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私の咎_03

「あ、そうだ。通話記録」
「はい?」
「直前まで電話していた相手ってわかりますか?」
「はあ、それぐらいならお調べできますが……、身分証をお願いできますか?」

 さすがにおいそれと渡すわけには行かない。
 だって、もしかしたら他人の携帯かもしれないし。

「えっと、これでいいですか?」

 そういって彼が取り出したのは社員証。けっこう名の知れた会社みたいだけど、一番驚いたのは、私よりも三歳年上だったこと。

「ありがとうございます。それではお調べしますね」

 あまりしない作業のせいでちょっと手間取ってしまった私だけど、目の前の彼は呆然とした様子でこっちをみてる。
 大切な用なんだろうけど、でもそんなに見られると恥ずかしいし、やりにくい。できれば向こうを向いていてほしいのに。

「はい、わかりました、えと090-…………です。メモいたしますね」
「あ、ありがとうございます。けど、電話が……」
「あ、そうですね」

 抜けたところのある人みたい。

 私もだけど。

「よろしかったら、お貸ししますか?」
「いや、悪いです。ここら辺に公衆電話は……」

 そんなものがあったら商売上がったり。

「一キロ先のタバコ屋にならあるかもしれませんが……」
「そうですか」
「どうぞ、お遣いください」

 しょぼくれている彼を見ていると、なぜだかとても可愛そうになり、番号をかけてから手渡す。

「あ、まずいですよ」
「お客様の大切な電話なのでしょう? それに今の状況を説明しないと先方様も困ると思います」

 確かにまずい。だって後ろでお局様がにらんでるんですもの。

「すいません」

 お客さんは私の携帯を借りると、いったん店を出てしきりに謝っていた。

「早川さん。ちょっといいかしら?」
「はい、主任」

 そしてこっちでも多分、平謝りをしないといけないんだろうな……。

続く

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