FC2ブログ

目次一覧はこちら

04

 部屋の明かりが消えたころから様子がおかしくなった。
 テレビのある部屋から隣の部屋へ移動したらしい。
 一志はそのまま耳をガラスにくっつける。
 窓越しに聞こえてくる男の笑い声と女のため息のような声。
 最初はゆっくり、たまに甲高くなり、呻くような声しばし。
 強められた空調がカーテンを揺らす。
 豆電球の明かりがかすかに見える。そして、部屋のおぼろげな様子も。
 隅に置かれたダブルベッドの上で山のようなものが蠢く。
 お化けを怖がれるのならどんなによいのだろう。
 今目の前で男女の営みが繰り広げられていることぐらい、童貞の彼でも理解できてしまう。
 ――う、ぐぅ……。
 口の中にまたあの粘っこい唾液がやってくる。なのに乾く。
 瞬きをしていないせいで目が痛くなる。けれど、涙は出ない。
 無意識に息を止めている。苦しいのに息継ぎがしたくない。
 胸に沸き起こる嫌悪感。
 自らの覗きを棚にあげ、一志は二人を何か汚いことをしているモノと見ていた。

 しかし、下半身は……、好奇心は……。

 ベランダで立つのは、この状況では好ましくない。しかし、スモークが邪魔をして部屋の中が見えない。せっかく空調がカーテンをずらしてくれているのだから、この二人の悪業をしかと見届けるべきと彼は立ち上がる。
 幸い二人は窓の外の視線など気にしておらず、月も群雲に隠れる。

