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グランバニア_その7

 グランバニア城下町は騒然としていた。
 城下を囲む壁に押し寄せる魔物の群れ。それを指揮するのは猪のような牙をもつ大柄の魔物。
「我ら怪力兵団に向かうところ敵は無い! 遮るものは打ち壊せ、歯向かうものはなぎ倒せ!」
 鎧に二つの盾を構えた二足歩行のカバ、シールドヒッポが前面に立つ。石造りのストーンマンが壁を殴り、続く部隊の盾となり、道をつくる。
 主力の軽装の竜戦士は剣や槍を構えて突撃のチャンスをうかがっていた。
「力だけに固執する脳筋などにおくれを取るな! 我ら海馬兵団こそが最強であることを示すぞ! 一番槍を取ったものには褒美を取らす!」
 別の位置から城を目指すのは二足歩行の馬の魔物。
 嘶きに応えるように大きな炎の塊を構える灰色の山羊の魔物バルバロッサ。
 大きな翼を持ち、三つの目を怪しく光らせるシャドーサタン。
 馬の魔物であるラムポーンの引く馬車に乗せられ、城を目指す。

 壁内部でも魔物が暴れていた。
「くっ、一体どうしたというのだ!」
 緊急事態に兵を固めたドリスは、サンチョの号令を待たずに町中で暴れる魔物を切り伏せる。
 魔物使い達も状況に困惑しつつ、暴れだした魔物を組み伏せるべく前に出る。けれど、自分の魔物以外は区別がつかず、同士討ちもところどころ見られた。
「はぁああああ!!!」
 頑丈な鎧に守られるシールドヒッポに挑むドリス。鋭く鎧の隙間から切っ先を通し、そのままなぎ払うと、悲鳴を上げさせることなく絶命させる。
「おお!! さすがはドリス様!」
「世辞は良い! それよりも状況報告を早く!」
 伝令兵を急がせるドリスだが、上空からもホークマンの群れがやってきており、それらがはなつマヌーサのせいで視界が悪い。
「がぁあああ!!!」
 そんな中、不意に現れた覆面の魔物がドリスに向かって斧を振りかぶる。
「しまった!」
 物陰からの不意打ち、人型ということもあり警戒が薄れての窮地。ドリスは寸前に身を翻すも、凶撃のほうが早い。
「そこまでだ!」
 それを止めるのは空から降ってきた従兄弟の声。渾身の一撃を頭部に受けた覆面の魔物はそのまま昏倒する。
「リョカ! 早かったな!」
「はい、なんだかわからないけど送ってもらえまして! それより、これは一体!?」
「ああ、私もわからない。いつのまにか城内に魔物が侵入して……」
「ドリスと言ったな。指揮官ならばまず状況を把握すべきだろう。その上で部下に命令を出せ。上空から見たが、連携が整わずに個別撃破に時間が掛かりすぎだ」
「む、貴様……いや、その通りか……」
 インディの言葉にむっとしたものの、顧みるところもあるらしく、唇を噛むドリス。
「一度サンチョ殿のところへ戻れ。リョカ、お前もだ」
「でも、街が!」
「混乱している中でてんでばらばらに動いては危険だ。まずは兵力を結集させ、混乱を解く。シドレー、貴様は敵性の魔物を撃破しろ。遊撃だ」
「はいへい!」
 シドレーはそう言うとガロンと共に街を駆け出す。
「さ、行くぞ。エマ!」
 インディはドリスとリョカの腕を掴むと光に包まれた。

