

 懇願する滑稽な自分。先ほどがらぎょろりと自分を見る男にそんな泣き落としなど無意味とわかっているのに。

「誰に? ねえ、誰に?」
「山形先輩だよ」
「どうして?」
「だって、その、無理やり」
「無理やりじゃないじゃん。先輩、言ってたぜ? 来週の日曜、試合サボるかわりだって」
「だからって、あんなことさせられるなんて」
「あんなことって?」
「だから、手でしてって」
「手だけ?」
「そうよ」
「ウソつくなよ」
「ホントだもん」
「フェラしたくせにさ」
「してないもん!」
「へー、強情だな。じゃあさ、これ見てみろよ」

 そういって悟は脱いだズボンから携帯のようなものを取り出し、なにか操作したあと、大きめな画面を見せる。

「俺の結構画質いいんだ」

 自慢したいのか、それとも絶望させたいのか、そこに映るのは四角い隙間から隠し撮りしたのか、昇の股間に顔をうずめ、苦しそうに前後する雅美の姿。たまにぶれるものの、二人の特徴はしっかり掴んでおり、他人の空似とは言いがたい。

「なあ、なんでフェラしてたのにウソつくの?」
「そんなの、言いたくないに決まってるじゃない……」

 とうに羞恥も過ぎ、絶望する前に希望もない。
 動画として保存され、たまに声、名前を呼ばれ、名前を呼ぶ自分。精子を顔にかけられた場面はご丁寧にズームされており、ぬらぬらと嫌なテカリを見せる。

「この後飲んだんでしょ? 先輩のザーメンうまかった?」
「そんなこと……」
「うまかったかって聞いてんだ! 答えろ!」
「おいしく、なんか、ないよ」

 激昂しているフリなのはわかる。けれど少しずつ、緩やかに下るように従い始める自分がいる。

「そうか、もしかしたら先輩のだけまずいのかもな」
「……」
「ならさ、俺のと比べてみねえ?」
「嫌よ!」
「あぁっ!?」
「嫌です」

 そして加速。

「嫌ですじゃねーだろ、いいか? お前は神聖な部室で先輩のチンコしゃぶってたんだぞ? フェラチオして、しかも精子飲んでんだぞ? 何考えてんだよ、このヘンタイフェラチオ女」

 事実は事実。だから否定できない。そして抗えない。今起こる恐怖と、これから起こりえる恐怖のため。

「ザーメン飲んでさ、つか、なんか臭うと思ったらさ、マネージャーがザーメン飲んだからか。おまえ、生臭いよ。ザーメン臭するわ」

 昨日は全てを洗い流そうと、お風呂に一時間以上入り、うがいも何度もした。
 けれど、体内に取り込まれた男の精はおそらくはまだ外に出ていない。それどころか吸収されているのではないか?
 精子の成分にたんぱく質は含まれている。それは人体を構成する成分のひとつ。ならば、あるいは……。

「いや、言わないで、お願い、言わないで」

 胸を隠すことも忘れて床に手を着き、涙をこぼす。このまま精が外に出てくれたらどんなに楽なのかと思いつつ、失うのはミネラルと期待する未来だけ。

「ならさ、俺にも気持ちいいことしてくれよ」
「いや……です」
「俺が満足したら、言わないでやるし、動画だって消すよ」
「ほん……と?」

 やさしい物腰、穏やかな声に顔を上げる。悟はにやけた様子だが、それでも怒鳴るときの険しい表情ではない。

「ああ、約束する」

 暴力から、恥辱から開放される。
 そう思うとあと一度だけ妙な行為をしたところで平気。我慢できる。
 汚れているといっても、それを知られなければ、なかったものと強引に解釈できる。

「わかったわ。してあげる」
「してあげる?」
「させてください」
「なにを?」
「フェラチオです」
「なに、マネージャーはフェラしたいの?」
「だって、そうしないと、田辺君、満足しないんでしょ?」
「俺を満足させてくれるのね」
「うん。だから、お願い、約束してよ」
「ああ、わかったよ。じゃ、頼むわ」
「ん」

 差し出された肉棒に手を添える。比べるのもアレだが、握った感じはおそらく山形より大きく、若干右にそれている。

「どお? 大きい?」
「うん、大きい。それに硬くて熱い」

 素直な感想として、そうだった。
 昇のはどちらかといえばぶよぶよとしており、握ると指が食い込む。どこか頼りなく、男という感じがしなかった。なのに、悟のモノは握力に抗う力があり、皮も余っていないせいでしごきづらい。

