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テルパドール その1

 砂漠の都、テルパドール。
 大陸のほとんどが砂漠であり、南西に存在するオアシスに王宮が建てられている。
 海水に強いヤシの木々が港を飾る他は、サボテンが点在する程度。動植物には不毛とも呼べる大陸だ。
 そんな場所に位置するテルパドールが何故に主要都市として栄えているかといえば、地価に埋蔵されている金や宝石のおかげ。
 装飾として、硬貨として、あるいは魔具として重用される金銀宝石の類は、そのほとんどがテルパドール産であるといってよい。
 彼らの埋蔵する財力は、主要大陸を買ってなお底が見えないといわれていた。
 一方、その巨大な財力で、大陸の南、王城近くにあるものを建築しているとのこと。その人員確保のため、労働力を募っているらしい。

 テルパドール北の港で船を下りる一行。この船は積荷の入れ替えのため、三日ほど停泊する予定。急ぐ旅ならば料金を上乗せすることで他の船のチケットを交換してくれるらしい。
「うう、あっついわぁ……」
 照りつける日差しにシドレーはだれた様子で呟く。濡らした手拭を頭に被せ、木陰を目指してふらふらと飛んでいった。
「確かに暑いわね……」
 肌を出しては余計に暑いと、日差し避けにボレロを纏うリョカとビアンカ。ガロンの休める場所を探そうと、ひとまず宿屋へと向かった。

 石造りの建物の中はひんやりと涼しかった。ふきっさらしの風が砂煙を巻き起こすも、すだれ状のカーテンがそれを防いでくれる。砂漠に生きる知恵らしい。
 ひとまず一行は食堂へと向かい、珍しいサボテン料理を頼んでいた。
「テルパドールにも例の道具があるって話しやな。インディが言っておった」
 サボテンのステーキを食べながら、シドレーが言う。
「そうだね、父さんの旅が例の天空の装備に関係あるのなら、一応見ておきたいけど、僕らで入れるかな?」
 リョカ一行といえば風来坊に町娘に翼竜と地獄の殺し屋。胡散臭さでいえば間違いなく、到底王宮に入れてもらえるとは思えない。
「無理かしらね……」
 ビアンカもボレロについた砂をはらいながらそう言う。
「いや、そうでもないぞ」
「え?」
 その声に振り返ると、そこにはインディがいた。
「あれ、インディさんも同じ船で?」
「いや、別のツテがあってな。それよりも、例の天空の装備とやらがテルパドールにあるのは事実だ。リョカよ、停泊の間に一度見に行こうではないか?」
「ええと、僕らじゃ追い返されるのが関の山かと」
「ところがそうでもないのだ。貴様の父、パパス殿の名があればな」
「父さんの?」
 父の名前にどれほどの力があるのかわからないが、一方でかつての記憶を辿ると、うだるような暑さの中、豪奢なお城の中、そして綺麗な女性を見たことがあったのを思い出す。
 白と緑のお盆のようなものを前に真剣な様子で話しをする父と綺麗な女性。もしかしたら、それが例の天空の装備だったのかもしれない。
「そういえば昔、父さんと一緒にお城の中に入ったかも……」
「ならば話が早いな。さて、行くとするか」
 颯爽と翻すインディだが、リョカ達はまだ昼食の途中。
「ふむ、珈琲でも飲むか?」
 インディはつれの女性に言うと、近くのテーブルに座りなおした。

**

 テルパドール北の港からは定期的に馬車が出ている。
 もっともそれは普通の馬車ではなく、馬の代わりに屈強な七匹のケンタラウスが引くものだ。それは十数人が乗れるもので、テルパドール名物となっていた。
 魔物使いの号令に合わせて立ち上がるケンタラウス達は伸びをしてから馬車綱を担ぎ、最初はゆっくり、だんだん早く馬車を走らせた。
 砂煙を巻き上げながら砂漠を走る馬車。ケンタラウスたちは競うように走り、王都を目指す。
「は、はえ~!」
 馬車の天井にしがみつくシドレーは振り落とされまいと必死にしがみつき、ガロンも負けじと砂漠を駆ける。
「はいよ! ケンタス!」
「ヒヒーン!」
 魔物使いの男の声にケンタスが嘶く。
「ハミエル、ダービー! 調子はどうだ!」
「ぼちぼちでんな」
「任せろ!」
 てっきり嘶きと思いきや流暢に話す彼らにぎょっとするリョカ。
「言葉が話せるんだ……」
「うむ、なんだか複雑な気分だ」
 それは他の同行者も同じらだが、インディとリョカの二人だけ妙に渋い顔つきだった。

 砂漠を疾走すること数時間、王都へついたのはその日の夕方。城下町も港と同じく石造りの建物が並んでおり、すだれ状のカーテンで日差しと砂を避けていた。
 街並には貴金属店が並んでおり、優雅な日傘で日差しを遮る貴婦人達が従者を引き連れてウインドウショッピングをしている。
 その向こうで半裸の男性達が石切に精を出しており、丸太の上を転がしながら運んでいた。
「ひぃ……しんどいぜ……」
 途中振り落とされたシドレーはしかたなく空を飛んでやってきた。
「ぐるるぅ……」
 灼熱の砂漠を走ってきたガロンは手のひらを舐めながら日陰で丸くなる。
「大丈夫? ガロン」
 リョカはその手のひらに治癒魔法と氷結魔法を施してあげた。簡易の処置を施すとガロンは一声あげて大人しく眠り始める。
「ガロンさんは俺がみとるから、お前らはお城に行ってきたらどう?」
 疲れ果てたシドレーはガロンを枕に横になる。
「シドレーは行かないの?」
「さすがに坊主の父ちゃんが偉くても、俺みたいなのがお城に入るのはまずいべ?」
「そう、でも君は例のものを装備できるかもしれないし」
「いやいや、兜と剣、盾ならまだしも、鎧やったらさすがにサイズが合わないやろ。俺、こんななりやし」
「ああ、そういえば……」
 わりかし器用な彼でも体型を変えることまでは無理だろうと納得する。
「それじゃあまた後でね。ガロンも良い子にしていてね」
「ああ、まかせときぃ」
 そういうとシドレーはガロンを枕に直ぐにいびきを立ててしまう。よっぽど砂漠の縦断がきつかったのだろう。
 リョカ達はテルパドール王城を目指した……。

続く

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