留守番サービスを切ると同時にメールが届く。送信者は梓。画像が添付されており、やや重い。
件名:今ここにいるの。一人できて。
内容:何も問題ないの。警察には届けないで。もし届けちゃうと、あたし達の気持ちいくなった写真がばら撒かれちゃうの。お願い。あたし達、この人達ともっと気持ちよくなりたいから、警察には届けないで。
異様な文面にどきりと心臓が跳ねる。
「達」
その言葉が気になる。
だが、それは画像を開くことで直ぐに理解できた。
三人の女の子が寝そべった画像。全裸で身体にはどろっとした白い液体が付着しており、使用済みのコンドームがお腹の上に乗せられ、数字が書かれていた。
ショートヘアの胸の大きな子には八。
やや茶色がかった巻き毛の賓乳な子には六。
黒髪のストレートで同じくおっぱいの小さい子には九。
それが何を意味しているのか、真琴にもわかる。
「え? あ、あぁ……うぐ……ぐぇ……げぇ……」
真琴は喉もとにこみ上げる酸味づいたものを路肩に吐き出しつつも、その画像を見ていた。
目が乾き、痛い。涙が溢れ出し、視界がかすむ。
いますぐ何か行動を起こすべきと頭の中で鐘がなるのだが、身体がついていけない。
熱中症患者のようにふらふらとした足取りで、彼は倒れた。
-:-
ふらふらとした足取りでたどり着いたのは大城大学のキャンパス。
日曜日ということもあって人はほとんど居ないが、裏門から運動部の学生が行き来しているのが見えた。
真琴はその流れにそっと隠れ、部室棟のほうへと向かう。
二通目のメールが来た。
今度は澪から。いや、澪の携帯から。
画像が添付されており、そこでは澪がよつんばいになり、後ろから男にせがまれ、前は男の股間にうずまっている。
『大城大学の電算部の部室にいるから、そこに来て。絶対警察なんかに言っちゃだめだよ』
真琴は澪の母に連絡し、梓の家にいたとうその報告をした。
警察に連絡しようとしていた彼女の母はそれを信じ、踏みとどまってくれたらしい。
それが正しいことなのかはわからない。自分ひとりにどうにかできるはずも無いとわかっている。だが、もし警察に連絡したことがばれて、三人が殺されるようなことになったら?
例の犯人を教えるという手紙。
そのことが脳裏にちらつき、真琴の判断を鈍らせていた。
彼が電算部の部室に近づいたとき、むっとした臭いを感じた。締め切った窓からも何か呻く声が漏れ、男達の下卑た笑い声が聞こえる。
――澪、澪……。
真琴はそっとドアノブに触れ、力なくドアを開く。
「ああん! すごいよぉ……また、またいっちゃう……いっちゃうよぉ……!」
「だめ、休ませて……。昨日から……昨日からずっとされて……、わたし、もう、また……いっちゃうぅ~~!!」
「んぅ、やだ、やだよぉ……、真琴君、まこと……、お父さん、助けて……」
視界に広がるのは薄暗い部屋、カーテンで締め切られた窓、半裸の男達、四つんばいの女の子が三人、それに背後から迫る男達。
「澪……澪……」
怒りに身を任せて真琴は部屋に飛び込む。彼は近くにいた男に思い切り殴りかかり、露出した陰茎を蹴っ飛ばす。
「うげ!」
不意をつかれた男はそのままもんどりうって倒れる。
さらに背中を向けて及び腰の男には思い切り爪で引っかき、しり込みしたところでケツをつま先で蹴っ飛ばす。
「澪に、澪になんてことを……」
興奮した真琴は真っ赤な顔で男達に挑みかかる。
不意を着いたことと狭い通路、半裸のうえに弱点をぶら下げてのことであり、真琴にはかなり有利な状況での乱闘騒ぎ。
普段水泳部で鍛えた体躯はパソコンの前で胡坐をかくだけの男達に引けなどとらず、圧倒する。
「おっとそこまでだ!」
だが、奥で澪にしがみついていた男は余裕の表情であり、ぱちんと澪のお尻に自分の股間を当てる。
「ああん!」
澪は気持ち良さそうに顔を上げて呻くが、真琴に気付いたらしく、表情が強張る。
「あ、まこ、まこと……どうして……」
「みお、助けにきたよ! こいつらなんて僕が!」
そう意気込む真琴だが、男の腰が前後すると澪は、
「あん! いや、動かないで! 今、今きもちよくなりたくない! おねがい、やめて! いや、いい、いいよう! きもひいいよう!」
媚びた声を上げながら、目を瞑って真琴を否定する。
「みお!?」
その媚態ぶりに真琴は呆気に取られる。そしてその油断した隙に、
「うおら!」
蹲っていた男が立ち上がり、真琴の腹を殴る。
「ぐぅ」
不意をつかれたとはいえ、それなりに鍛えてあるおかげでそこまで痛くない。倒れるほどではないが、ただ、目の前の澪の状態に心ここにあらず。
「みお……みお……どうして……」
がっくりとうなだれる彼に、男達は反撃とばかりに向かってくる。
だが……、
「はっ!」
突如現れた何者かが、男達を壁に押し付け、ずんずんと部屋を行く。
「だ、だれだ!」
そう叫ぶ男は間抜けにも交尾を続けるが、出るのは澪の嬌声だけ。
「梓様に酷いことを……許せない……」
