「……そりゃ、そうでしょ……」
級友の痴態を前にして息苦しさを覚える加奈子。
胸は高鳴り、孝美の胸が揉まれるたびにそれが自分に反映されるのか、乳首がブラとこすれてびりびりとした刺激を感じる。
そして、いつの間にか、手が……、胸ポケットの中を探り出し、無いはずのペンを探すふりをする。
「……どうしたの? 胸触って……、苦しいの?」
「……んーん、探し物……」
「……ふーん。それじゃあ俺も一緒に探してあげる……」
「……え? あ、やだ!」
ブレザーとはいえ、胸ポケットに男の手が入る。飛びのきたいが、前、左右は壁で後ろは涼。
「しっ! 静かに。気付かれちゃうから……」
涼の手はCカップある加奈子の胸をブラウス、ブレザー、ブラ越しにまさぐってくる。
「ないね。いったい何を探してたの?」
「な、なにも探してないわ……ね、お願いだから悪ふざけはやめて……」
「うそうそ、探してるんでしょ? 触ると気持ちよくなるところ……」
彼の手がブラウス越しにブラをめくり、覗きの興奮から勃起していた乳首の先端を掠めるようにさする。
「んっ!」
甘い痺れ、一瞬の電撃。
昨日された愛撫よりは薄いものの、今は相手が見えている。
「いや。離れてよ。大声だすわよ。そしたら孝美たちに気付かれちゃうんだから!」
胸を守るように前で腕を組み、キッと睨み返す加奈子だが、涼は優しい微笑みを浮かべたまま。
「照れてるの? かわいい」
くすりと笑ったあと、涼は頬が触れる距離まで近づき、耳を隠す髪をそっとかきあげ、ふっと息を吹きかける。
「くぅん……」
ぞくぞくと背筋を走る痺れに敏感に反応する加奈子。普段のハスキーな声は無く、鼻にかかった声でうめく。
「またイイコト、してあげたいな……」
――またって……、やっぱり昨日の……りょう……君だったの……。
闇夜に紛れた淫らなイタズラは恋人の悪ふざけ。
そうであってほしかった。
困惑に身体が縛られた加奈子はきょろきょろと辺りを見回すが、目の前の男はそれを遮るように「ん?」「どうしたの?」と甘いマスクでそれを遮る。
「や、だめ……」
彼の手が腕の戒めを解き、胸に触れたとき、意外にも加奈子は声を押し殺していた。
――なんで? いやじゃないの? だって、彼は涼君で、健一が私の彼氏で……、でも、昨日私を……させたのは涼君で……、今も、彼の手、なんか……変。
「素直だね。加奈子ちゃん……」
前かがみになった涼は布団に突っ伏すように彼女の胸に顔をうずめ、眠そうな猫のようにゆっくりとその感触を楽しむ。
「素直なんかじゃ……ない」
――これって……浮気……なの?
甘える風に抱きつく彼の頭に触れる自分。
力を込めて押し返すべきなのに、天使の輪が見えそうな髪をむげにすることもできない。
「あは、嬉しい。加奈子ちゃん、なでなでしてくれるんだ……」
「そんなこと、ただ、手が滑っただけ……」
「すべったの? ふ~ん……、じゃあさ、もっと滑らない?」
「え?」
がばっと起き上がった彼は彼女の手をとり、それを滑らせ……、
「ちょっと、涼君!」
「し! 気付かれるよ?」
「な……」
もう片方の手が加奈子の口を塞ぐ。
ならば、もう片方の手は……?
続く