「まったく、好きにすれば?」
それを悟られるのが嫌で、逆に冷静さを装う加奈子。
いつも、いつのまにかしてしまう意地っ張り。
ただ、今だけは真由のおかしな話と、修学旅行の夜、一緒の布団にいられる恋人に少しだけわがままを許してあげたいという妙な気持ちも無きにしも非ず。
「んでも、さ……、やっぱエッチ、興味ない?」
「そりゃ、あるけど、でも……」
ふくらはぎを抱きしめる手が膝の皿を触り、太ももに触れる。
「ね、もし健一君としたら教えてよ。私、彼氏いないし……そういうの全然できないから……」
意外にもしおらしくなる真由に女としての優越感を覚えてしまう加奈子。
「しょうがないわね……、初エッチしたら教えてあげるわよ……。ね、健一……」
「とかいって、今から始めないでよ? 恵美ちゃん、もう寝てるんだし……」
「もう、バカ……さっさと寝なさい……」
「はーい、おやすみままん」
「誰がままんよ、誰が……」
布団を被る音がしたら、もう真由も返事をしてくれない。
規則正しい寝息を立て、たまにあくびをしてごそごそとする。
「……ん……」
太ももに触れていた手が動き、そして内側に移動し始める。
「ちょっと、そこまでしていいなんて言ってないでしょ? もう、やめないと怒るわよ」
いつもの力関係なら彼が拗ねて退散するはず。
なのに、彼は言うことを聞かず、さらにまさぐり始めるその手は円を描き始める。
「……や、ちょっと、エッチ。そんなのまだ早いってば……ん、ぅ……ちょっと、ね、だめだよ……」
背筋がぞくぞくとしだし、目じりに涙が滲み出す。
嫌なわけではない。
相手は健一。自分の彼氏なのだから。
「あ、やだ、もうだめぇ……」
手がパジャマのズボンをずり下ろし始めたとき、微力ながら抵抗をした。
当然男の欲情した腕力には勝てず、ずるずると引きずられる。
そして内腿に触れる彼の手。
大きめで乾いた手。すこしひんやりしているけれど、やさしく撫でてくれるのが嬉しかった。
「ん、けんいちぃ……、だめだよ、私たちまだ……子供じゃない……」
学年の何人かは修学旅行前に既に……。先ほどの真由の話を考えれば、今もトイレで……?
――やば、今日のパンツ、あんまりかわいくないんだっけ……。
水色の縞模様のショーツは子供じみているが、お尻にフィットする感じが気に入っている。けれど、男を誘惑するには力不足が否めない。
しかし、この暗闇では模様など見えず、ただの邪魔な布。
――上手に脱がしてよ……。
ショーツを掴み、おろされないようにと抵抗する振りを続ける加奈子。その隙間を縫って彼の指先はもぐりこみ、薄い陰毛に触れる……。
「ひぅ!」
思わず声が出てしまい、あわてて布団を被る加奈子。そのままごそごそと動き、身体を丸めて彼と思しき頭をペンッと叩く。
「……もう、だめでしょ、いたずらしちゃ……メッ!」
おどけて言うも、彼の手は未だに加奈子の大切な部分をキープ。むしろその言葉に興奮したのか、指が蠢きだし、密林を抜けて幼い割れ目に到達する。
「ん、もう……どうしたのけんいちぃ、そんなエッチなこと、急に……されちゃあ……」
普段のぼうっとした彼からは考えられないぐらいに積極的。指使いが巧いかどうかはこの際どうでもよく、行為を求めてきたことに加奈子も興奮を隠せない。
「さっきの真由の話で興奮したの?」
その答えは割れ目をなぞる指先が答える。
「ん、んくぅ……あっ、あぁ……」
痺れを伴う快感が股間から生まれてくる。
自慰よりも強く、乱暴なもの。
自分で制御できない快感はある種の恐怖と期待をくれる。
「ね、お願い……声、出ちゃうから、やめてよ……」
切れ切れになる哀願にも指は留まることをせず、ついには割れ目にぐいぐいと侵入し始め……、奥からジュンとした愛液が零れるのがわかった。
「あぁ…………っ」
――ウソ、指、入ってきちゃった!!
続く