 ベッドに突っ伏し、身体をねじって股を大きく広げられている理穂。小さな明かりのせいで大切な部分は見えず、奇しくもモザイクのよう。けれど、枕を掴んでは「くふん」と犬のように鳴きだす彼女は、明らかに感じている。
 正仁は彼女をうつ伏せにすると、彼女の背に乗りだし、下半身をごそごそと弄る。そして彼が上半身を前に出すと、理穂も背筋をするかのように状態を持ち上げようとする。
 ……あん、うぅん、ふぅん! はぅん、あぁん……。くぅ……。
 行為に没頭するあまり理穂は先ほどまでよりも大きな声で喘ぎ始める。
 ――橋本先輩……、すごい……。
 美人だけど可愛い先輩。頼りになるというわけではないが、一年二年の男子から慕われ、たまにその欲望の対象にされたりする彼女。
 それが今こうして顧問の大学院生によって女を愉しんでいる。
 同級生や部員の誰もが妄想の中で我慢しているのにだ。
 ……きゃうぅん! やっ、すご、こんなの、すごい、はじめて、だめ、それいじょう、されたら……、理穂、でちゃう、だめなの、だめなの、先生の前でこれ以上恥ずかしいことしたくない、みせたくないの……。
 ベッドの上で男に責められつつ、それでも普段の可愛らしいキャラを演じる彼女はどこか胡散臭い。が、一志の中で膨らむ嫌悪以外の気持ちは強くなる一方で、それはきつめのトランクスとズボンによる締め付けでさえ狂おしくさせる。
 ……ひぅ、や、だめ、だめなの、おね、がい、せんへい、もう、ら、いや、だって、きもひ、よふぎう……のぉ……。
 ねじ込まれることから逃れる理穂だが、正仁彼女のお尻を掴む。
 四つんばいになった彼女は背筋をえびぞりにそらせ、自分からお尻を正仁の腰にこすりつけるようにしだす。
 ……や、やん、いい、きもち……いい、すごい。理穂、こんなの、初めて、なの、こんなに、きもちいい……、先生、上手、すぎるの。もう、先生とだけ、エッチしたいよ。先生、エッチ、好き!
 お尻を突き上げられ、腕をつかまれ、おそらくお尻の穴も触られているであろう彼女は、髪を振り乱して泣き叫ぶ。
 がくんと大きくぶれる理穂。彼女は放心したように崩れおちるので、正仁がそれを優しく抱きとめ、そのままベッドに沈む。
 理穂はその後も数秒ごとにびくびくと震えていたが、それが収まると、「えへへ」と笑いながら正仁にキスをした。
 正仁は自分の逸物からコンドームを引き剥がすと、それをティッシュで丸めてゴミ箱に放る。二人は寄り添いながら何かこそこそと話をしだすので、一志は再び目をつぶって耳に集中する。
 ……理穂はいけない子だね。クラスの子とか、部員とか、気になる子いないの、かい?
 ……いないよ、だって……ね、皆、私のことね、おかずにするくせにね、理穂はね、全然気持ちよくないの。だって……ね、下手だから、皆、クラスの子も、部員の子も、皆、エッチ、全然下手なのぉ! けどけどぉ、先生はぁ、すごく、ああん! いいのぉ!
 ……理穂、君は、誰と寝たの?
 ……ん? んーとね、えと、副部長と……。
 一志は耳を疑った。確か副部長には運動部の彼女が居たはずだから。
 たまに校門の前で二人待ち合わせをしていたりするのを見かけたこともあるから、おそらく間違いはないはず。
 ……副部長、包茎だから、臭くて、しかも小さいし……。あと、エッチのとき、すごく、おっぱい触ってきてキモイの……。部活のときも理穂のこと見てくるし、いっつもオナニーされていやなの……。
 そうなのだろうか?
 副部長と性行為をする機会のない一志に確かめるすべはないが、特に彼女を見ているということは無かったはず……。
 ……それに一年の子、絵描くとかいって、ヌードモデル頼んできたの! 酷いと思わない? 理穂、そんな安いからだしてないもん!
 ……他の子とのことも教えてよ。
 ……うん、それからね、あの子。えと、最近入部した子なんだけどね、全然部活こないじゃん。
 ……ん? ああ、いたような気もするな。
 ……そいつが来なくなった理由ってね、理穂とエッチしたのが原因なんだよ。
 ……へぇ、どうして?
 ……そいつね、いっつも粘土こねてるんだけど、理穂目当てで入部したぽくってぇ、いっつもちらちら理穂のことみてくるの。
 ……へえ、絵も描かないでマスかいてるんだ。
 ……うん。いっつもトイレ行った後とか精液臭いし、自分じゃばれてないとかおもってるんじゃないの? 理穂でオナッテルなんて皆知ってるのにね。
 ……ああ、確かにアイツは精液臭いな。
 ……うん。でね、あんまり精液臭いから理穂、怒ったの。部活に来るときはオナニーしないでって。
 ……へぇ。
 ……そしたらアイツ、理穂のことレイプしてきたんだよ。いきなり押し倒してさ、ナマでいれてきたんだよ。
 ……それはそれは。
 ……でもさ、包茎で短小なの、しかも入れる前にうっとかいってシャセーしちゃったの。うけるでしょ?
 ……ふふふ、だっさいやつだな、アイツ。
 ……うん。それからもうずっと来ないよ。いい気味だよね。
 ――ん? 誰のことだ? そんな奴いた?
 一志は目の前の情事も忘れて首を捻る。
 幽霊部員の彼からしてみれば自分以外の幽霊部員に会うことは確率的に非常に小さい。
 ……アイツ、名前の通りたけのこみたいなオチンチンしてたの。わらっちゃうよね。
 たけのこみたいな……。
 一志の苗字は竹中。
 つまり彼女が話しているのは……。

続く

Trackback

Trackback URL
http://13koharu.blog73.fc2.com/tb.php/495-aacc130f

Comment

Comment Form
公開設定

プロフィール

小春十三

Author:小春十三
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ

創作検索ぴあすねっとNAVI
dabundoumei
trt
オンライン小説/ネット小説検索・ランキング-HONなび  
リンク予定


二次元世界の調教師様のサイトです。



無料アクセス解析