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逃げ出しタイッ……。_20

期待

 歩道橋を渡って地下鉄へ。地味な茶色の定期入れは来週で中身ごとお払い箱。
 プラットホームであくびする人に、携帯電話片手に必至に謝るサラリーマン。
 普段より一時間ずらしてのオフピーク通学。
 そのせいか、周りを見る余裕があった。

 いつもの通学路も今日で見納め。
 学校へ行くのはこれで最後。

 母が代わりに行く、もしくはついていくときかなかったが、パート先でインフルエンザがはやっているらしく、急遽出勤要請がきた。
 それならば日をずらしてと食い下がっていたが、雅美の早く終わらせたいという希望に頷いてくれた。

 あの日から変わったこと。

 それは、父の帰りが十分少々早くなったことと、夜、なぜかベッドに智美がもぐりこんでくること。
 鬱陶しいからやめるように頼んでも、彼女はさびしいからと譲らなかった。

 最初、気を遣われるのが嫌だった。
 もう自分は大丈夫。

 だから気にしないでほしい。

 そう願っていたのだから、家族の暖かい行為も、どこかとげとげしく対応してしまう。

 だから、母を拒んだ。

 一番、無理、わがままを言いやすい母に、そのとげが向かっただけのこと。

**

 昇降口には誰も居ない。
 もう二時限目が始まっている時間であり、当然のこと。
 退学届けはすでに提出している。
 もう学校に籍はない。
 私物は全て生徒指導室にある。
 後藤には車で送ると言われたが、断った。

 顔色を覗かれながらなんてまっぴらだ。
 これ以上、人を腫れ物のように扱うな。

 私は、もういいんだ!

 そんな空元気を振り回し、生徒指導室に向かった。

**

 荷物など、どれもいらない。すくなくともこれからの生活には必要がない。
 制服も体操着も、ウインドブレーカーもいらない。
 ここから家のゴミ箱に移すだけのこと。
 それこそ、焼却炉に捨ててくれたほうがありがたい。
 未練もないものだからと、ビニールのゴミ袋にまとめて入れる。
 季節をひとつはやめたサンタクロースは相模原市の指定のゴミ袋を背負う。

「……ばっかみたい」

 来る必要も無かったと思いながらも、本当は、ひとつ期待するぐらい許されるべき、と打算のあってのこと。

 だからこそ、遠回りして昇降口に向かったわけだが……。

続く

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