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グランバニア_その8

 グランバニア城上空から攻めてきたホークマン、ガーゴイルにリョカも応戦する。
 斥候である彼らは偵察なのか、矢の雨、風刃、爆発魔法に圧されて退却しだす。
 ひとしきり追い払ったところでようやくリョカはビアンカの待つ医務室へと向かった。

「ビアンカ!」
「リョカ?」
 リョカが医務室に駆け込むと、傷病者の手当てを手伝っていたビアンカが振り向く。
「よかった。無事だったのね?」
「ああ、君こそ無事でよかった。急なことで遅れたけれど、もう大丈夫。サンチョとドリスさん、それにインディさんが防衛に出た」
 実際それがどの程度なのかリョカもわからないが、庸兵時代に城攻めの難しさを自慢話のように話してくれる老兵がおり、彼から酷く難しいのだと口を酸っぱくして教わったものだ。
「そう」
「僕も手当てを手伝うよ。ビアンカ、君は身重なんだから休んでいて」
「でも……うん。そうさせてもらうわ」
 ビアンカは戸惑ったが、回復魔法も医療の知識も薄い自分ができるのはせいぜい包帯を巻く程度。ここにいて心配されるよりはと、頷く。
「けど、一緒に居ていい?」
「ああ。もう離れないから……」
 そっと歩み寄る二人。
「おいおいすまんが今は忙しいんだ。そういうのはあとにしてくれ。えと、君は治癒系の魔法ができるのかな? なら負傷者の手当てを頼むぞ」
 白衣の男性は咳払いをして戒めると、助手にあれこれと指示をだしていた。
「は、はい!」
 リョカもビアンカを連れ立ち、治療を待つ負傷者のもとへと向かった。

++

「ん~、シドレーじゃない。あんたどこに行く気?」
「ええと、お花摘みに……」
 赤毛の巻き毛の猫目でちょっときつめのアルマールジュエルの社長、デボラ・エド・ゴルドスミスに見つかったシドレーは、後ろめたさに似た居心地の悪さに逃げようとしていた。
「何がお花摘みよ。それより聞いたわよ? リョカがフローラと結婚するとかって! もう、父さんもフローラも何を考えてるんだか」
「ええと、やっぱりその件でして?」
「そうよ。ったく、もう……」
 そういって彼女は大きくなったおなかを撫でる。今日はいつものオシャレなドレス姿ではなく、ゆったりとしたマタニティドレス。それがどんな意味を持つのかは、当然ながら一目でわかる。
「探しに来いって行ったのにあのバカ、いくら成り行きとはいえフローラと結婚するなんて」
「いやいや、まだ結婚するなんて話まではいってませんぜ。あの下卑た話ですが、そのおなかの中の子は当然……」
「そうよ」
 おなかを撫でるデボラは優しい笑顔になる。一方、シドレーは渋い顔。
「ちょっと本人に直接聞きにいかないとね」
 けれどひとたびリョカのこととなればぶりぶり怒り顔。
「いや、でもデボラはんも一緒に居ればよかったのに……てか、そもそもアンタが例の名誉市民のことをリョカに話して結婚していればこんな面倒なことにはならなかったのに……」
「名誉市民? ああ、そうね。でも、リョカに危険な目に遭わせたくなかったし、それに私は父さんからも独立を認められていたわ。いまさらサラボナに引っ込む気持ちも無いしね」
「はぁ、そうでっか……」
「はぁはぁ……、お嬢様、お体に障りますぞ。ひとまず今日は安全な場所で……。これ、ルカ」
「はぁ……チロル!」
 ルカと呼ばれた青年は周囲を警戒しつつ、キラーパンサーを呼びデボラを乗せる。
「まぁ今はお城が安全やし、リョカの知り合いってのは俺が話を通してやるから、ひとまずいこか……」
「ええ。ったく、会ったらひっぱたいてやるんだから!」
「いや、まぁ、でも……なぁ……」
 リョカにも言い分もあるだろう。けれど、身重となったデボラの言い分もしかり。そして節操なく手を出す態度は、シドレーも昔から懸念していたこと。
「もてるのも考えもんやな……。それよか、なんであの銀髪やろうまでいんの? てか、そのルカって誰や?」
「ああ、テリーはどうもリョカの連れに用があるらしくってね。強いし用心棒に雇ったのよ。で、こっちはうちの新入りね」
「へぇ、なんかボルカノに似てないか?」
「ボルカノさん? ああ、私もそう思ったわ。でも彼のほうがずっと若いし、変じゃないかしら?」
「ん、それはそうやけど、兄弟とか?」
「そういえばお姉さんがいたみたいだしね。で、彼、こう見えて強いし、宝石の知識もあるのよ。だから雇っているのよ」
「まったくお嬢様も、どこの馬の骨ともわからぬ者を……、だいたいですね、私は反対したのですぞ? 身重の身体に何かあってはこのフレッド、ルドマン様にどう顔を向ければよいか……」
 白髪の老人、フレッドは未だ苦労の種も尽きぬと、くどくど言う。
「難儀なおっさんやな。ああ、そうやな……実はですね、坊主の奴、今……」
「今、どうかしたの?」
 遅かれ早かれ知られるのであればとこれまでの経緯を語ることにしたシドレー。それが吉と出るか凶となるか? 大変だったら空の精霊とお友達になれば良いと、城につくまでの間、語りだした……。

++

 爆裂魔法を放ち木々をなぎ倒す馬車軍団。四足に引かれた馬車は倒れた木々に自ら往生して歩が遅い。だが、もしこれが平地であれば、瞬く間に包囲されていたであろう。
「ふむ、魔物にありがちな能力を過信するあまりに用兵を誤っているわけか……」
 望遠鏡にて周囲の状況を確認するサンチョ。既に自慢の魔法部隊に弓兵隊、防壁の要である重装歩兵の準備が終っている。
「城の要所にミラーアーマー部隊を配備、念の為、魔法使いも配備せよ」
「はっ!」
 伝令兵は頷くとただちに命令を下す。
「敵は二正面での攻撃。組織だって動いている以上、油断はできませんな」
 サンチョは久しぶりの戦に心なしか気持ちが昂ぶっていた。

続く

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