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グランバニア_13

 紫のローブの魔族が空へ消えると、強い光が空に打ち上げられた。魔物達はそれを合図に撤退していった。

 城の一角を破壊され、城下では民家に火の手が上がっていた。
 瓦礫の下に閉じ込められた人を救出する作業がいたるところで行われ、傷病者の手当てでルビス教会はごった返し。魔物の襲来は領内に戦いの爪痕を残していた。

「ビアンカ!」
 目が覚めたとき、リョカは叫んだ。ぼんやりした記憶の中、仇敵に連れて行かれるビアンカ。それを追うテリーと、沈み行く自分。
 悪夢ならとおもいつつ、身体の節々に上がる痛みが現実だと教える。
「リョカ、目が覚めたのね……」
 ベッドの隣にはデボラがおり、まだ寝ているようにと制す。彼女はルカに目で合図し、医者を呼びにいかせた。
「アルマ、いや、デボラさんだったのか……。とても綺麗になっていたからわかりませんでした」
「こんな時に口説くつもり?」
「そんなつもりじゃなくて……。それよりビアンカは……」
「落ち着いて。今は身体を癒すことが先」
 視線を細める彼女からは、希望を打ち砕くだけの結果が読み取れる。
「僕は……行かないと……」
 リョカはデボラの制止を振り切り、立ち上がる。けれど武器を探すも仇敵を締め上げた時に破壊されていた。
「リョカ、気持ちはわかるけど、今はまだ……」
「僕は彼女を……僕と彼女の大切な……子供を……。そうだ、君こそいいのかい? こんなところで、身体に障ったら……、君まで……」
「平気よ。少しくらい運動もしないと」
 ようやく冷静になれたリョカにほっとしたデボラは椅子に腰掛け、リョカに促す。
「おなかの子は……もしかして……」
 心当たりのあるリョカは彼女のおなかを触りながら呟く。
「え? ええと……これはルカの子よ!」
「……そうなの?」
「ええ……、あの、あんたが私を全然迎えに来ないから浮気してやったのよ。だ、だからまぁ……その……」
「そうか……。はは、本当に僕は駄目な奴だな……」
 乾いた笑いを浮かべるリョカは、頭を掻きながら俯く。
「リョカ君、目が覚めたのか」
 医者の代わりにフレッドとシドレーがやってきて、リョカの脈を取る。
「ふむ、まぁ特に問題はないか……」
 ほっとするデボラとは対照的にフレッドの視線は鋭く、非難めいたものがあった。
「フレッド?」
「はいはい、わかっておりますとも……」
 不満ありまくりなフレッドは言いたいことを飲み込み、代わりに薬と水を差し出す。
「瘴気にやられているようで、ひとまず気つけ薬を処方しておきますぞ」
「ありがとうございます」
「んま、なんにせよ、リョカは身体を治すことからやな。つか、俺もなんか身体が痒くて痒くて……」
 ぼりぼり身体を掻くシドレーは背中に腕が回らないとぐるぐる回る。
 リョカは笑いながら彼の背中を掻いてあげる。すると、べろりと皮が剥がれ、黒い皮膚が見えた。頭を掻くとさらに皮が剥がれていき、どんどん黒い皮膚が見え始める。
「貴方、怪我してる? いえ、黒い皮膚が出来上がってるわね。もしかしてブラックドラゴン?」
「俺がブラックドラゴン? そんなんあるかいな……うえ、ほんまや……」
 掻いていた腕まで黒い皮膚が見え始め、そして全身が黒くなっていた。
 真っ黒になった彼は鏡を身ながら残った皮膚を剥がし、窓から捨てる。
「こうなるといよいよなんだかわからんな」
 そんな彼をみながら緑髪の青年と銀髪の青年がやってきた。
「ヘンリー!? どうしてここに?」
 旧友との突然の再会にリョカは声を上げた。少し前に手紙のやり取りをすることとなったが、こうして顔をあわせると、気持ちに熱いものが訪れる。
 オラクルベリーでの別れはリョカにも後ろめたいものがあり、誤解に似た齟齬を解消したいと感じていた。それは手紙でのやり取りで書けるほど易しくなく、かといってこうして顔を合わせていえるかといえば、それも難しい。
「久しぶりと言いたいが、実はインディは俺なんだ。これまで貴様の旅について回っていたのさ」
「インディは君だったのか……」
「騙すようで悪いが、俺も顔が割れているのでな。変装する必要があったのさ」
「これまで助けてもらって……、本当になんていっていいのかわからない」
「気にするな。俺にも目的があったし、貴様のおかげで色々面白いことを知ることができた。ただ、一つやっかいなことになったな」
「厄介?」
「ああ、お前の連れ、ビアンカのことだ」
 銀髪の青年はリョカを見る。
「テリーさん、それはどういう……」
「どうもこうも、奴は名乗ったであろう? ビアンカ・カミューリア・ピサロとな。ピサロとはかつて魔界の名門貴族の姓だ。もっとも、竜の神とやりあった頃に没落した。まさか人と共に暮らしていたとは思わなかった」
「ビアンカが? それは本当なんですか?」
「あの女がその末裔であるのは事実だ。そして、奴は魔王ほどの地力がある。貴様も見たろ? 奴が片手で操る名前すらない魔法、貴様の昆を破壊させるのにイオすら使わないのだぞ」
「そうですけど……」
「そして、あいつ自身、自分が人間の敵であると言っている。ならわかるな?」
「……」
「強大な力を蓄えるまえに始末すべきだ」
「そんなことさせません!」
 リョカは飛び起きると、テリーにくって掛かる。それを見越していたヘンリーは間に入ってとめる。
「まったく、二人ともどうにも直情的で良くないな」
「ヘンリー、君もビアンカを?」
「ビアンカが魔王となり、人間と対立するというのならな。そもそもピサロ家というのは神話の時代に竜の神とやりあって没落した。魔族の間でも互いの権力争いに破れ、総崩れ。人の世界に溶け込み今に至る、いわば落人。いくら強力なポテンシャルを持とうとそれだけで勢力図を変えることなどできないさ。それに彼女はお前の子を身篭っている。少なくとも、子が生まれるまでは大きな動きはできない」
「なんだと? まさかお前、魔王を妊娠させたのか!?」
 テリーは目を丸くしてリョカを見る。
「ええ、その……はい」
「はっはっは……これは傑作だ。なるほどな。前に戦ったときよりどうにも弱いと感じたが、貴様の子を身篭っていたか……」
「おいおい、テリーはん、そこはおめでたいとこで笑うとこやありまへんで?」
「ああ、そうだな。となると、これは運が巡ってきたな」

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