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サラボナ その4

「んで、お人よしのリョカ君はフローラはんの恋路のために一肌脱ぐわけかい……。まったく、金にならんこと好きやな……」
 夜更けの宿屋の窓辺にて呆れたようにため息をつくシドレー。彼はお金にならない希少鉱石を転がしていた。
「うん。でも、フローラさんの話を聞くと、ちょっと可哀想で……」
「ま、そうかもな……。つか、娘を商品みたいに扱うあのおっさんもおっさんやで? そんだけ名誉市民ってのが重いってのもわかるけどよ……」
「ん~、でもそうだよね。街一つ壊滅させるほどの怪獣がやってくるなんて、見ない限り信じられないしさ……。でもだからこそ、それに振り回されるのがね……」
「ああ、わからんでもないな……。貴族や王様ってのは俺ら市井のモンはわからん世界やね。そういやどっかのどら息子、許婚のお姫様が行方不明とかな。難儀な話もたくさん聞くで」
「ふうん。行方不明か……」
 行方不明という言葉に感慨に耽ってしまうのは、記憶に薄い母が故だろうか? それとも自分を残して消えた泡沫の恋人のせいか?
「でも、やっぱり好きな人と一緒のほうがいいと思うんだ……」
「ま、な」
「だからアンさんには悪いけど、少しの間サラボナに居てその人の協力をする」
「ああ、がんばれ……」
 人事というより他人事であるシドレーは石ころをぶつけて憂さ晴らし。衝撃で割れた石からは、小さく輝く宝石の欠片が見えた。細工をするには小さすぎるクズ鉱石だが、脇に散りばめる分には問題ない。また、簡単な魔力を封じ込めるのなら、気兼ねなく使えるだろう。
「へぇ、結構埋まってるもんやな……。これが金になればなぁ……」
 まだ諦めきれない彼は、それをしげしげと眺める。
「ん? そういやリョカ、フローラの姉ちゃんってデボラやったな」
「うん。そういえばデボラさん居ないね。どこ行ったんだろ?」
「さあな。んで、確か力関係というか、フローラに頭上がらんよな?」
「昔はね。今もそうかもしれないけど……」
「となると……。今フローラはんに恩を売っておけば、このくず石も後々捌きやすいかもしれんということ?」
「シドレー?」
「そうやな。人の恋路を邪魔するヤツはケンタロスに蹴られて死んじまえ。よし、俺もいっちょ一肌脱ぐか……!」
「へぇ、また色が変わるのかい?」
「え!?」
 まさかと思い、背中を弄るシドレー。けれど脱皮の兆候はなく、滑らかな鱗の肌だった。
「おいおい、冗談かいな……」
 冗談なのか本気なのか? 彼の表情にどこか楽しむ色があったおかげで判断できたが、世間知らずのリョカからそんな言葉が出ることに、シドレーは意外さを感じずには居られなかった……。

続く

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