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ビアンカを追って_5

 ルドマン邸、廊下の奥まった場所にある袋小路。窓はなく、新しい絨毯の赤が目立つ。
 ルドマンは隣の部屋のドアを開けるとそれで従者達の目隠しをし、絨毯を捲る。するとそこには階段があった。
「大層なものだな……」
 階段を降りながら向かった先には小部屋があった。さらにドアを開けると、鉄格子が二重になって封印された天空の剣があった。
 剣から放たれる青白い波動は、ついこないだリョカのマホステをはらいきったものに似ており、精霊の動きがまったく見えない。
「天空の剣か……懐かしいな」
 テリーはルドマンから鍵を受け取ると、鉄格子を開け、剣を前にする。
 そして手を伸ばし、つかむ……と、急に姿勢を崩す。
「何? なぜだ……」
 剣を持とうとすると不自然な姿勢になる。あわててリョカがさやを持って支えた。
「すまない。しかし、これは一体……」
「おいおい、まさかテリーはんは勇者でないん? なんでもてへんの?」
 ずいっと顔を出すシドレーは手を出して剣を渡すよう催促する。
「うむ?」
 テリーは胸元から青い宝石の埋め込まれたペンダントを出す。宝石が空色に輝きだし、前髪がふわっと上がった。彼が魔王の力を使った時とは違う、厳かな雰囲気が醸される。
 すると今度は鞘からすっと抜ける。
「やはり勇者殿ですな」
 その様子に満足気なルドマンだが、対照的にテリーは険しい表情のままだった。
 テリーは天空の剣を持ったまま、じっと見つめる。刃の先から柄まで見つめ、一瞬目を細める。
「これは……違う……。偽物だ」
「偽物!?」
「ああ、巧妙に作られたフェイクだろう。この剣はかつてラミアスの剣と呼ばれ、勇者アーロンが愛用していた。奴と……奴が最強を退けた時、その戦いを忘れぬために柄に魔王の爪痕が引かれた。本来自己修復機能を持つラミアスの剣でさえ、その爪痕を癒すことは無かった……」
「ラミアスゆうたりアーロンゆうたり誰の剣やねん」
「だが、この剣にはその爪痕が無い」
「修復しよったとちゃいますん? その、そういう剣なんざんしょ?」
「たかが数百年にも満たない時間で癒されるはずもない。それに、そもそもラミアスの剣から放たれる波動は力強い雷の精霊、即ち勇者のもの。青く全てを凍えさせるものではない……」
「伝承でならわしも読んだことがある。物語のなかでは雷撃を放つ剣として描かれているからの」
「その通りだ。だが、この剣は……」
 テリーは鞘に納めると、戻すように促す。
「いいん? すごい値打ちもんやろ?」
「扱う者がいないのでは話にならない。それともお前がその体躯で剣をふるうのか?」
「あはは、非効率でんな」
 言われてみればと剣を収めるシドレーは、意外と器用な手先で二重の鉄格子を閉め直す。
「やはり使ったらどうだ?」
「殺生な……」
 鉄格子をくぐるのも手間なシドレーは両手を挙げて拒んでいた。
「で、それならこの剣を使えるのは本当に勇者なのかい?」
 伝承にある剣とは違うと断言されたことでリョカは揺らいでいた。父が人生をかけて探し求めていた剣が偽物であったとしたら、それは喜劇になりかねない。その意味、リョカは救いを求めるように彼を見る。
「勇者にも扱える剣だとは言える。だが、もっと別の条件があるのかもしれないな。だが、この剣を持つべきは俺ではない」
「なして? 勇者なんだし、持てばええやん」
「勇者の力もあまり使いすぎるわけにいかないんでな」
「へぇ、ケチンボやね」
「やっぱりアニスさんが持つべきなのかな? 剣」
「さあな。勇者の力を持つものが常に戦いを求めるわけでもないし、人の為に戦う確約もない。このままこの屋敷に封印しておくのが正解なのかもしれない」
「ふむ、なるほど。では、真の天空の剣を改めて捜索する必要があるわけですな。そして、それを扱える勇者も……」
「アニスさん、神出鬼没だからなぁ……」
 ルドマンは納得したのか頷く。リョカは不思議な少女のことを思いながら、部屋を後にした……。

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