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僕らの関係 知らないこと

知らないこと

 風呂上り、幸太はすっかりのぼせ上がった美雪を恵とともにお風呂から連れ出し、下着を着せたあと両親の布団に寝かせた。
 しばらくは幸太を見てうわ言のように「アッキー」と繰り返していたが、布団を被せると、すぐに安らかな寝息を立てた。
 恵はソファに座ると、買ってきた色とりどりの缶を取り出し、コップの縁に塩を塗る。そのあとグレープフルーツの絵の描いてあるものを一つ空け、コップに注ぐ。
「何してるの? 恵」
「子供は知らなくていい」
「なんだよ、恵だって子供じゃないか」
「んー。まあそうだな。てか、コウも子供じゃないな」
 恵はいやらしく笑うと別の缶を空け、コップに注ぐ。それは見た目オレンジジュースそっくりだが、漂う香りから察するに普段口にするものよりも深みがある。
「乾杯」
 陶器のコップがキチンと音を立てる。目の前の黄褐色の液体への興味が沸いた幸太は倫理感をちょっぴり忘れ、それを煽る。
 喉を通る液体は驚くほど冷たく、深みのある甘味を持ち、同時に鼻を抜ける熱さがあった。
「んぐんぐ……はぁ……、これジュースみたいだね」
「まあそんなところだ。でもあんまり調子に乗るなよ?」
「うん……」
 徐々に体が熱くなり、若干の浮遊感を覚える。見た目オレンジジュースでも、中身はしっかりアルコールなのだとわかる。
「ねえ、恵、アッキーって誰?」
「ん、ああ、あたしもよく知らないんだけど、先輩の遠距離恋愛の相手らしいぞ。なんでもコウに似た子なんだってさ」
「僕に似てるの? なんだか可哀想だったけど、悪いことしちゃったかな」
「さあな。あ、まさかコウ、おいしい思いし損ねたんで、今になって後悔してるとか?」
 恵は下から顔色を覗き込むように幸太を見るが、苦虫を噛み潰したような彼の表情に、方を竦める。
「あはは、悪かったよ。だってさ、先輩、最近練習に身が入らないっていうか、上の空でさ、なにかいい薬はないかって思ってたら、コウがいたから」
「恵、僕だって怒るよ」
「だから謝ってるだろ。まま、もういっぱいやりなよ」
 飲みかけのコップを置いて、別の缶を開ける。ライムが描かれた缶が開かれると、爽やかな香りがした。舌先で舐めると、それは若干の苦味と強い炭酸で舌をびりびりさせる。
「コウはオナニーしてる?」
「なに、急に……」
 てっきり弁解が来ると思っていた幸太は、明後日の方向に行く話題にどきりとする。これではまたごまかされてしまうと、彼の口調にも苛立ちが加わり始める。
「恵、いいかげんにしないと……」
「してるか?」
 しかし、恵は大真面目な様子で幸太を見据えている。
「最近はしてるよ。たまに」
「誰のこと考えて?」
「いいじゃん、そんなの」
「由香……」
「……っ」
 幸太はいきなり図星を突かれてしまい、ものの見事に態度に表してしまう。
「まあそうだろうな。わかるよ、そういうの。けどさ、なんでするの?」
「だって、そんなの……我慢できないし」
 里奈との初めての行為を経た幸太の下半身は性の快感を覚えてしまい、持ち前の若さを持て余して、日々雄雄しくいきり立った。しかし、学園祭準備も終わり、教室に遅くまで残っている理由もなくなった二人は、それまではほぼ毎日だった課外性教育も、二日に一度になり、最近では週に一度まで減ってしまった。
「先輩さ、男の趣味変だから、彼氏とか作れないんだよね。それに、妙なところで潔癖で、オナニーしたがらないんだよ。なんでも、穢れない手じゃなきゃヤダとかわけわかんないこといってさ」
「それじゃあ僕もダメじゃん」
「ああ、穢れないっていっても見た目な、見た目」
「見た目?」
「ああ、そういう見た目ってこと。まあ、それはいいや」
 なにか言いにくそうな様子の恵に、幸太も敢えてそれ以上追及しない。ただ、遠回しに変な趣味の対象にされるのは、あまり気持ちよいことでもない。
