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グランバニア_14

「運?」
「奴らが何故ビアンカを攫った理由、それは奴の魔王としての力を求めてのことだろう。おそらくは魔王の力を奪うため」
「奪う? そんなことができるんですか? それならビアンカを殺す必要は無いんじゃ」
「お前の浅知恵もわかる。だが、そうなるとさらに危険がある。ビアンカの出生はよくわからんが、純粋な魔族というわけでもなさそうだ。おそらくは代を重ねるときに人の血が混ざったのだろう。その分、弱くなる。さらに子に魔王の血を分けるのだからさらに弱くなる」
「僕の子が魔王……」
 一児の父から一転魔王の父となりかねない事実に、リョカは言葉が見当たらない。
「しかし、そうなると、魔王というのはだんだん弱くなるのではないか? 神話や伝承で伝えられる魔王は勇者に討たれるのが相場だが、個体数が減ってしまえば脅威になるとも思えないな」
「その通りだが、実は抜け道がある。魔王の血、力を奪うのさ。つまり、次世代が旧世代からなんらかの方法で奪う。穏健派は継承させ、武闘派は殺害し、血肉を喰らう。ピサロ家はおそらく前者だろう」
「じゃあ、魔王の力をビアンカから継承させれば……」
「貴様の浅知恵の通りになれば良いな。どうせ奴らもビアンカの妊娠と魔王の継承に気付くだろう。そうなれば子が生まれるまではビアンカから奪ったところでせいぜい半分。暫くの間はビアンカも生かしておくだろうな」
「ん? でも、それって、リョカ的には良いことなんじゃね? だって、テリーはんはビアンカを殺す必要がなくなって、あいつらも暫く二人を生かしておくんやし」
「問題は奴らが不要となったビアンカやその子を生かしておくかだ。なんにせよ、リョカ、貴様の軽はずみな行動が、ある意味功をなしたわけだ。子が生まれ、継承の儀式させるまでに二人を取り戻す必要がある」
「継承の儀式……。まだチャンスはある……」
「……リョカ、いいにくいが、実は今回の件、ビアンカを連れてきたせいで引き起こされたとドイル大臣が提起してな。いくらパパスの子といえど、国家に危機をもたらしたお前を国民は受け入れないとのたまったのさ」
「……」
「もちろん、お前はビアンカが魔族であると知らないのは知っている。ただ、グランバニアはこの有様だ」
「僕のせいで……グランバニアの人の生活が……」
「いや、今回のことには……」
 ヘンリーは視線を細めると言葉を濁す。
「つまり現状、グランバニアはお前に協力しない。ビアンカを取り戻すということは、グランバニアに受け入れられないことになりかねない。それでもお前は行けるか?」
「……ああ。僕が行かないと。ビアンカもきっと僕を待っている」
「そうだな。こうなるとお前の素性が知らされなかったことが返ってよかったかもしれん」
「もともと僕が王様になるなんて無茶な話さ。僕は冒険家だ」
 リョカは外套を手に取ると、風の精霊を集めて痛む箇所を癒す。
「リョカ、貴方、まさかもう行くつもり?」
「ああ。行く。ビアンカが待っているから」
「けど、どこへ行くの? あてはあるの?」
「あて……か。あるよ。あの紫の魔族には見覚えがある。奴がいるのは……」
 慌てて口を閉ざすリョカ。光の教団は各地に点在しており、グランバニアにも存在する。表向きには新興宗教でしかない光の教団に対し、いくら真実であろうと不穏なことを口にすることが憚られるのは知っている。そしてテリーの目的がビアンカの抹殺であれば、その根城を話すわけにもいかない。
「知っているのなら話してもらおうか?」
「それはできません。貴方がビアンカを、ビアンカの子を狙うのなら!」
「勘違いするな。現状、ビアンカが人間の敵だろう」
「ちょっと、貴方ねえ、せっかく人がグランバニアまでの旅費を出してあげたっていうのにその態度はないんじゃない? それにビアンカさんを敵ですって? そうはいかな……い……わ!?」
 デボラはテリーの不遜な態度に口を尖らせるも、次第に顔色が悪くなる。
「デボラさん?」
 いつの間にか青い顔をしていたデボラ。呼吸も荒く、油汗をかいていた。
「君、まさか……」
「へ、へいきよ……なんでもないわ。フレッド、フレッドを……」
「シドレー、お医者さんを……いや、時間が惜しい」
 リョカはベッドを降りるとデボラを抱え上げる。
「リョカ?」
「ビアンカのこともあって城に産婆さんを呼んであるんだ。そこまで運ぶ。シドレーは先に行って準備をするように言ってくれ」
「お、おう……」
 リョカが部屋を出るのと同時にシドレーは窓から飛び立った。

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