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葉月真琴の事件慕_最終話

――**――

「もう、本当に真琴ってば目を離すとすぐに居なくなる! アンタ首に鈴でもつけてきなさい!」
 玄関ホールで一人佇んでいた澪は、ようやく戻ってきた真琴の頭を小突く。
「ごめん澪……。あれ? 真帆さんと梓さんは?」
 暗がりに目を凝らすも誰も居らず澪のみ。それは彼にとっても気持ち楽ではあった。特に真帆とは顔を会わせ辛いところを作ってきたばかりだ。彼自身、彼女に真実を伝えるには、何も今日でなくとも良いのだから……。
「うん、梓んちのお手伝いさんが来たから、一緒に帰ってもらったの。彼女、アンタのこと待ちたいみたいだったけど、やっぱりね……」
「うん……」
「まぁいいわ。さ、帰るわよ」
 そう言って澪は彼の背中をどんと押す。彼はそのまま前のめりになりながら、少し歩いて立ち止まる。
「もう、さっさと歩きなさい!」
 澪はそう言いながらもう一度肩を押す。しかし、真琴はその手をとり、彼女に身体を預けるようにする。
「ちょ、ちょっと……」
 男子にしては背の低い真琴。最近は少しずつ大きくなってきたが、こうしてみると、まだまだ年下の男の子。それはどこか安心でき、寂しいところもある。
「あのさ、僕は澪が一番だな……。他のものじゃ変えられないよ」
「え?」
「うん。ちょっと思ってさ……」
「何バカなこと言ってるのよ……。ほら、早く帰ろう。引っ張ってあげるから……」
 そう言って手を取ると、汗ばんだ温かい手がきゅっと握り返してくる。
 自分を頼る手は頼りない。それはすなわち彼は彼女にとって、まだまだ『ただの幼馴染』であるとい証左なのかもしれない……。

葉月真琴の事件慕
「欅ホール殺人事件」

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