「なんつうか、女だって性欲あるし、先輩みたいに遠距離恋愛してる人ってタイヘンだよな。ま、今回のことはあたしも悪かったよ。コウがそこまで嫌だとは思わなかったし」
「嫌じゃないよ。ただ、誰かの代わりみたいにされるのがちょっと……」
 事実、美雪に触られたのは新鮮な気持ちになれた。
「あはは、そうだね。悪かった。コウはコウだもんね。あたしの大切な幸太……」
「ちょっと……恵?」
 幸太が美雪の手の感触を思い出している隙に、恵は彼の隣に移動していた。
「何?」
「顔、近いよ……」
 既に眼前一〇センチの距離にある、男前な恵の顔。凛々しい眉に意志の強そうな瞳、すらっと整った鼻梁に、キザったらしく歪む唇。男の幸太でも、つい惚れてしまいそうになる。
「キスしていい?」
 間近で感じる恵の吐息はケミカルな匂いがする。
「答えになってないよ」
 けれどその奥に、シトラスの子供っぽい香りがする。
「嫌じゃないんだね? ならするね……ちゅ……んちゅ……」
 舌を絡めても、刺激が薄い。こんなことなら飲まなければ良かった。それでも、注ぎ込まれる粘液のとろりとした感覚が心地よく、いつしか幸太も目を閉じ、されるがままになる。
 ――恵にリードされてる。なんか僕、男なのに、恵の方が男っぽいし、カッコイイな……。
 また自分が女の子になってしまったようで、苦い既視感を覚える。それでも、恵にならされてもいい。そう思えた。
「コウ、今日のこと、由香にばらして言い?」
 唇の端と端、短い糸が結んでいるのに気を取られ、一瞬何をいわれたかわからなかった。
「困るよな、コウ……だからさ、取引しようぜ……」
「なんの?」
「あたし、今日のこと黙っててやる。その代わり……」
「その代わり?」
「コウ……じゃない、幸恵のことレイプさせてよ」
 にんまり笑う恵だが、目は至って真面目、笑っていない。
「レイプって、そんなのダメだよ。てか、僕は幸太だよ」
「違う、幸恵だ。濡れた髪、セクシーだよ、ゆきえ……」
 先ほど鏡で見た自分を思い出す。しっかり口紅を落としていなかったせいか、ほんのり赤紫を纏う唇に、肌に張り付く髪が怯えた気弱な雰囲気を強めていた。
 まるっきり美少女というほどではないにしろ、クラスに一人はいた、守ってあげたい子、そんな印象だった。
「だって、恵は女の子……」
「悪いかよ、女が女を好きになって……」
「僕は男だよ」
「じゃあ問題ないじゃん。生物学的にも、見た目的にも」
 倫理的な問題は回避されていないのだが、それをいったところで圧倒的な力関係を覆すこともできそうにない。事実、腕相撲では両手でも勝てたことが無い。
「だってだって……」
「うるさいな。まあ、そのほうが燃えるけどね……」
 首筋に唇をあてがわれ、最近見え始めた喉仏に歯を立てられる。それは柔く甘いものであり、擽られるような刺激に自ら差し出してしまいたくなる。
 手がパジャマの中に入ってくる。硬い指先が触れると、意外にも嫌悪感が沸いてくる。
 相手は恵。ちょっぴり乱暴だけど、明るくて格好良い、そんな子。なのに、今は自分の身体を欲望で這いまわろうとしている。
「や、いや……恵、よしてよ、僕……」
「僕じゃない、私な。幸恵のキャラはおどおどした眼鏡の地味キャラな。んで、隠れて一人エッチしてたところをあたし、じゃない、俺に見つかって、それをネタに脅迫される……そんな設定な」
 現実には起こりえないシチュエーションをすらすらと想像する恵に、またも幸太という自我がないがしろにされてしまう。
「やだよ……」
「お願いだよ……」
「だって、恵……」
「なあ、お願い。幸太。あたしのわがまま、聞いてよ……」
 胸元を弄る手が震え、爪が立つ。表面を少し削る程度のはずが、何故か貫通して心にまでその鋭さを届かせる。
 ――恵も、そうなの? 誰か、待ってるの? 誰? 僕らの知らない人? その人……好きなの?