女の人の声がしたのを、真琴は覚えていた……。
続く
内容:何も問題ないの。警察には届けないで。もし届けちゃうと、あたし達の気持ちいくなった写真がばら撒かれちゃうの。お願い。あたし達、この人達ともっと気持ちよくなりたいから、警察には届けないで。
異様な文面にどきりと心臓が跳ねる。
「達」
その言葉が気になる。
だが、それは画像を開くことで直ぐに理解できた。
三人の女の子が寝そべった画像。全裸で身体にはどろっとした白い液体が付着しており、使用済みのコンドームがお腹の上に乗せられ、数字が書かれていた。
ショートヘアの胸の大きな子には八。
やや茶色がかった巻き毛の賓乳な子には六。
黒髪のストレートで同じくおっぱいの小さい子には九。
それが何を意味しているのか、真琴にもわかる。
「え? あ、あぁ……うぐ……ぐぇ……げぇ……」
真琴は喉もとにこみ上げる酸味づいたものを路肩に吐き出しつつも、その画像を見ていた。
目が乾き、痛い。涙が溢れ出し、視界がかすむ。
いますぐ何か行動を起こすべきと頭の中で鐘がなるのだが、身体がついていけない。
熱中症患者のようにふらふらとした足取りで、彼は倒れた。
-:-
ふらふらとした足取りでたどり着いたのは大城大学のキャンパス。
日曜日ということもあって人はほとんど居ないが、裏門から運動部の学生が行き来しているのが見えた。
真琴はその流れにそっと隠れ、部室棟のほうへと向かう。
二通目のメールが来た。
今度は澪から。いや、澪の携帯から。
画像が添付されており、そこでは澪がよつんばいになり、後ろから男にせがまれ、前は男の股間にうずまっている。
『大城大学の電算部の部室にいるから、そこに来て。絶対警察なんかに言っちゃだめだよ』
真琴は澪の母に連絡し、梓の家にいたとうその報告をした。
警察に連絡しようとしていた彼女の母はそれを信じ、踏みとどまってくれたらしい。
それが正しいことなのかはわからない。自分ひとりにどうにかできるはずも無いとわかっている。だが、もし警察に連絡したことがばれて、三人が殺されるようなことになったら?
例の犯人を教えるという手紙。
そのことが脳裏にちらつき、真琴の判断を鈍らせていた。
彼が電算部の部室に近づいたとき、むっとした臭いを感じた。締め切った窓からも何か呻く声が漏れ、男達の下卑た笑い声が聞こえる。
――澪、澪……。
真琴はそっとドアノブに触れ、力なくドアを開く。
「ああん! すごいよぉ……また、またいっちゃう……いっちゃうよぉ……!」
「だめ、休ませて……。昨日から……昨日からずっとされて……、わたし、もう、また……いっちゃうぅ~~!!」
「んぅ、やだ、やだよぉ……、真琴君、まこと……、お父さん、助けて……」
視界に広がるのは薄暗い部屋、カーテンで締め切られた窓、半裸の男達、四つんばいの女の子が三人、それに背後から迫る男達。
「澪……澪……」
怒りに身を任せて真琴は部屋に飛び込む。彼は近くにいた男に思い切り殴りかかり、露出した陰茎を蹴っ飛ばす。
「うげ!」
不意をつかれた男はそのままもんどりうって倒れる。
さらに背中を向けて及び腰の男には思い切り爪で引っかき、しり込みしたところでケツをつま先で蹴っ飛ばす。
「澪に、澪になんてことを……」
興奮した真琴は真っ赤な顔で男達に挑みかかる。
不意を着いたことと狭い通路、半裸のうえに弱点をぶら下げてのことであり、真琴にはかなり有利な状況での乱闘騒ぎ。
普段水泳部で鍛えた体躯はパソコンの前で胡坐をかくだけの男達に引けなどとらず、圧倒する。
「おっとそこまでだ!」
だが、奥で澪にしがみついていた男は余裕の表情であり、ぱちんと澪のお尻に自分の股間を当てる。
「ああん!」
澪は気持ち良さそうに顔を上げて呻くが、真琴に気付いたらしく、表情が強張る。
「あ、まこ、まこと……どうして……」
「みお、助けにきたよ! こいつらなんて僕が!」
そう意気込む真琴だが、男の腰が前後すると澪は、
「あん! いや、動かないで! 今、今きもちよくなりたくない! おねがい、やめて! いや、いい、いいよう! きもひいいよう!」
媚びた声を上げながら、目を瞑って真琴を否定する。
「みお!?」
その媚態ぶりに真琴は呆気に取られる。そしてその油断した隙に、
「うおら!」
蹲っていた男が立ち上がり、真琴の腹を殴る。
「ぐぅ」
不意をつかれたとはいえ、それなりに鍛えてあるおかげでそこまで痛くない。倒れるほどではないが、ただ、目の前の澪の状態に心ここにあらず。
「みお……みお……どうして……」
がっくりとうなだれる彼に、男達は反撃とばかりに向かってくる。
だが……、
「はっ!」
突如現れた何者かが、男達を壁に押し付け、ずんずんと部屋を行く。
「だ、だれだ!」
そう叫ぶ男は間抜けにも交尾を続けるが、出るのは澪の嬌声だけ。
「梓様に酷いことを……許せない……」
女の人の声がしたのを、真琴は覚えていた……。
続く