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小春十三の短篇_3_3

 まどかは遊び人ではない。
 これまでに何人かの男子と肌を交えたことはあったものの、その一つ一つは全て本気の行為。遊びで望んだことは一度も無い。
 ただ、飽きっぽい彼女は、相手の視線が自分に向くと急速醒めてしまい、関係を終わらせてしまう。
 しかし、寛に口付けしたのはほんの味見のつもり。
 初めての口付けなのだろうか、彼は目を閉じるというローカルルールも忘れ、鼻息を荒げ、ただ口を金魚のように開いたまま固まっている。

 ――ドーテー君。

 自慢のネイルアートの施された指先で彼の瞼をそっと撫でる。
 味見といえど、見つめられるのは恥ずかしいものと、そして、吸い込まれるぐらいまっすぐな彼の瞳が、彼女は嫌いだった。
 舌先を入れると、彼は抵抗をしない代わりに挨拶もしなかった。触れた瞬間、ビクンと肩をゆらすものだから、つい処女だった頃の甘酸っぱい気持ちを思い出してしまう。

 ――あたしもこんなんだっけ? ちがうよ、もっと大胆だった……。

 年上の元彼のことを思い描くにも、修正された記憶は思い出せず、最近別れたバイト先の後輩の顔を思い出す程度。目線にはプライバシー保護の斜線が引いて。

「んふ、んちゅ……はむぅ……ん、キス、どう?」

 ゆっくりと唇を離し、彼を見る。童貞の寛ならきっと今のキスで言いなりになる。ただ、彼は利用価値がある。それならいっそ、卒業までの間こき使う為にも、ここでしつけておくのも悪くない。どうせ、捧げられる立場なのだし。

「どうって、別に……」
「なんでよ。あたしとキスしたの、なんとも無いっての?」
「好きな人、いるから……」

 まっすぐな目の正体はこれだろうか? 頑固というか、意固地というか、それがウジウジした態度と重なると非常にいらいらする。しかもキスをしてあげたというのにだ。

「美咲さんのことは黙ってるからさ、別にそんなこと、無理しなくていい」

 寛は手の甲で唇を拭う。その仕草、いいよう、どれもが癇に障る。
 彼の想う人の見当はついている。
 平井偲。
 クラス一の才女で教員や級友の受けも良く、その分だけ彼女のような立場からは嫌われていた。
 地味で、女というモノを磨こうとしない彼女は、流行のファッションを追いかける彼女と対照的なもの。彼女が誉められるたびに、自分の価値が否定されるようで、特に付き合うことも無いハズの彼女を、無条件で嫌っていけた。

「偲……」
「関係ない」
「図星だ」
「ああ、そうだよ」
「ね、本当にエッチしないの?」
「美咲さんのこと、知らないし」
「だから、教えてあげるよぉ」

 誘うことが難しいと判断した彼女は、一転して攻めに移る。
 彼女が歩み寄ると、彼は退く。一歩、また一歩と歩むうちに、ついには教室の隅、ベランダへの出入り口まで誘導する。
 まどかはカーテンの結び目を解くと、ばっと広げて二人を包む。彼の固いガードを崩すために雰囲気を変えたのだ。
 淡いクリーム色の空間で二人きり。先ほどまではブレザーの胸元が触れるだけでも強張っていた彼だが、今は襟首につける校章に触れても怯える様子が無い。
 腹を決めたのだろうか? 女から誘っているのだ。例え理由がどうであろうと据え膳食わぬは武士の恥、まさに毒を喰らわば皿までだ。

「テスト中さ、寛って考えるときコメカミとんとんって叩くのね、あれクセ?」
「かもね」
「あれ、セクシーだったよ」

 唯一の本音かもしれない。まどかが男に惚れるときは決まって真剣な顔を見せられたときだから。

「ね、オッパイの面積、求めてみない?」

 ブラウスの第一ボタンは既に外れている。第二第三ボタンを順に外していき、ショーツとおそろいのブラを見せる。
 推定Dプラスの自慢のカップを見せられて落ちない男はいない。目の前の男の子も息を荒げると、次第に顔が落ちてくる。

「綺麗な形。半球の形で二つあるから、円の半径を探れば……」

 ここにきて真面目に語る彼はセクシーを通り越してバカだ。

「ねえ、オッパイの中心ってどこかな?」

 まどかは彼を待たずにブラをずらす。
 まるくお椀型のオッパイの真ん中にあたりに見える小さな突起。遊んだあとはしっかり洗っているおかげで色素の沈着を防いでおり、まだ若々しいピンク色を主張できるほど。

「乳首かな?」
「そうかな。でも、触ってみないとわかんなくない?」
「だいたいはわかるよ」
「秀才君の悪い癖だよ。実験してみなきゃ」

 普段はシャープペンと戯れているだろう右腕を取り、胸元へと導く。きっと彼も期待していたのだろう、女の細腕でもそれは容易だった。

「ああん……」

 彼の手は乳房をひんやりと刺激する。三月とはいえ、まだ外は肌寒い。彼の手もまた、例外ではない……が、手の平が触れると、ジンワリとした温かさがあった。

「え、嘘……」
「どうしたの美咲さん」
「寛の手、暖かいね。なんだか春みたい」
「そう、なの?」

 彼はまじまじと左手を見つめるもその違いは判らず、オデコに当てて首を捻る。

「ね、あたし寒いよ。あっためて……」

 寛の背が高くて助かった。上目遣いに谷間を強調すれば破壊力は三倍以上。彼の手が能動的に胸元に触れたとき、彼女は勝利を確信した。

 誰に?

 偲にだろうか?

続く

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