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15_後編

「はっ!」
 俺はがばっと起き上がった。時計は八時半。カレンダーは追試当日。時間は全然余裕。
「くっそう、どうすりゃいんだよ……?」
 右手に妙な感触。よく見ると、昨日夢で見た万年筆が握られていた。
 まじか。あれは本当だったのか? いやいや、もうこれしかない。よし、行くぞ!
 俺は身支度を整えると落ち着いて家を出ようとした……。
 まてよ、アイツたしか言ってたよな? 出口と入り口を別にしろって……。
 ふふふ、引っかからないぜ? いつから判定されてるかしんねーけど、とりあえず今は窓から出ようじゃないか?
 今頃悪魔の野郎、また悔しそうにしてんじゃねーの?

 窓から出る途中、隣の人に訝られたけど、まあいいさ、気にしない。

~~

「試験は百二十分。持ち込みは不可。ってまあ、君しかいないけどな」
 試験開始五分前、俺はがらんとした教室に一人いた。
「みててください、猛勉強してきましたから」
「ほう、楽しみだね」
 教授はほとんど興味なさそうにテスト用紙を見ているけど、もし昨日の夢が本当なら俺はきっとこのテストに勝てる! 万年筆の効能は試していないが、信じるしかないしな。
「それじゃすこし早いけど始めてくれ」
 教授は予鈴もまたずに問題用紙を手渡し、教壇に戻る。
 ふっふっふ、見ていろ。例えどんな問題があろうと、この万年筆を使えば……。
 俺は問題をさっと眺めて万年筆を握る。

 問い
 近代日本における食の流動性と世代間の因果関係について述べよ。

 まったく意味がわからない。というか、なんの講義だっけ、これ。まあいい。すでに万年筆を握る手は俺の意思にお構いなしに答案用紙の上を走り回り、どんどんと答えを書いていく。
 よしよしよし、やったぞ。これで留年は免れる。
 っていうか、これから先、どんなテストがあっても楽勝じゃねーか?
 面接はともかくとして、記述なら百パーいける。
 資格ならどれも取り放題だし、かなり便利じゃね?
 ちょっと不便があるけどよ。
 っていうか、万年筆もっているときだけ守ればいいのか?
 それとも言葉通り常になのか?
 つか、トイレとかやばくね?出口なんて一つだっての。
 くそ、悪魔の野郎、とんでもねールールつくりやがって。
 これじゃ今回限りじゃねーか。
 こんなんだったらなんか……、そうだ、ロトくじでもやればよかったんじゃね?
 でも答えを予想するだからな、どうなんだろ?
 確率は出題者が居ないからな。
 やっぱり無理か? いや、いけるだろ。
 次の当選番号は何番かを問題にしてもらえばいんだ。
 白黒はっきりつくことは答えられるんだし。
 うお、これってばやばくね?
 俺天才じゃん!
 これは絶対いけるって!
 俺大金もち!

 俺がそんなことを思っていると、答案用紙が一枚風で翻る。
 自動筆記とはいえかなり疲れるが、頭を捻るよりは楽……ってなんだこりゃ!
 答案用紙の一枚を見ると、そこには模範解答には程遠い、「どうせ今回も白紙だろう」という教授の諦めに近い心模様がつらつらと書かれていた。
 それは答案用紙数枚にわたり、さらには机に掠れた文字を残してもまだ止まろうとしなかったが、誰かの空けたくぼみにペン先を滑らせたときパキンと割れて二度と動いてはくれなかった……。

模範解答 完

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