FC2ブログ

目次一覧はこちら

10_前編

 驚き、ライトを鏡に向ける千恵。
 そしてまた驚愕の出来事。
 光が反射しない。吸い込まれているとでもいうのだろうか?
 空気がどんよりと身体にまとわりつく。空気の代わりに片栗粉を水で溶いたようなモノがあるかのようで、息を吸うことも難しい。
 視界が狭く、暗くなる。鏡に光が吸い込まれているような……。

 地味な、変化。
 けれど、確かな不可思議。

 とにかく、目の前で起こった異常事態に、三人は……、

「ちょっと和美……」

 愛華にしがみ付いていたはずの和美がふらりと鏡の前に歩み出て、手を差し出す。

「和美、やめなよ。危ないってば!」
「だって、鏡の世界……に旅立てるかもしれないもん……」
「アンタ馬鹿? 鏡の世界なんていってどうする気よ?」

 千恵の呼ぶ声にも和美は留まる様子も見せず、そのまま鏡に触れ……、

「待ちなさいよ!」

 千恵もそれを追いかけ、鏡の中へ……、

「千恵……、和美?」

 愛華は動けず、そのまま目を瞑ってそれが納まるのを待った。
~~

 どれぐらいたっただろうか?
 携帯がなる。
 母からのメールがきていた。
 家を出ていたのがばれたらしい。
 目を開けると、二人の姿はやはりそこにあった。

「千恵、和美……、起きてよ」
「ん、んぅ……」
「……あ、愛華……」

 意識に混濁はあるものの、二人は無事。

「よかった、よかった!」

 先ほどのことはなんだったのだろうか?
 分からない。
 夢だったのかもしれない。

 とにかく、愛華は二人を抱きしめ、無事を喜ぶことにした。

 鏡の世界などありえない。
 全ては幻覚。
 疲れていたからだろう。
 そう言い切って、三人は変わらぬ友情を確かめようと握手をして分かれた。




 ただ、愛華が気になったのは、彼女達が差し出した手が、利き手と逆であったこと……。

鏡の世界 完

Trackback

Trackback URL
http://13koharu.blog73.fc2.com/tb.php/446-6ac84804

Comment

Comment Form
公開設定

プロフィール

小春十三

Author:小春十三
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ

創作検索ぴあすねっとNAVI
dabundoumei
trt
オンライン小説/ネット小説検索・ランキング-HONなび  
リンク予定


二次元世界の調教師様のサイトです。



無料アクセス解析