「んぅ、んっ、いいぞ、マネージャー、そのまま」

 亀頭の先っぽ、鈴口からにじみ出るものにすべりながら前後させること十数回、鼻につくスルメのような臭いが気になりだす。

「はぁ、はぁ」

 仕方なく口で息をするも、その卑猥な臭いが口から入っているようで気持ちが悪い。

「なに? マネージャーまではぁはぁいってるけどさ、興奮してるとか?」
「してないわよ、するわけないじゃん」
「んでもさ、マネージャーだってエッチに興味あるわけだろ? チンコみたいとか思ってんじゃねーの?」
「そんなこと、ないもん」

 男の性器など、どれも同じ。できの悪いフランクフルト、もしくはソーセージに頭は亀か、皮かむり。あとは色や大きさの違いぐらいで、そう変わりばえもないはず。それこそ、好きでもない男なら当然気にならない。

「なあ、俺のと先輩のどっちが好み?」
「変なこと言わないでよ」

 妙に言葉攻めが多い。悟のことはよく知らないが、こんなねちねちと言ってくる男とは思わなかったが。そして、それ以上にある種の違和感がある。

「なあ、教えろよ」
「……田辺君のほうが男らしい」

 正直どっちもどっちなのだが、ぶよぶよとした醜い皮のあるアレと比べれば、雄々しく勃起できるもののほうが良いと感じた。もっとも、今機嫌を損なうわけにいかないという打算込みだが。

「へー、マネージャーは男らしいチンコが好きなんだ」
「……」
「なあ、じゃあさ、ほしくならね?」
「え?」
「やりたくならねえかって聞いてんの」
「や、それだけは、やだ。絶対嫌……」

 行為の行く先など、そこにしかない。
 処女である雅美でもそれぐらいはわかる。フェラチオは男をその気にさせる手段であって、男女の目的にはなり得ない。

「いいじゃん、つか減るもんじゃないし」

 後退するも逃げ場などない。もうそろそろ本気で抵抗すべきなのだが、なぜか足がすくんで動いてくれない。

「それに、満足させてくれんだろ? お前にへたくそなフェラされるよりもさ、生でマンコさせてもらったほうがぜってー気持ちよさそうだし、な?」

 まるで消しゴムでも借りるような言い草に腹が立つも、絶対的な有利は悟にある。
 もしここで拒んだところで待つのは新たな脅迫か、羞恥の記録を暴かれること。
 ムービーには昇と自分が映っているのであって、悟はただの出歯亀に過ぎず、恥を書くのは……。

「やべ、その表情たまんねーわ。犯されるくせに、どっか期待してんだろ? つか、ほんとはやりたいんだよな、この淫乱マネージャー……」

 正面にかがみこむ悟はそのままショーツに手を伸ばし、力強く引っ張る。

「や、お願い、やめて。私処女なんだよ? 初めては好きな人と……、そうだ、いいこと考えた、私が処女を捨てたらやらせてあげる。ね、それなら平気だから、お願い、やめてよ」

 初めては好きな人に愛されながら。
 クラスの女子の八割以上が賛同してくれる条項だが、男子にとってはどうなのだろうか? 彼らも好きな人に童貞をささげたいのか、それとも、その場の雰囲気にのまれて経験をしたいのだろうか?
 もっとも、悟がそんなセンチメンタルな気持ちの持ち主には見えない。

「初めてってのは痛いんだろ?」
「うん、多分、だから、ね、お願い」
「ならさ、好きな奴とは痛くなくならないようにしたほうが得じゃね?」

 ショーツを掴む手に力が入る。拒む手は、乱暴に胸をもまれた瞬間、力が抜けてすがる程度になる。

「雅美のマンコ、うわ、すっげえ濃いわ~」

 めくられ、脱がされ、暴かれる。
 水泳の授業で思ったことだが、確かに陰毛が他の女子に比べて濃い。
 ためしに剃ってみたが、ちくちくするのと、もとが剛毛ならしく、意味がなかったのは、夏の切ない思い出。

「いや、見ないで、見ないで」

 父にも見せたことのない女の密林を見られた。本当なら好きな人に誘われ、焦られ、じっくりと、ゆっくりと探検してもらいたかった箇所だが、今回の冒険者は脅迫という地図を片手に乱暴に進入してくる。

「あ、いや、急に入れられたら!!」

 触る、見るというワンクッションなしに強引に指が忍び寄る。
 一本、続いて二本目。生理は常にナプキンで処理している彼女にとって、膣は未知の領域。オナニーのときも皮に隠れたクリトリスをいじり、陰唇の類を触る程度で満足している彼女にはきついこと。

