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葉月真琴の事件簿if_02

 五月の終わりの頃だった。
 いつものようにお昼時、真琴に続いて梓がやってくる。
 だが、いつもと違うのは、梓が神妙な顔つきであったこと。
「……あのさ、この前のこと覚えてるよね……」
 熱々の狐ソバを前にして、梓は箸も割らずに呟く。
「うん。でもアレはもう……」
 平木一郎の一件は事故として処理された。葬儀には真帆に付き添って参加した。
 式場では達弘が目を赤くしていたのが印象的であった。話に聞くところ、彼は同級生だったらしく、他にも友人を連れ立って一郎の死を悼んでいた。
「それがさ、真帆のところに手紙が来たのよ。あれは殺人だっていう……」
 そして梓は一枚の紙を差し出す。ワープロ印字の文章が書かれていた。
『平木一郎は殺された。証拠がある。真実を知りたいのなら、六月の第二土曜日、欅ホールに来られたし』
 コピーらしくところどころかすれが目立つが、読めないことも無い。
「真実って……だってあれ、落下事故って……」
 澪は驚きのあまりサンドイッチを落してしまうが、見事な手さばきで膝の上に乗る前に拾う。
「警察もそうだって言うんだけど、真帆ってば気に病んじゃってさ、聞かないのよ」
「もしかして真帆さん、犯人を捜すとか?」
 真琴は恐る恐る聞いてみるが、梓は目を瞑りながら肯定してしまう。
「そうか……」
 落胆する真琴は、どこか考えるところがあるらしく、食事の手を止める。
「真琴、何か知ってるの?」
「ん? んと……実は僕も変だと思ってて……」
「変? 何が?」
「やっぱりあの高さから落ちて亡くなるなんて思えないんだ」
「じゃあ誰かがころ……何かしたっていうの?」
 言いかけて言葉を噤む。
「だけどもう事件から経ってるし、証拠みたいなものは無いと思うんだ。だから……」
「えと、何が言いたいの?」
「うん。多分これは罠だと思う」
「罠?」
 彼の意味深且つ不審な発言に、梓と澪の声が重なる。ただ、事件から数週間が経ってのこともあり、さらに警察ではなく真帆個人に当てたものというのが、彼女達にとってもあまり信用の置ける材料ではなかった。
「やっぱりやめたほうがいいのかな。犯人探し……」
 思いつめた様子の梓を前に、真琴は……、

もう一度聞き込みをする。
警察に届けるべきです。

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