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10_後編

 暗がりの中でぼうっと浮かび上がる校舎。
 月明かりに照らされるとベージュの壁も浅葱色に見えるから不思議。
 昼間の喧騒は嘘のように人の気配が無い校舎は不気味の一言につきる。

 そんな中、校門に三人の人影があった。

「ねえ……、本当にやるの?」

 大橋和美は門をよじ登る友人に不安の声をかける。
 長い前髪が表情を隠す彼女は消極的な様子。

「なにを今更……。大体和美は……」

 それを咎めるのは宮坂千恵。ボーイッシュな彼女は見た目通り勝気。

「まぁまぁ、二人とも……」

 まとめるのは間中愛華。二つに分けた髪を三つ編みにして、インテリチックな目がねが、真面目さを引き立てる。

 登校時間でもないのに彼女らがここにいる理由。
 それはある噂を確かめる為。

 夜の十二時、学校の大鏡を前に立つと鏡の世界に旅立つことができるというもの。

 その話を聞いたとき、千恵は「旅立ったっていうなら行方不明じゃん。でもそんな人、いたかしら?」と彼女らしいことを言う。
 和美は「きっと鏡の中の人と入れ替わったんだよ……」と珍しく反論する。

「なら、実際に確かめてみたら?」

 平行線を辿りそうな舌戦になる前に、愛華が案を出した。

 二人は悩んでいたが、一週間後の今日、決行することとなった。

~~

 門を乗り越えて鏡を前にする三人。

「ねぇ、これからどうするの?」

 鏡に懐中電灯を向けて千恵が言う。

「どうするって、どうしよう……」

 和美はそれを眩しそうに手で視界を隠す。

「う~ん、どうすれば鏡の国にいけるんだろうね?」

 肝心の鏡の世界に旅立つ詳しい方法が分からず、三人は悩んでしまう。

「ちょっと和美なんとかしなさいよ」
「え、なんで私なの?」
「だってアンタはいけるっていってたじゃん。責任持ちなさいよ」
「責任って言われても……」
「ほうら、やっぱり嘘なんだよ。だいたい鏡の世界にいけるとかあるわけないし。もしそんなことがあったら、みんな旅だっちゃうじゃん」
「だって、だって……、私聞いたんだもん……、本当に……」
「あ~、ほらまた泣く……」
「もういいでしょ、千恵。ほら、和美も……ね?」

 ヒートアップする知恵は止めても無駄。言いたい放題いわせておいて、しばらくたったら和美が泣きだし、それを愛華が執り成して仲直り。

「とりあえず、鏡の前に立っても旅立てないって分かったわ。調査結果として十分でしょ」
「そんなもんかしら?」

 不満気に呟く千恵だが、泣き止んだ和美をこれ以上イジメルのも気が引けると口をつぐむ。

 夜の探検はこれでおしまい。
 時計を見るともう明日になる頃。

 そして……、

 ぐんにゃりした感覚が三人を取り囲んだ。

続く

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