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「次、だれだ?」

 達しあった秀雄の指を掴んで離さない柚子だったが、井原がそれを無理やり外す。
 もてない男の嫉妬だろうと柚子は睨んでいたが、彼が次になるのは嫌なので、視線を床に落としていた。

「……ちょ、おい、まてよ!」

 部室の外が騒がしい。真一の声であるのはわかるが、もう一人は誰だろうか? ただ、声の質から、ここに居る誰にも嬉しくないことであるのは確かなこと。
 柚子はジャージを正し、口元を拭う。床に垂れた愛液は上履きで踏みつけて伸ばし、口を結んだコンドームは袋に入れておく。他の部員達もそそくさと痕跡を隠し、普通の部室に戻す。

「……なんだ? どうした幹夫? いや、新キャプテン」

 ドアを開けてやってきたのは幹夫と真一だった。
 真一はばつの悪そうな顔をしているが、宴の痕跡が無いことにほっと胸をなでおろしているのがみえる。
 しかし、幹夫は眉をしかめ、部室に居た全員を睨む。

「……何をしていたんですか?」
「何って、ただ柚子ちゃんと今後の練習について、な?」
「え、ええ。そうですよ……うん」

 彼らを庇うつもりなどない。ただ、正直に話したところで他の誰かが得をするということも無い真実に価値もないと、話をあわせる柚子。

「嘘だ。なんかすごい嫌な匂いがする」
「匂い? あ、そう。なら窓あけっか? なぁ、柚子ちゃん」
「は、はい……」

 窓辺によって背伸びをする柚子。たてつけの悪い窓は開いてくれない。

「マネージャー、ジャージのお尻濡れてるよ?」
「え、嘘……」

 慌ててはいたせいでずれたショーツが秘所を隠さず、ジャージに沈んだ色を出させる。

「あはは、生理かな? やだキャプテンったら、そういうのデリカシーないですよ?」
「はは、違いないな。そういうのセクハラって言われるぞ?」

 口々に笑いあう一同だが、幹夫はたじろぐ様子もない。

「ごまかさないでください。というか、コンドームぐらい隠してくださいよ!」
「え? あ、あぁ?」

 幹夫が見つめる先に皆の視線が集まる。
 しっかり隠したわけではないから、はみ出ていたのだろうかと困惑するOB達は、薄ら笑いを止めてしまう。

「な、ないじゃん。てめえこかすなよ!」

 しかし、どこにもカラフルなゴムも、薄さを誇る紙箱も無い。騙されたのだろうと感づいた勝則は逆に強気に出ることでこの場を打開しようとする。

「おい、幹夫、お前溜まってんじゃないか?」

 溜まったまんまの真一が声を荒げるが、幹夫はひるむ様子なく一枚の紙を出す。

「これ、なんですか?」

 その紙切れには今日の日付とジュースと紙コップ、それにコンドームが印字されていた。

「う、あぁ……」
「どうして差し入れを買出しに行ったのに、コンドームを買う必要があるんですか? ウチは野球部です。映研じゃないんだから必要ないですよ!」
「映研って必要なの?」
「さぁ?」
「そんなことより! このコンドームはどこですか! もし正直にしゃべってくれないなら、菅野に言います」

 がんとした態度の新キャプテンのその強い意志が見える表情に、皆顔を見合わせる。
 部室に居た面々はその匂いになれているようだが、おそらく彼にはそれだけで十分に理解できているのだろう。この場で先ほどまで何が行われていたかを。

「いや、まぁ、その、なんだ。ちょっと楽しいことしてただけだって……なぁ?」
「ええ、そうですよ。先輩が心配するようなことなんて何もないですよ」
「俺は正直に話してくれといっているんです」

 柚子の言葉にも耳を貸そうとしない彼に、勝則はふぅとため息をつく。この場をやりきる方法はないと諦め、逆の算段をつけようと、隠していたコンドームを取り出し、幹夫に投げる。

「それだよ、コンドーム」
「やっぱり」

 口の開いたコンドームの箱を手にした幹夫は怒り心頭といった様子で勝則を睨む。

「いやさ、まあしょうがねえじゃん。俺らだってヤリタイんだしさ。それよか……」

 立ち上がり、にこやかな表情で幹夫に近づく勝則。彼は幹夫の肩にぽんと手を置き、ゆっくりと諭すように語りだす。

「お前もやりたくないか? ほら、柚子ちゃんだってまだしたそうだったし、お前が入ってこなけりゃできたんだぞ? なぁ?」

 水を向けられた柚子はうつむいていたが、否定をしなかった。

「お前もさ、ほら、練習で溜まってるだろ? 柚子ちゃんがそういうの気持ちよく処理してくれるっていうし、やらせてもらえばどうだ? ゴムあるしな? な、そうしよう!」

 勝則は緑色のゴムを手渡し、柚子を手招きする。
 彼女は幹夫の前にくると、唇を尖らせながらジャージを脱ぎだす。
 先ほどの行為のせいで濡れそぼっている股間は、小便を漏らしたように濡れており、つ~んと酸っぱい匂いをさせた。

「もう、先輩が来なければ丸く収まったのに……」

 幹夫の存在をいかにも邪魔という風に言う柚子に、幹夫はかっと目を開く。

「何言ってるんだ! お前、博之のことが好きなんじゃないのか?」
「だから! だから身体張ってるんじゃないですか!」
「何が! そんなこと!」
「だってしょうがないじゃないですか! 私が先輩達の機嫌とらないと、また博之がいじめられちゃうもん! それに、こんなこと表ざたになったら、野球できないじゃないですか! だから、私が我慢して、それで……いいじゃないですかぁ~」

 真っ赤になって言い張る柚子はやがて泣き出し、すがるような声になる。

「柚子! そんなことしなくていい! お前はお前のことをまず大事にしろ! 部員一人不幸にしてまで甲子園なんて行く必要ないんだよ! 馬鹿だ、お前は!」

 幹夫は彼女の腕をぐっと掴むと、脱ごうとしていた上着を正させる。

「だって、だって、いいんだ。これはキャプテン命令だ。ほら、服を着ろ。もう行くぞ」
「そんなの、だって……」
「博之が待ってるだろ、来い」

 泣き出す柚子を前に幹夫は一瞬迷ったあと、彼女のズボンを上げ、その手を掴んで部室を出る。

「先輩達、覚悟していてください」

 去り際の幹夫の台詞に勝則は憎々しそうに唇を噛んでいた……。

続く

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