 不快感が薄れ、代わりに目頭が熱くなる。それは涙がこぼれる前触れではなく、言い争いやケンカをしたときのきな臭さに似ている。
「いいよ、恵……僕、じゃなくって私、恵にならされてもいい」
 できるだけ女らしく。由香のようにしおらしく言い放ち、里奈のようにイタズラっぽく笑う。
「幸恵……、俺……、俺……ずっと前から好きだった」
 素材とは毎日のように顔をあわせているものの、幸恵となら初対面のはず。にもかかわらず、ずっと前という「恵君」に笑いがこみ上げてくる。
 ――調子良いんだから。恵ってば……。
 恵は鼻息を荒げ、幸太のパジャマを乱暴に引っ張る。ボタンが二つほど飛ぶが、気にせずシャツに手を伸ばす。
 薄く白い胸板は発達の幼い少女のよう。いっそのこと未処理の腋の下もしっかり剃っておけばと思うほど、幸恵の体は女の子をしていた。
「幸恵の、小さいね……」
「これから大きくなるもん」
 拗ねた調子は里奈の真似。彼女は小指も噛んでいたかなと思い、演技に後付ける。
「ああ、俺がたくさん揉んでやる。そしたら今にずっと大きくなるよ……」
 本当に大きくなったら困るのだが、幸恵は恵のしたいようにさせた。
 今日二度目となる学芸会に応じたのは何故だろう。
 寂しさを感じたから。
 それ以外に思いつかない。
 恵は目の前にいる。にもかかわらず、何故寂しいのだろう。
 答えはすぐにわかる。襖の奥で寝息を立てている彼女がヒントをくれているから。
「ね、ゴムつけていい?」
「ナマでやりたいな。今日安全日だし、いいだろ?」
「ダメ。あたし達高校生なんだし……」
「ちぇ、幸恵は固いな……しゃーない、つけますよーだ」
 幸太はパジャマの胸ポケットにしまっていた箱から、包みを一つ取り出し、いきり立つものに被せる。
 ――これ、なんだか自分のって気がしないや。
 自分の手で自分のモノに触る。日常生活でも普通に行うはずなのに、今だけは女子の目線にたって陰茎にゴムを被せている気持ちになり、手元がふらついてしまう。
「なれないもの呑むから……」
「なによ、恵が勧めたんじゃない」
 酔いのせい。そう思うと、女性的な口調もすらすら出てくる。
 手元が狂い、ゴムが破れてしまう。幸太はもう一つ包みを破り、今度は綺麗に被せることが出来た。
 その間、恵はジャージの上下を脱ぎ、ティーシャツとショーツ姿で待っていた。
 「がんばれ」と大きく書かれたティーシャツは中学のころに見たことがある。たしか、試合のときのげん担ぎだった。
 続いて目が行くのは、当然オヘソの下。ボクサーパンツのような、グレーで色気の無いショーツは残念だが、恵らしいと幸太は少しだけ笑ってしまう。
「あ、今笑ったな? 俺のこと……」
「ゴメン、恵……。お詫びに口でしてあげるから、許して……」
 しなを作る仕草は里奈譲り。幸太は口でショーツを下ろし、生い茂る密林を唇でかき分け……、
「んあ……っ!」
 甲高い声で叫ぶ恵は、上半身を折り、幸太の顔を抱きこみ、苦しそうな息を漏らす。
「恵、痛い?」
「んや、いい……、続けろ……、はぁ……あくっ! んはぁ……や、そこ、ダメだ、俺の、敏感……で、え、あぁ……」
 幸太の舌が恵の陰唇をなぞると、さらに彼女は身体を打ち震えさせ、身悶える。
 抱いている姿勢からやがて寄りかかるようになり、舌先が割れ目をうがつ頃になると、すっかり幸太を押し倒してしまう。
「幸恵、上手だな……」
 二度目だからだろうか? それともシミュレーションに余念がなかったからか、とにかく恵を喜ばせたことが出来たと自負する幸太は、さらにイタズラの頻度を高める。
「ん、ああ……おい、調子に……乗る……ああん! や、ダメ……」
 男装をしているはずが、徐々に声が上擦り、嬌声へと変化する。
 ソファの上でもみ合う二人だったが、身をくねらせる恵は刺激から逃れようとするうちに幸太に組み伏される格好になる。
「恵……」
「コウ……太?」
 完全に上下が逆になると、そのまま手首をひね上げられ、身動きを封じられる。
 幸太は少し眉をひそませ、悲しそうな目で彼女を見下ろす。
