「……んぅ、んくん! んくん!」
声を押し殺すこともできず、びくびくと身体を痙攣させる加奈子。
普段の一人遊びならそれほど激しくなることもない。だが、容赦ない男の指は愛液を纏い、膣内部を乱暴にかき回し始める。
「くぅうぅん……」
子犬のような声を上げたあと、加奈子はシーツに噛み付き、布団にしがみつく。
……くちゅくちゅぬちゅぬちゅずちゅずちゅ……
……じゅっぽじゅっぽ……
男の指はいつの間にか三本に増え、膣襞のでこぼこをくすぐるようになぶり始める。
「ふぅん……ふぅん……ぅ、うぅ、うっ……ん、ぅうぅ……。お願い、じらさないで……女の子も……苦しいの……ね、イジワルしないで、もっと……ちょう……だい?」
いつの間にかお尻を上げる格好になる加奈子。もし尻尾があればパタパタと見境なく振っていたろう。涙をぽろぽろと零しながら、このまま上り詰めたいと願い始めていた……。
しかし、指はすっと引き……、逆にショーツを穿かせようとしてくる。
「うそ、ずるいよ……、ここまでして、最後までしてくれないなんて……」
撤退する彼の指に追いすがる加奈子だが、少し向こうで音がした。
「んぅ……おしっこ」
恵美が起き上がり、眠そうに目をこすりながらトイレに行く。
――気付かれてた? なわけないよね……。え?
そしてまた指がやってくる。今度はショーツの上から……。
「や、ちょっと恵美に気付かれたらどうするのよ……」
加奈子の非難めいた声に差し出されるのは毛布。
おそらくはこれを抱いて声を殺せということなのだろうけれど、彼女としては恵美が寝付いてから安全に遊びたい。
「ね、こんなところじゃなくて……二人になれるとこでしようよ……」
完全に欲情してしまった加奈子は彼の手を引く。
けれど、男はそれを払い、毛布を押し出す。
「わかったわよ……、その代わり、明日酷いからね……」
声が漏れないようにぎゅっと掴み、顔を隠す。これなら多少漏れても、健一のいびきだと言いくるめることもできる。
「ん、んぅ、……ふぅんふぅん……ふくぅくぅん……」
ふすまの向こうでは恵美が起きているというにも関わらず、加奈子は男の指遊びに夢中。
布越しにさすられ、自分の出す淫らな汁の冷たさにもだえながら、加奈子は……。
「く、く、くぅ……くぅん……ひぅ、ひぅ…………」
お尻をぴくぴくと震わせながら、絶頂に達した。
シーツには唾液とよだれ、鼻水が染みをつくり、ショーツは股間の辺りがべとべとで気持ちが悪い。
けれど、「健一」の意外な積極さと、愛撫による絶頂がそれをしばし忘れさせ、その疲労感からか、目を閉じるとすっと眠りにつけた……。
~~
「……ほら、男どもは起きて……」
「ん、んぅ?」
朝方、携帯の時計はまだ五時を示しており、起床にはあと一時間半はあるはず。
「ほら、健一君も、涼君も起きて起きて……」
そこでようやく昨日のことを思い出す。部屋交換をしていた孝美が帰ってきたのだと。
「ん、うん……ふぁ~あ、おはよ……孝美ちゃん」
「もう、おはようじゃないでしょ? 健一君もさっさとおきて……」
恵美の向かいで寝ている男子を起こす孝美。呼ばれた男子は大きなあくびをしながら起き上がり、布団をぎゅっと掴んでいた加奈子に「おはよ」とやさしく微笑む。
「うん? お、おはよ……」
加奈子もそれに応えるが、若干の違和感……。
すると、自分の隣に寝ていた男子も起き上がり……。
「ふぁーあ、んじゃ行くか、健一……」
――涼君? なんで隣に? だって、涼君は端っこのはず……じゃ?
加奈子は部屋を出る二人をじっと見つめながら、昨日の寝る前のことを思い出す。
恵美の向かいで寝ていたのは健一で、自分の布団にもぐりこんできたのは……?
そして、また……ショーツが冷たくなるのを感じる。
なのに、熱い……。
どうしてか?
それは昨日のことを思い出してのこと……。
続く