「へぇ、こうなってんだ、女って……」

 感慨深そうに指を動かす悟はおそらく童貞なのだろう。
 彼にとって初の体験となる女の中は狭く、暖かく、ぬるりと滑り、さらに奥へと誘っているようにもみえた。

「はぁはぁ、やべ、でちゃいそう。つか、女のアソコ、なんでこんなえろいんだろ」

 できることならそのまま達してもらいたいのだが、醜い肉棒は上下に頷くばかりでその気配もない。

「や、だめ、いじらないでぇ……」

 意識することなく声が上ずり、甘い響きをかもし始める。

「なあ、もしかして、マネージャーも感じてるとか?」
「そんなこと、ないわ」

 強がったところで守れるものもない。どちらかというと混乱がそれを言わせているのだろうか。

 膣内をいじる二本の指は、身体の芯に響くような刺激があり、敏感な部分に当たるたびに腰がうねってしまう。

 ――やだあ、あたしの身体、もしかして、本当に……。

 自慰のときよりも身体が熱い。羞恥のせいもあるだろうけれど、指が奥まっていくたびに甘い痺れが起こり、まぶたが重くなる。

「んはぁ……」

 柔らかなおなかがきゅうとへこみ、肺にたまっていた空気を押し出す。
 口を閉じようとしてもそれができず、右手は悟に掴まれて動けそうにない。なら左手はというと、たまに床を引っかくだけ。
 口の端からよだれが垂れ、乳房に滴る。
 唾液はいつになく糸を引き、水玉がつつーと下に移動するのが見えた。

 ――あは、なんか変なの。

 現実を逃避しつつある彼女は目の前で息を荒げて陰茎をまさぐる猿を忘れさせ、まどろみの中へと陥る。

「はぁはぁ、うぅ、そろそろ、いいよな? いんだな!」

 もう猿のキーキー喚くような威嚇も怖くない。かといって期待するわけでもない。せめてこの夢心地の状態で惨劇が終われば……、

「いくぞ」

 のめりこみ、亀頭をこすりつけるケダモノ。

「うぅ」
「ひゃぅん!」

 生暖かいものが割れ目をなぞり、ちゅぷりと音を立てる。

 そして、

「うあぁぁぁぁ……、くぅ、すげ、せまい」
「いた、痛い……、痛いってば、やめて、痛いってばああああ!」

 雅美の絶叫と悟のため息。
 男が女にのめりこむと同時に、なぜか彼女は彼の背中にしがみついてしまう。
 つまりは男を受け入れ、抱きしめ、愛し合う格好。
 はたから見れば、そうも映るわけで……。

**

「んぅ、はぅ、あう、う、すげ、はぁはぁ、やべえ、まじできもちいい」

 男は何が楽しいのか、女に沈み込み、不規則なリズムで腰を動かす。
 そしてたまに目をつぶり、何かを我慢するかのようにしたり、舌を突き出して上唇をなめてみたり。
 その異常行動は全て男女の下半身のコミュニケーションの産物。

「うぅ、いや、痛いの。お願い。もうやめて、お願い、フェラでもなんでもしてあげるから、だから、これ以上、しないで……」

 しかし、彼に乗られる格好の彼女は苦悶の表情にうめき、首を横に振り、それどころではなさそう。

「バカかお前。こんな気持ちいいこと、やめられっかつうの。だってよ、まじで、お前の中、いいぜ。気持ちいい。やべ、出そう。だって、きついし、でこぼこしてるし、いいわ、すげー名器。さすが、マネージャー、性欲処理も、完璧だな」
「いや、いやよ。変なこといわないでよ。痛いってば、離してよ、お願い、ゆるしてよ!」

 自分は何の咎もない。けれど、赦しを請う矛盾。いや、もしかしたら自分に謝っているのかもしれない。なぜなら、痛みに見え隠れする気持ちがある。

 ――うそ、やだってば、そんなこと、あるわけない。だって、レイプされてんだよ。なのに……。

「うぅ、ひっくぅ、んくぅ、やぁん、だめぇ、あ、あぁん、うぅん」

 悲鳴と遮る言葉にまぎれる喘ぎ声。じたばたしていた足はいつの間にか彼の下半身にすりより、右手は指一本ずつ絡み合うしまつ。

 ――違うの、これは田辺が早く終わるようにしてるだけなの。うそじゃないもん。だって、こんな卑劣な奴、で、感じる、わけ、ない……。

「うぅ、あ、あ、あ、やめて、お願い、それ以上、早くしないで、だめだめだめ、だめなの、ね、やめよう。あたしたち、高校生じゃない、あ、んぅ、いくぅ、あ、やだ、だめ、いまのなし。イクはずないもんんんんぅ、ね、もっとゆっくり、じゃないと、私、おかしくなるもん。や、だめ、おっぱいなめないで、乳首つままないで、やだ、唾液、べとべとにしてこないでよ」

