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私の咎_04

「ありがとうございました。なんとか都合をつけることができました。ただ、連絡先がないと困りますんで、買って帰りたいんですが」
「はい、それでしたら……」

 ここから先はカタログを出してプランの説明。
 公私混同みたいだし、通話料の安いものを薦めておけばいい。

「プランですか、そういう計算、あんまり得意じゃないんですよ」
「そうですか、お客様のライフスタイルからしますと……」

 どうせ今日はお客さんもいないし、事細かに説明してあげてもいい。
 お局さんの機嫌が直るまではね。



「これで以上です」
「え? お金は?」
「月々のお支払いに上乗せされます。利息はつきませんので、ご安心ください」

 もちろん、これは数字のトリックでしかない。
 月ごとに買い換えられたら携帯ショップが儲かるだけで工場が破綻する。
 惰性でしよう料金を支払ってもらうことが一番みたいなのよね。

「えっと、もう電話できるんですか?」
「はい」
「電話しても良いですか?」
「いいですよ」
「そうですか、それじゃあ」
「?」

 妙に嬉しそうな彼に形式ばったお辞儀をしてさようなら。



「お疲れ様です」

 閉店処理をしたあと、いつもどおり掃除を行い、店を閉める。
 今日みたいな雨の日はみなわらわらと散っていき、私もバスの時刻に間に合うように走る。

 るるるる……

 と思ったら、知らない電話番号からの着信。

 誰? と思いつつ受けると、

『こんばんは。先ほどはどうもありがとうございました。おかげで先方様との商談もまとまりました!』

 いったい誰だろうと訝しむ私だけど、ようやく思い至った。

「今日のお客さん」
『はい、島本です。なんだか先方さん、君を見ているとうまく行きそうな気がしてきたとか言ってくれて、どうしてですかね。やっぱり嬉しいことがあったから私もテンションが高かったのかな?』

 電話の向こうで私にかまわず笑う彼。なんだか首をかしげてしまうけど、どうして私の番号知ってるの? そりゃ貸したけど、そのときに控えてたとか?

『よかったら食事をおごらせてくれませんか? 早川さんにお会いしてから妙にうまくいきまして、そのお礼をしたくって』

 ?

『駅前で待ってます。それじゃあ』
「あ、あのちょっと!」

 だめだ、切れてる。っていうか、駅前ってどこよ。行くつもりないけど、それぐらい……、あ、居た。

 いつも私が乗っているバス亭の近くに停まっていた軽から身を乗り出して嬉しそうに手を振る彼。
 なんだかストーカーみたいで気持ち悪いし、怖い。

 まあ、でも、いっか。一回ぐらいからかってあげても……。

続く

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