「ダウトーッ!」
「うっは! なんでわかるのさ……」
「へへーんだ、智也君は顔に出るんだってば」
けらけら笑う恵美は勝ち誇ったようにトランプを智也に渡す。
孝美は「もう……」彼のことを小突き、一緒に揃える。
「おーっす、ただいま戻りました」
「あ、健一君待ってたんだよ」
「お、英雄様の帰還か! お疲れ様です!」
調子よくあわせる智也と、その隣で「昨日は先に逃げてごめんね」という孝美。
「何々? 昨日なにかあったの?」
いぶかる弘樹は隣にいる優衣と文江に話を振る。
「んーん、知らないよ?」
「わたしも」
「うふふ、昨日ね、夜中に外に出てみんなで天体観測してたの。それがばれてさ……」
楽しそうに言うのは真由。
「カノジョを守りたい健一公は果敢にも『ここには自分ひとりであります』と騙ったわけよ」
ふぅと苦笑交じりの恵美は何かに気付く。
「あれ? 加奈子は? お姫様がいないじゃん」
「ああ、どこいったんだろ」
「どうせトイレだよ。それより八人いるし、ボックスの席二つにしない? トランプもう一組あるし、大富豪大会!」
まだ遊び足りないらしい真由はバックからトランプを取り出し、後ろの席の子達と席の交換を交渉しだす。
「けど……」
気がかりなことなどない。ただ、できれば一緒が良かった。旅行の間、ほとんど一緒にいられなかった寂しさが後悔となって実感できたから。
「おいおい健一、こんな忙しい場所で二人になろうなんて無理だって。そういうのは帰り道にとっておけよ。な?」
「そうだよ。こんなところでいちゃいちゃされたらわたし達が悲劇じゃん!」
調子よく言う真由のわき腹を恵美がひじで打つ。
「ちょっと、その達ってわたしもはいってるわけ?」
「そうだよ? つか、がんばってね。きっと恵美にもいい人見つかるから!」
「な、わたしは別にいいってば! それよか健一、あんたも参加なさい! いいわね!」
「はいはい、わかったよ……、でもやるからには負けないぞ!」
だが、昨日感じた一体感。
カノジョもあの夜空に自分と同じことを感じてくれたはず。
だから……、
続く
孝美は「もう……」彼のことを小突き、一緒に揃える。
「おーっす、ただいま戻りました」
「あ、健一君待ってたんだよ」
「お、英雄様の帰還か! お疲れ様です!」
調子よくあわせる智也と、その隣で「昨日は先に逃げてごめんね」という孝美。
「何々? 昨日なにかあったの?」
いぶかる弘樹は隣にいる優衣と文江に話を振る。
「んーん、知らないよ?」
「わたしも」
「うふふ、昨日ね、夜中に外に出てみんなで天体観測してたの。それがばれてさ……」
楽しそうに言うのは真由。
「カノジョを守りたい健一公は果敢にも『ここには自分ひとりであります』と騙ったわけよ」
ふぅと苦笑交じりの恵美は何かに気付く。
「あれ? 加奈子は? お姫様がいないじゃん」
「ああ、どこいったんだろ」
「どうせトイレだよ。それより八人いるし、ボックスの席二つにしない? トランプもう一組あるし、大富豪大会!」
まだ遊び足りないらしい真由はバックからトランプを取り出し、後ろの席の子達と席の交換を交渉しだす。
「けど……」
気がかりなことなどない。ただ、できれば一緒が良かった。旅行の間、ほとんど一緒にいられなかった寂しさが後悔となって実感できたから。
「おいおい健一、こんな忙しい場所で二人になろうなんて無理だって。そういうのは帰り道にとっておけよ。な?」
「そうだよ。こんなところでいちゃいちゃされたらわたし達が悲劇じゃん!」
調子よく言う真由のわき腹を恵美がひじで打つ。
「ちょっと、その達ってわたしもはいってるわけ?」
「そうだよ? つか、がんばってね。きっと恵美にもいい人見つかるから!」
「な、わたしは別にいいってば! それよか健一、あんたも参加なさい! いいわね!」
「はいはい、わかったよ……、でもやるからには負けないぞ!」
だが、昨日感じた一体感。
カノジョもあの夜空に自分と同じことを感じてくれたはず。
だから……、
続く