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グランバニア_その6

 ようやく水が引いたところで先へ進むことにしたリョカ達。
 ガロンはぶるぶると水飛沫を払いながらクシャミをしていた。
 階段を降りたところで彼らを出迎えたのは吹き付ける風だった。
「こんな遺跡の地下で風?」
 突風にマントを煽られつつ、広間へ出ると、そこには断崖絶壁があった。その先には王座があり、赤いマントと共に鈍い光を放つ装飾物が見えた。
「あれが王家の証?」
「やろうな……。んでもここをどうやって? 道があったようにもみえんし……」
「そうだね。もし王家の証を取りにきたとして、どうやって取るんだろう」
「ま、俺には羽があるし、ちょっくら行ってくるから待ってて」
「うん」
 おおよそ最後の試練のはずが拍子抜けしたリョカは、ほっとひといき、その場にへたり込み、シドレーの帰りを待った。
 シドレーは王座へと辿り着くと印とマントを掴もうとする。その時、玉座に影が見えた。
「シドレー! 危ない!」
 リョカは即座に印を組むと吹き抜ける風すら貫く風刃を放つ。
「うえ!?」
 玉座に隠れていた賊に向かって放たれた風刃。その内の一人が吹き飛ぶも、さらに襲い掛かる。
「へっ! あんまり物足りなくておかしいと思ったで!」
 難を逃れて空へ舞うシドレー。けれど賊も対策をたてているらしく、弓矢を放つ。
「シドレー! 今行く!」
 彼らがあちらに渡ったとなれば、何か方法があるはずだ。そう考えリョカは辺りを見回す。
「あれか!?」
 絶壁の端に見えた縄の梯子。かなりたるんだ様子だが渡るには申し分ないだろう。リョカはシドレー救出に向かった。

 縄梯子をよたよた進むリョカ。賊の一部もそれに気付いたようだが、彼らにとっても帰り道は一つ。リョカを狙うこともできずにいた。
 なんとか渡りきったリョカは、獲物を構えて賊を睨む。
「貴方たちは何者ですか? どうしてここにいるんです?」
「ふん、お前が王になると困る人がいるんでね!」
 曲刀を構えた一人が勢いよく切りかかる。
「はっ!」
 けれど不安定で狭い道の中、直線の動きなど防ぐには造作もない。リョカは思い切り昆切り替えし、一撃の下に砕く。
「げぇ! なんてバカ力だ!」
「く、魔法を! 爆符を放て!」
 後列に居た魔道士が杖を構え、軽装の弓兵が爆符を括りつけた矢で狙う。
「無駄です」
 リョカ目掛けて放たれる魔法、魔具は紫の霧に惑わされて消えていく。
「ぐ、どうする、魔法も効かないなんて……」
「おちつけ、相手はたかが一人とトカゲだけだ。数で圧せば! ぐわ!」
 すると後方で悲鳴があがる。見ると青い髪の男性とお付の女性が獲物を構えていた。
「ところがそうもいかん。人頭の利は広い場所で囲むことができてはじめて功をなす。今のように挟まれては、足を引っ張り合うのが関の山だ」
「インディさん、どうしてここに?」
「うむ、どうも大臣の様子がとうも気になってな。つまらぬことを考えているだろうし、こうして先回りしていたのさ」
「……よく言うわ」
 前門のリョカ+シドレーに後門の冒険者。おまけに狭い通路で固まり、互いに互いの背中を押し合ってしまう。
「うおおお!!」
 それでも果敢に攻める賊も、リョカに遠慮なくなぎ倒され、後ろでは踏み出そうとした瞬間から足元に鞭を放たれ、動くに動けない。
「降参してください」
 なぎ倒された一人が武器を捨てたあと、他の賊も武器を捨てた。

**

「大臣が黒幕で間違いないだろうな。貴様らにはしっかりと証言してもらうぞ?」
「……」
 賊を荒縄で縛り終えた後、インディは断定してそう告げた。
「大臣は僕のことを認めたくなかったみたいだし、そうなのか……」
 リョカとしては風来坊の自分がいきなり認められるとも思っていなかったが、こうして命を狙われたことで、自分の飛び込んだ世界の深さを感じていた。
「王侯貴族ならこの程度、日常茶飯事だろうさ。だが、さすがに相手が悪かったな。リョカはオラクルベリーでも名うての戦士だったのだぞ?」
「リョカだと!? 聞いていないぞ。まさかあのキラーパンサー殺しのリョカだと知っていたら……」
「ほう、知らずに……か。……ん? それはおかしいぞ? あの大臣のことだ、リョカが本物だと知っていて差し向けたはずだ。オラクルベリーの頃の話を知らないわけがないだろう」
「そうなん?」
「さぁ、僕は自分の噂なんて聞いたことないし」
「ああ、世間はお前が思っている以上に過敏だよ。特に、貴様のような力強い奴はな。だが、となると腑に落ちない。何故雑兵ごときでリョカを襲ったのだ? こいつらでは足止めにしかなるまい?」
「僕を足止めする? ってことは、僕を城から遠ざけておくのが目的……」
「ぐえ!」
 賊の一人が叫ぶ。次いで吹き上がる鮮血。解けた縄。
「ん!?」
 一瞬何が起きたのか判断できなかった。紫のローブを着た賊が一緒に縛られていた者を風刃で切り裂き、空いた隙間から脱出する。
「なんだと!」
 リョカはすぐさま風刃を飛ばす。
「ふん!」
 紫のローブを切り裂き灰色の肌が見えたとき、賊の正体が透けていた。
「貴様、光の教団か!」
 インディも冷静ではいられず、鞭を放ち、腕を捉える。
「ぐぐ……」
 力比べになるとややインディが劣勢。そこへリョカが加勢し、一気に引っ張る。
「ぐへぇ!」
 反対側に叩きつけられた賊。インディはさらに鞭を引き、動きを封じる。だが、あろうことか賊は鞭に絡みついた腕を切り落とす。
「おまえ! それをどうする気だ!」
 何かに気付いたシドレーはいままで見たこともないくらい勢い盛る火炎を放つ。
「し、シドレー!?」
 ローブを一瞬で消し炭にするも半身生き残った賊は光を集めて上空へと消える。
「しもた~、逃した! やばいで、あいつだけは逃しちゃいけない!」
「ああ、ここは急いだほうがいいな。エマ、出るぞ」
「ええ……って名前」
「今はそんなことを言ってる場合じゃない。リョカ、シドレー、つかまれ」
 インディはエマの腕を掴むとリョカとシドレーに手を差し出す。
「ああ、ええとガロンさんもっと」
 慌ててガロンを掴むシドレーの翼をリョカが握ったところで、三人と一匹、一翼は光となって出口へと飛んでいった。
「おーい、俺たちは~!!」
 残された賊は光を追いかけようとしたが、つんのめって転んでしまう……。

**

 王家の試練の遺跡を出たところで、南西の方角に煙が見えた。
「なにかあったんだ! 急がないと!」
 リョカの声にシドレーが頷く。しかし、インディは彼を離さない。
「インディさん!」
「おちつけ、いくらシドレーでも飛んでは半日掛かる。今は目をつぶれ。エマ、頼むぞ」
「ええ、わかったわ」
 エマは周囲から時の精霊を集め始める。
「人が多いと難しいのよね……」
 そして彼らを包む淡い光。ふわっと浮遊感に包まれた後、彼らはグランバニア城へと飛び去って行った……。

続く

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