 早口でまくし立てる彼女は自分の言葉にすら感じ始めている。
 そう確信した悟は彼女の小ぶりだが形と色のよい乳房に唇をつけると、ちゅうちゅうと音を立てて吸い付く。

「んぅ、やぁだめなのにぃ」

 結合部は鮮血の赤と淫らな汁がじゅぷじゅっぷと音をたて、脊椎に甘美な刺激を走らせる。

「はぁはぁ、はっはっ、うぅ、いいぞ、お前、感じてんだろ。このヘンタイ。やりマンの素質あるよ、まじで。なあ、そうだろ?」
「ないもん、いらないもん、そんな素質」

 涙ぐみ、彼の背中に手を回す雅美。その手は力なく肌を引掻き、すがりつくばかり。

「さっきイクっていってたよな? どうなんだ、本当にイクのか? ああ?」
「うぅ……。い、……くかも」
「ああん!? きこえねえーよ、ちゃんと言わないとこのまま中に出すぞ!?」
「やだ、それだけはやめて!」
「だったら言えよ。いきそうですってよ」
「ん、いきそ、かも、うんん、イク、あ、だめ、お願い、やめて、イクなんていや、やめてぇえええええ!!」

 雅美の告白など待たず、そして懇願など聞く耳持たず、男は腰の動きを早め、彼女の悲鳴に似たあえぎ声を聞くと同時に大きく身体を滑らせ、背をのけぞらせるようになり、そしてしばらく留まる。

「……あ、あぁ」
「ん、あぁ」

 雅美は我も忘れて彼にしがみつく。

「はぁ、あぁぁぁ」
「んぅ、くぅ」

 しばらくつっぱたままの悟だが、急に糸が切れたかのようにへたれこみ、そのまま雅美に覆いかぶさる。

「はぁはぁ、やべ、気持ちよすぎ……」

 絶頂に達した悟は満足げに荒い息を吐き出している。

「んぅあ、はぁはぁ、なんで、こんなこと……に、うくぅ」

 それは雅美も同じらしく、破瓜の痛みも忘れて覆いかぶさる男の肩に噛み付き、身体を駆け巡る快楽に耐える。

 自慰で絶頂を覚えることはこれまでもあった。けれど、最初の一回で懲りた。理由は思わず出てしまった声のせい。
 彼女はイク時、ボリュームを調節しないらしく、その声に驚いた親と妹がやってきて、必至にごまかすという苦い五分を過ごした。
 それ以降は少し気持ちよくなる程度に抑えるか、誰もいないときだけにしていた。
 今日はそれができず、代わりに男に噛み付くことで我慢するが、相手は愛撫と勘違いしたのか、髪を撫でてくる。

 そして、それがむしょうに腹が立つ。
 どこか安心させられるようで……。

 ――違うもん。これは、終わったからの安心だもん。だから、全然違うの?

 ――終わった。何が? セックス? 違うよ。これはレイプだもん。でも、終わったって事はどうなの? だって、あ、やだ、なんか変な感じがするよ。どうして……?

「ちょっと、田辺君、ゴムは? コンドームしてた?」
「してねえよ。なんでそんなのしないといけないんだよ。それにお前だって生のほうが気持ちいいだろ?」
「そんな、だめだよ、お願い離れて、私、子供なんかできたら、やだ、中に出てる! 早く離れてよお!!」

 先ほどまで絡めていた指先がそれを拒み、足で抱く格好になっていたせいか、下半身ではねたところで男のそれが前後するだけ。

「なんだよ、つめてえな。ま、いっか、気持ちよかったし」

 ようやく立ち上がる男は亀頭の先からまだカウパー腺液をたらしており、白い濁りも見えた気がする。

「やだ、だめだよ。私危険日かもしれないのに……」

 まだ笑っている膝で無理やり立ち、陰唇を大きく開く。

「何か洗うもの、ない? 何かないの……」

 ふらつく足取りで手に取るのは水筒。中にはつめたいお茶を入れておいたから……、

「お願い出て、出てってよ、ねえ、お願いだってば」

 半狂乱になりながら自らの性器にお茶をかけ、ぐちゃぐちゃとかき回す雅美。ぬめり気のあるそれは足が遅いせいか、指で掬いとってようやく出る程度。

「はは、コーラで洗ったほうがいんじゃね?」
「それホント?」
「あ、ああ、昔誰かが言ってた」

 ぐわっとつかみよる雅美の迫力に負けた悟は、少々ひき気味になりながら答える。

「そう、わかった」

 雅美はそれだけ言うと、お茶と行為の残滓も気にせず、ジャージを羽織り、手近にあった荷物だけ持ち出し、部室を出る。

「はは、バカな奴っすね」

 雅美が居なくなった部室で誰に話しかけているのか?
 それは今の彼女の耳には届かず、またそれどころでもないのだが……。

続く

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