**

 城の中庭へ降りるとサンチョ達が居た。
「サンチョ殿!」
「サンチョ! ビアンカは!」
「おお、ドリス殿、坊ちゃま! 無事でしたか! はい、ビアンカちゃんは城内にて安静にしておられます」
「そうか。で、細かい話は後で、いったい何があったんだい?」
「はい、どうやら城内に魔物が多数侵入しているようです。そして西部の森林、北部の湖側から二部隊による侵攻が行われています。どちらも魔物の軍勢でありますが、どうにも作戦だって動いているようです」
「ふむ……。十中八九、光だろうな。北部の軍勢の馬面には見覚えがある」
「馬面? まさか……」
「ああ、そのまさかだな」
 混乱から憤怒の表情に変わるリョカ。かつて父をなぶり殺した馬面の魔物のことは今も忘れてはいない。
「まずは城下で暴れる魔物を鎮圧する必要があります。それは兵士長補佐に任せております。魔物使い達にも自分の魔物を集めさせ、同士討ちを避けるようにと」
「サンチョ殿、私が北へ出て……」
「いや、北はどうやら魔法部隊だ。しかも馬で戦車を広域に渡って引いている。たとえ貴様が馬で駆け抜けようと動く的にしかなるまい。むしろサンチョ殿の魔法部隊で防衛に徹したほうが安全だろう。お前は森で怪力バカの相手をしろ」
「なっ、貴様、一体なんの権限があってだな!」
 さすがに外部のものが口出ししすぎだと憤るドリス。
「いえ、ドリス殿、私もそう考えておりましたゆえ、西をお願いいたします」
 けれどサンチョも同じらしく、ドリスを止める。
「サンチョ殿がそう申されるのなら……」
「ふむ、ついでだ。俺も手伝ってやる」
「ふん、足を引っ張るなよ」
「サンチョ、僕は!」
「坊ちゃまはビアンカちゃんのお傍に居てあげてください。彼女、坊ちゃまの帰りを待っておりましたゆえ……」
「でも……」
「リョカ、傷病兵の手当てもある。お前はそれができるだろう? 頼むぞ」
「インディさん……」
「何、貴様の親父の仇ぐらいとらせろ」
「はい……ん?」
「さ、行くぞ!」
「貴様が仕切るな!」
 インディはドリスを急かすとリョカの疑問をそのままに行ってしまう。
「それでは私も参ります。我がグランバニア魔法部隊、防衛においては難攻不落をほこりましょうぞ……」
 サンチョは一礼して辞した。
「僕は……」
 城内に広がる不安の声。本当は力になりたい、なれる自分がいる。けれど、今だけは自分のことを優先していた。

++

「そりゃぁ!!」
 空からの急襲と地上からの鋭い牙。城内に現れた敵性の魔物を倒すシドレーとガロン。
「キキキ……ラリホー!」
 倒れたところで睡眠魔法をかける魔物使いのドラキー。それを兵士達が魔封縄でふんじばる。この魔封縄は魔法の干渉を受けず、力だけでは解きにくいという特性があるため、捕縛に適しているのだ。
「ふぅ、これであらかた片付いたか?」
 額を拭うシドレーに魔物使いは感心していた。
「いやあ、とてもお利口なドラゴンキッズですな。さぞかし名うての魔物使いの使い魔なのでしょうな?」
「おいおい、だれが使い魔や。ま、つかいっぱなのは確かやけどな……」
 ひとまず城下の危険は排除できたので戻ろうとする。
「きゃー! 魔物!」
「お? まだおったかい」
 悲鳴に飛び立つシドレーにガロン。兵士達も続いた。

 曲がり角を曲がったところで避難していた一団と、それを追うホークマンの群れがいた。今にも切りかかられそうな間合いに、シドレーも焦る。
「死ねー!」
 そして振り下ろされる凶刃。
「伏せろ!」
 そこへ颯爽と現れるキラーパンサーに乗った赤毛の青年。彼は腕につけた盾で剣を弾き、とび蹴りを顔面に叩き込む。昏倒したホークマンの首へ一撃を加えて絶命させた。
 新手にあらぶるホークマン。そこへ空気を切り裂く雷が走る。
「うらぁぁああああ!!」
 銀髪の剣士の振るう黒金の剣が雷鳴を轟かせ、ホークマンたちを根こそぎ感電死させる。
「ひゅーやるー」
 一足遅れてやって来たシドレーとガロン。
「おっと、俺は敵じゃないぜ?」
 彼らを見る青年にシドレーは慌てて言う。けれど青年は特に敵意は見せない。
「貴様、あの時の人騒がせな竜か。となると、奴もいるな? どこだ?」
 銀髪の剣士はシドレーを見ると剣を握る。
「おまえが言うなや。リョカか? ああ、お城におるで……」
 テリーは頷くとそのまま城へと走る。その後ろをどすどすと緑の竜がついていく。
「なんや、せわしいやっちゃな。ん? お前、昔……ボルカノ……」
「え? あ、私はルカです。シドレーさん」
「お? ルカ? え、なんで俺の名前知ってるん?」
「はい、主人から聞いておりますゆえ」
 丁寧に言う彼はかつてあった粗野な青年とは少し雰囲気が違う気がした。それにあれは数年も前のこと。もし同一人物なら風貌が同じのはずもない。
「おーい、ルカ~!!」
 そしてやってきたのは見覚えのある人。白髪の老人を連れ立ってやってくる。
「ん? あれってもしかして……」
 人事ながらヤバイと感じたシドレーは、いますぐにでもリョカの元へと駆けつけたかった……。

続く

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