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修学旅行の夜に_11

 ばらばらに行動していた結果、バスの時刻に間に合わずもう一時間待つことになった加奈子たち一行。
 その戦犯である健一は皆に平謝りをし、缶コーヒーをおごる羽目となった。

「もう、健一ってばひどいよ。こんなかわいい彼女を置いてどこに行ってたのよ!」
「ごめん。面目ない……」
「知らない!」
「あ、待ってよ」
「今更なに言ってるの? あんたはそこで反省してなさい!」
「うう……、加奈子……」

 去っていく主人を見つめる室内犬のようにバス停にたたずむ健一は少しかわいそうな気もしたが、ここで許しても癖になると厳しくする加奈子。

 恵美はコートを羽織りながら風をしのげる場所に向かうので、それについていく。
 さすがに即席カップルのように恋愛暖房などという非科学極まりない暖のとり方もないのだから。

~~

 外にいるのも辛いと、展望台の一階にあるお土産コーナーにやってきた加奈子。
 姉から頼まれていたものがあったのだが、何度見ても見当たらない。売り切れているらしく、どう言い訳をしようかと悩むところ。

「ん~」

 頭を切り替えて自分ようのお土産を買おうとするが、どれも趣味に合わない。
 時計を見ても、まだ一時間弱自由時間がある。
 健一を誘って展望台に行くという選択肢もあるが、涼のせいでなぜかやりづらい。

 ――涼君、どういうつもりなんだろ?

 自分と一緒に大海原が見たかった。
 そういって自分を抱きしめてくれた。
 吹きさらしの風から守ってくれた。

 ただの男友達なのに、
 彼氏との共通の友達なのに、

 本当は?

「ねえ、智也たち見なかった?」
「え?」

 振り返ればそれが自然のように涼がいる。こそこそと物陰にかくれるようにして小声でしゃべる彼は、まるでスパイ映画の間抜けな主人公。

「いないよ? どうして?」
「ん? なんかさっき二人でトイレ行ってたんだけど……」
「トイレ? 別にいいじゃん」
「いや、だって俺、男子トイレ見たけど、智也いなかったし……。ねえ、加奈子ちゃん女子トイレ見てきてよ……」
「ん? うん、いいけど……」

 まだ集合時間には間があるのだから自由にさせてあげればよいと思いつつ、訝しむ彼につられてしまう自分がいた。

~~

 観光スポットだけあってトイレもそれなりに広く、綺麗でバリアフリーの個室もある。
 女子トイレはいくつか閉まっていたが、声を掛けるわけにも聞き耳を立てるわけにもいかず、正直どうやって孝美を探せばよいかと悩んでしまう。

「うう……さむさむ……」

 暖房から遠ざかったせいで尿意を催した加奈子はそそくさとあいているトイレに入る。

 ・・・

「ふぅ……すっきりんこ……っと?」

 服をただしたところで何かに気付く。

 ……ぁん、ぁん、ゃぁ、ぃ、ぃぃょぉ……

 ――ウソ!?

 前後を見るも妙な雰囲気はしない。だが、耳に届く女の嬌声。不愉快でふしだらな声。そして、聞き覚えのある声。

 ――だって、どこから?

 個室内をうろうろすること数秒、それが壁の向こう側からだと気付く。

 ――壁? あ、違う。もしかして……。

 思い当たる節があった加奈子は急いで個室を出て手を洗ってトイレをあとにする。

~~

「……涼君……」

 男子トイレと男子トイレの間にあるバリアフリーの個室の前にいた涼に声を掛ける。

「加奈子ちゃん……」

 おそらく彼も気付いているのだろう。複雑な表情でいた。
 彼は加奈子に手で来るように合図するので、物音を立てないようについていく。

 男子トイレの一番左の個室。故障中とあるが、涼はドアを開けて入るように促す。
 壁には亀裂が入っており、ところどころボルトのようなものが落ちていたが、その先に見えたものは……、

 ……ぁぁ、ともゃぁ……、もっとぉ、もっとぉ……ぃぃのぉ……

 お尻を突き出し、手すりにしがみつく孝美。
 ブレザーとコートは壁に掛けてあり、半分ボタンの外れたブラウスからは緑のブラと白い小ぶりのおっぱいが見えた。

 ……ぁぁ、たかみぃ、ぉれ、ずっとまぇから、こぅなりたかった……

 背後から孝美の下半身を押さえつけているのは智也。
 上半身こそ乱れていないものの、下半身は素っ裸。

 ――ウソ、二人ともトイレでするの!?

 昨日までは、少なくとも昼まではただのクラスメートでしかなかったはずの男女が、一夜明けた途端に身体を合わせる仲になった。
 にわかに信じにくいことだが、床に落ちているきつく結ばれたゴムがそれを物語っている。

 ――コンドーム? なんだ……。

 薄水色のそれは保健の授業でもらったもの。加奈子も定期入れの裏にお守り代わりに入れているが、この前破けたらしく、干からびていたので捨てた。
 ただ、もっていないと「誰と使ったの?」とかんぐられそうなので、財布の中に同じような種類のを入れている。

 ――なんか、すごい……。

 普段はクールというか男勝りの彼女が、性の行為ひとつであそこまで変貌することに驚きつつ、その快感に浸れる二人が羨ましかった。

 ――健一がいけないんだ。私たち、もう付き合ってるんだし、ちょっとぐらい勇気を出してくれても……。

「……どう? 加奈子ちゃん……」
「……どうって……どうも……」

 後ろで扉が閉まる音がしたが、前の二人の行為に気持ちがいっている加奈子は気付かない。

続く

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