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最終話

「ごめん! 俺ばっかいって……」
「いいよ。初めてだもん。しょうがないよ……」

 ベッドの上、タオルケットで一つになる二人。
 博之は挿入前の射精にふがいなく頭を垂れる息子を見てため息をつき、柚子はぶよぶよして縮こまるそれを楽しそうに揉んでいた。

 一回の射精ぐらいならまだ若いのだからと試してみたが、どうしても勃起してくれず、しょうがなくお肌のトークにしけこんでいたのだ。

「次はちゃんとしようね。うふふ。ドーテー君!」
「ああ……、面目ない……」

 行為に対する冷静さから、柚子が処女でないのは博之にも伝わっていた。
 ただ、彼に彼女の過去の遍歴など気にする必要もなく、そこを突っ込むのも野暮だと自分い言い聞かせていた。

 じゃらら~ん、だだ~ん!

 二人がまったりと肩をあわせていたところに突然、携帯がなりだす。
 その明滅は二人の邪魔をするものでしかなく、柚子はあからさまに嫌な顔をしていた。
 だが博之は放っておくわけにもいかず、携帯を取り着信を見る。ディスプレイには幹夫の名前があった。

「はい、もしもし、あ、ああ、うん、一緒に居るよ。え? ああ、別に? 柚子は普通だよ? 特に変なとこなんて……ないと思うけど? そう。ふうん。わかった……」
「何? 先輩?」
「ちょっと待って。ああ、キャプテンから」
「そう……」

 幹夫らしい。彼は部で一番責任感が強いし、きっと先ほどのことだってもう菅野の報告しているのかもしれない。
 もし部室での淫行が表ざたになれば、野球部はどうなるのだろう。

 ――やだな……。

 隣で女子を満足させることもできない彼が再び悩み、落ち込む姿を見たくない。
 いや、それ以上に……。

「ね、先輩でしょ? 私ちょっと話あるんだけどいいかな?」
「え? ああ……、キャプテン、今柚子に代わるから……」

 博之から携帯を受け取り、そっとベッドから離れる柚子。

「あ。先輩ですか? 柚子です。えっと、ちょっとお願いがありまして……」
『ああ、マネージャーか……その、いろいろ言いにくいけどさ』

 そのまま廊下に出ようとすると、彼が寂しそうについてくる。

「ちょっと、博之はお風呂行ってて……」

 ダダをこねる彼をお風呂場に追いやり、逆に部屋に戻る。彼が戻ってきても平気なようにドアは開けて小声にして……。

「あのですね、ちょっと気になることがありまして、先輩まだ学校に居るんですよね? なら私、今から行きます。そうですね、部室で待っていてくださいね……」
『おい、マネージャー?』
「それじゃ……」

 それだけいうと、柚子は幹夫の返信を待たずに電話を切る。
 ついでに携帯の電池を抜き接触部に埃を積める。何度か携帯を弄って反応が無いのを確認したあと、柚子はお風呂場へ行った。

 ……? ああ、すごい……うわぁ、あぁ……。
 ……じゅぷねろれろ……じゅずず、ちゅくぅ……。

 しばらく風呂場では男のうめき声が聞こえてきたが、女の声は最後まで聞こえてこなかった……。

~~

「ほーら、声だしていけよ!」
「おっす! ばっちこーい!」

 グラウンドでは白石が菅野の代わりに快音を響かせノックをしていた。
 彼はいち早く推薦を決めたらしく、練習のみという形で部活動を延長していた。

「おい一年! ランニングなめんなよ! 腰悪いと制球も悪くなるからな!!」

 とろとろ走っている部員に檄を飛ばす彼。

「マネージャー、スポーツドリンクはあんまり濃すぎると逆に喉渇くから、ほどほどにな。それと、洗剤は運動部共用だから節約してくれよ」

 それは女子マネージャーにも飛ぶ。

 最近一週間、白石が部室の指導に当たっていた。菅野はしばらくは外周りを続けなければならないらしく、指導の手が足りないからだ。
 彼は去年の練習メニューを踏襲すると同時に、足りない分の補強も行うと張り切っていた。

「おし次! ラスト!」

 高く打ち上げたフライをセンターに居た博之がしっかりキャッチしたところで、午前中の練習は終わりを告げた。

~~

 日陰で水分補給と昼食を取る部員達。午後もグラウンド使用許可が下りているから目一杯野球漬けとなるのだろう。ナイン達はつかの間の休息を過ごしていた。

「そういえば先輩、他の先輩達は?」

 几帳面に活動日誌に目を通していた白石に博之が声をかける。

「ん? ああ、そういや来ないな……。呼んだほうがいいか?」

 辺りを見回す白石は、ようやく気付いたとばかりに首を傾げる。

「いえ、白石先輩だけでいいっす! 十分です!」

 この一週間、白石の指導を受けて気付いたこと。それは、彼はけして無茶をしないこと。
 初日の鬼のような指導は部員の体力を測っていたらしく、後で見せられた練習ノートの細かさには度肝を抜かれた。
 その意味で彼は信用のできるトレーナーと理解していた。
 だからこそ、他の部員達も彼には不平を飲み込んで従っている。

「そういえば、幹夫……じゃない、キャプテンは?」
「え? ああ、幹夫ならマネージャーと一緒にグラウンドの使用許可の申請を出しにいったみたいだぞ。まぁ、ああいう雑用もキャプテンの仕事だからな」
「そうなんすか……ふうん」
「ああいうのはな、結構めんどいんだよ。記入ずれ一つで書き直しだし、ほんとやりたくなかったよ……」

 しみじみと呟く白石にある種の同情を抱きつつ、今頃担当教員から重箱の隅でもつつかれるような指摘を受けて四苦八苦しているであろう幹夫を想像し、博之はこっそりと笑っていた。

「おし、お前もしっかり柔軟しとけよ。身体を壊したらもとも子も無いから……」

 白石は立ち上がると、他の部員にも柔軟の必要性を説いて回っていた。

 ――ふう、白石さんも元気だな……。よし、俺もがんばるか!

 博之は深呼吸をすると、精一杯背伸びを始めた……。



マネージャーのお仕事 完

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