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21_後編

 どういうことだ!?
 家の明かりが消えている。
 それに鍵も開け放されたままだ。
 なのに人の気配がするようなしないような……。

「美佐子……」

 自分の家なのに俺は恐る恐る踏み入れる。
 廊下の明かりをつけようとするが、パチンという音だけで反応がない。
 ブレーカーがあがっているだけだろ?
 しかし、それならどうして直さない?
 美佐子ができなくとも翔太が居れば……。

 胃の辺りがきゅうとなる。
 なんか変なにおいがする。
 鉄臭いというか、錆びくさいというか、とにかく嫌な匂い。

 居間に踏み入る。
 風が吹いて頬を撫でる。
 窓が開いているのか? カーテンが揺れて……いや、割れているのか?
 まさか強盗?
 警察か! 警察を呼ばないと……!

 俺は慌てて携帯を取り出したが、あせりのせいで手がすべり、床に落としてしまう。

 それはからからーと渇いた音と、びちゃという不快な水の音を立てた。

 なんだ? 水を溢したのか? 水溜り?

 チャラララ~

 突然の金きり音と緑色の光、さらに振動。
 携帯が鳴ったようだ。
 なんという間の悪い……!?

 緑の光に照らされ、一瞬妙なものが見えた。
 水じゃない。
 そして、人影。

 暗闇の中で明滅するそれは、今日まで苦労を共にしてきた……、

「美佐子……」

 駆け出し、抱き起こす。
 冷たい。
 頭がぐらぐらと揺れる。
 目は……光がなく、表情は何かに怯え、歪んでいた。

「どうしてこんなことに……」

 胸が締め付けられる。
 気持ちが悪い。
 口の中が酸っぱい。
 胃液が逆流する。

 これは……どういう……ことなんだ!

「み~つけ~た……」

 聞き覚えの無い声。
 そして、どさっと何かを落とす音。
 振り返ると、知らない男が立っていた。

「誰だ! 誰だ!」

 足元に光を照らすと、そこには翔太だったものがある。
 強盗……!?
 何故?

 携帯の照り返しが男の顔を浮かび上がらせたとき、そいつが隣のだんなだとわかった。

 俺が何をしたというのだ?

「待て、止めろ。助けてくれ。俺は死にたくない」
「いいじゃないですか。一緒に不幸になりましょうよ」
「ふざけるな、一人で不幸になれ!」

 俺は逃げ出したかったが、恐怖に駆られて足がすくむ。
 そいつは悠然と俺に歩みよってきて……、刃こぼれしている包丁を構え……、

「うふふひひひっひひ位ヒヒヒヒヒ避ヒヒ碑ヒヒいいひいひっひっひ匙ひいっひひ否ひひっ非ひっひひ燈ひひひひいい非違ひいひいヒヒ日いいひ誹ひっひひっひ罷ひっひいひひいひ泌ひひひひひひ悲ひひ」

 俺はただ、普通に……、

血祭 完

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