「おい、コウ……今は幸恵だろ……そんな怖い顔するなよ」
「恵……僕、やっぱりヤダ」
「あたしとやるの、嫌か?」
「違うの。僕、幸太で恵のこと抱きたい」
 真摯な眼差しに対し、恵は目を背けることしか出来ない。
 偽りの性で愛し合う。その違和感に耐えられなくなった幸太。彼は恵の首筋に唇を這わせ、すがりつくような愛撫を繰り返す。
 乾いた唇と唾液の絡んだ舌。くすぐったさとねっとりと熱いものを交互に感じると、恵の口からは熱いと息が漏れる。
「ん、だって、そういうの……ダメなんだ……」
「僕、恵のことも好きなんだ……」
「好き……か。ふふ……あたしも幸太のこと好きだよ」
「じゃあ……」
 彼の右手が豊満な山をぎゅっと掴む。左手はひき締まったわき腹を弄り、たまにオヘソを刺激する。
「しゃーない。コウにあげるか……それに、ここまで来たらあたしだっておさまりつかないし……けど、コウ? 気持ちよくしてくれないと怒るからね?」
「恵のこと好きだから、僕がんばるよ……」
 不適なエミを浮かべる恵に、幸太はいじけた顔をぱっと明るくさせる。
「現金な奴。てか、浮気して大丈夫か? 由香、ああ見えて結構根に持つタイプだぞ?」
 確かにひっかかる気持ちもなくは無い。しかし、目の前で顔を赤らめる彼女から香る、アルコールとも違う匂いの前に、幸太は他のことを考えるのをやめている。
「今は恵と僕だけ……」
 テーブルの上に転がしていた箱を手繰り寄せ、包みを取り出す。被せる前に一度彼女の口腔内でやんちゃをしてみたい欲望もあるが、それよりも自身を受け入れてもらいたい気持ちが強い。
 そして、ついこないだ知った女の味、恵の味も知りたい自分がいる。
「恵……行くよ?」
「え、もう? だって、あたし……まだ……」
「だって恵の、さっき舐めたらもうどろどろのびちょびちょだったよ?」
 舌先が感じた塩気には若干の酸っぱさが混じり、ぬるりとした粘液がおくから止め処なくこぼれていた。
「だから、いいでしょ?」
 姉御肌の幼馴染は根が優しい。しつこく頼めばおつかは折れてくれる。
「ねえってば……」
 さきっぽをわざと割れ目に擦り付け、煽るように焦らす。
「ん、んぅ……わかったよ。けど、ほんと初めてなんだからな……男は……」
「? まあいいや、ありがと、恵……」
 若干気になる言葉を流しつつ、幸太は手で自分のものを彼女の膣口に導き、ゆっくりと身体を沈ませる。
「ん、あ、んはぁ……あっ! こう……た、が……はいってく、るぅ」
 苦しげに息を吐く恵は確かに初めてだろう。沈み行く幸太の逸物を拒むくらいのきつさをしめし、且つ、ぬるりとした愛液で誘いいれようとする。
「恵の、暖かいよ……。んーん、熱いよ、僕の、火傷しちゃう……」
 彼女の膣は入り口ですらそのほてりを隠さず、微熱を軽く越える体温で彼を迎え入れる。
 湯冷めと露出で冷えた陰茎はその温度差に怯んだように跳ねる。
「僕、ダメ、怖いよ。恵の中……進むと、すぐにイッチャイそう」
「だ、だらしないぞ、幸太……由香とやったんだろ? しっかりリードしろ……」
 ぬちゅりと音を立てて侵略する幸太に、普段勝気な彼女も弱気な声を上げ始める。
 亀頭に触れるのは熱く爛れたような肌触りの膣襞のみ。きついものの、阻むものは感じない。
「んあ!」
 腰がいっそう深く入り込むと、恵の声がソプラノ色になる。彼女は自分の声に驚いたのか、口元を手で塞ぐと眼をパチクリしばたかせたあと、ばつが悪そうに目を伏せる。
「悪いかよ……、あたしが女して……」
「そんなことないよ。恵の声、可愛かったよ」
「こいつ、調子に……のる……あん……なよ……んく」
 威嚇をするも、前後する腰の動きによって阻まれる。
「恵、もっといっぱい聞かせてよ。僕ので感じてよ。いっぱい、いっぱい……」
 ソファのスプリングがぎしりと音をたて、反発する。恵は上下から圧迫され、逃げ場もなく、幸太の行為に翻弄される。

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