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炎の試練 その12

++

 死の火山、太陽の岩戸を潜る一行を出迎えるのは、熱気の嵐。
 暗い洞窟の中で点々と光る焼けた石が、たまに見える洞窟の先をゆらめかせる。
 壁を触るとじわりと熱さが伝わり、比較的厚い靴底がまるで数キロ歩いたように熱を持つ。
 なぜか地図を持っていたアンのそれを頼りにいかねば、すぐにでも道に迷い、死を待つことになるだろう。彼らはそんな洞窟を松明の明かりを頼りに歩いていた。

 暫くしてアンディ達と合流を果たしたときはさすがに彼に渋い顔をされた。リョカだけならともかく、アン、さらにビアンカまで来たのだから。
 リョカの平謝りとシドレーのとりなしでしぶしぶ了承を得るも、アンディは二人に細心の注意を求めていた。

 ビアンカがリョカに同行を求め、許したのにはわけがある。
 死の火山が危険なことは明白であり、自分もそこへ赴くとなれば覚悟が必要だ。
 彼と違い冒険もましてや戦闘の経験も無い彼女では足手まといになるかもしれない。彼のことだから、自分に危険が及んだとき、わが身を省みずに助けてくれるだろう。つまり、リョカの安全を願うのなら、待っているが正しい選択だ。
 けれどそれでもいい。一人で待つことで起きる奇跡が三度もあるはずがないのだから。

「ね、アンさん。あのイレーヌって人、そんなに危険なの? そうはみえないけど……」
 ビアンカは早足の彼女の背中にそう声をかける。
「……彼女はこんなところにも罠を張る人だから」
 アンは壁に向かって手を差し出すと、風の精霊を飛ばす。それがマホトーンだとわかったのは、壁に隠されていた杖が割れた時。魔法の技術はかなりのものらしく、無詠唱、印無しでやってのけていた。
「すごいね、アンさん」
「これぐらいわけないわ」
 アンは風の精霊を払いながら言う。
「ちがくて、なんかアンディさんみたい。ね、シドレー」
「おう。そういえばあのアンちゃん、さも当然のように罠を見破ってたな。ま、アンの場合は疑り深いってとこか?」
 そんなシドレーの声に、アンはくるりと振り返る。
「な、なんだよ。別に怒ることないやろ」
 怒ったのかと感じたシドレーだが、彼女は彼に用がないらしく、リョカにずいと近づく。
「そうなの? アンディさんて……」
「うん。なんかほら、すごく抜け目が無いっていうか、用心深い。そういうところが似てたかな? なんて」
 自分に矛先が向いたことに驚きながら、リョカは思い出しつつ答える。
「そう……」
 その回答に満足なのか、彼女はまた先頭を切って歩き出した。
「ね、アンさんとアンディさんって、どういう関係なのかしら? 恋人とかそういうんじゃないみたいだけど……」
「僕もわからないけど、そうじゃないんだ」
「そりゃねぇ……」
 リョカの見当違いな感想にビアンカは面食らう。
「坊主にそういう話がわかるわけないで?」
「そりゃ……そうかもね……」
 そんなシドレーの言葉には、思わず納得するビアンカが居た……。

**

 洞窟を行くと、魔物達もわいてくる。
 シルバーメイルを纏った青白い肌の魔物。頭に炎を灯し、泥遊びでも楽しむように炎を投げてくる炎の戦士。
「うわっ! ったくあぶねーな!」
 シドレーは炎の塊を翼で扇ぎ返し、代わりに吹雪を放つ。
「ひぃ~」
 冷気に頭の炎まで震わせながら逃げていく炎の戦士達。戦士というには幼い感じがあるが、その危険度は侮れない。
「ぬばぁ~」
 すると今度はぬかるみが盛り上がり、ビアンカの足を掴む。
「きゃぁ!」
 悲鳴を聞いたリョカは昆を構え、ビアンカの足元に振り下ろす。点による攻撃はあっけなく貫通するも、大してダメージを与えていない様子。リョカは箒で掃除をするように、たてよこななめと振り払う。
「ぬばぁ~」
 泥の塊の魔物はかき混ぜられてはたまらないと、敗走を始めていた。
「お、綺麗な宝石あるで……」
 不自然に置かれた袋と、そこから溢れる煌びやかな石。
「まったくシドレーは……」
 そんなヨコシマな竜の思惑は、突如放たれたアンの氷の塊に粉砕される。
「おぉ、踊る宝石か……。あいつ本当に宝石やし、捕まえても……」
 けれど時すでに遅く、宝石の魔物はけらけら笑いながらどこかへ消えていった。
「月の岩戸より魔物が多いね……」
 リョカは額を拭いながらそう告げる。シドレーも頷きながら周囲を警戒し、たまに威嚇をするように吹雪を放つ。
「そうですね。こっちは水のリングと違って力を試す試練なので」
「そうなんだ」
「ちなみに水のリングは人としての力を試す試練です」
「へぇ……」
 いかにして鍵を入手するかの試練ですっかり騙されたリョカには耳の痛い話である。
「人を制し強い力を持つことが名誉市民の資格。大いなる魔物に対抗するためには、それが必要……」
「なるほどな。名誉市民もご苦労な立場やな……」
「でも、そのせいでこんな危険な試練をやらないといけないなんてばかげてる」
 アンは重ねられた岩に氷の塊を投げつけると、軽い爆発が起こる。これもイレーヌが仕掛けた罠だろう。ただ、その様子はまるで八つ当たりにも見えた。
「さ、行きましょう。彼らが何を企んでいるか調べる必要があるし」
 颯爽と先を急ぐ彼女に、リョカ達も歩を早めた……。

続く

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