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葉月真琴の事件慕_07

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「ようこそ、皐月の歌謡際へ!」
 チケットを受け取り笑顔とパンフレットを渡すこと数十分。慣れてきた澪は愛想笑いを浮かべながら来客を捌く。梓も「どうして私が」とぶつくさ言うものの、次第に慣れ始めて笑顔がでるようになる。
 第一幕は午後一時からの予定。だんだんと客足も途切れ始め、受付のスタッフ達は暇を持て余し始める。
「ふう……。ようやく一息ついたわね。梓は行かなくていいの?」
 本来お客様である梓はもうホールへと向かうべきなのだが、神妙な面持ちで澪の隣に居るので、澪は不思議がって尋ねる。
「うん、それより澪、聞きたいことあるんだけど、いい?」
「なに?」
 いつもの高飛車な態度はどこへやら、等身大の女子高生の彼女は真摯な瞳で澪を見つめる。
「あのさ、真琴君と澪ってどんな関係なの?」
「あたしと真琴? ん~と、一言で言えば幼馴染かな……。でも、それ以上はあんまり考えたこと無いかな? ほら、真琴ってどこか頼り無いでしょ。あたしはもっと頼れそうな男の人のほうがいいかな? そういうのって憧れない?」
「憧れない」
「そう」
 澪としては一般論を言ったつもりだが、梓は即座に否定する。ただ、その神妙な面持ちは変わらず、まだ納得していないという様子が見て取れる。
「ね、真琴君って……やっぱり澪のこと……」
 言いかけて唇を噛む。それ以上言えば、彼女としても取り返しが付かない。もし目の前の彼女が障害となれば、それは高い壁というものではなく、深い谷底で希望が断絶されるように思えたから。
「真琴がなに?」
 幸いなのか、それとも残酷なのか、彼女はまだそれに気付いていない。むしろ意識して拒んでいるのだろうか?
「一緒に打ち上げしてあげようかな? ほら、付き人とかいろいろ大変そうだし、真帆も主演のことでしょげてたし!」
 梓の権謀術数では、今は押すべきときではないと判断するほかにない。
「へえ、まあいいけど、あたし予算がほとんど……」
「大丈夫。真澄ローンは良心的ですから!」
「うう、高利貸しめ……」
 去年までなら良い友達になれたのに……。
 お昼を過ごすたびに思う、切ない気持ちであった。

続く

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