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ビアンカを追って_10

 そのしばらく離れた場所で火花を交わす二人。
 馬の魔物は一撃必殺のデーモンスピアを振り回し、それをかいくぐりながらテリーが切り付ける。彼の一撃は雷撃を含みながらジャミの炎の鎧を削る。
「ビアンカ様!」
 ジャミが槍でテリーの剣を受けながら叫ぶ。
「勝負の最中によそ見とは大した余裕だ!」
 テリーは雷神剣に魔力を込めると、大きく振りかぶる。
「くっ!」
 その必殺の一撃に延ばされたジャミの蹄が眩い光を放ちバリアとなって弾いた。
「なんだと!」
 突然の反発にテリーは体勢を崩す。重装備を好まないテリーは即座に次の攻撃に距離を取ろうと地面を蹴る。だが、予想に反してジャミは背を向けると、ビアンカのもとへと走る。もともと四足の魔物であり、その速度は人の追いすがれるものではない。
 テリーも本来の目的を達するため、それを追った。


「く……」
 おびただしい魔力の放出で膝をつくビアンカ。上空では風の精霊、水の精霊、炎の精霊を思うようにはべらすフローラが、魔力を放出している。
「ビアンカ!」
 リョカもまた彼女を守ろうとマホステを纏う。けれどフローラの閃熱を前にして紫の霧は中和するそばから霧散してしまう。
「リョカ、ここから逃げて……」
「君を置いていけるか」
「でも……」
 ビアンカに寄り添えば死が待つのみ。けれど、ここで逃げることも選べず、精神を削られる。
「ぐ……」
 魔力の詠唱と熱で空気が薄くなり胸元を締め付けられる酸欠気味となる。昆を片手になんとか立つも、砂浜に近い地面ではふんばりもきかず、徐々に後ろに下がる。
「お願い、リョカ、逃げて……」
 悲痛に叫ぶビアンカに呻くするしかできないリョカ。彼女も油汗をかき、膝に震えがみえる。
「君を置いてはいけない……」
 そういって膝をつくリョカ。そこで均衡が崩れたのかビアンカも後ずさりしだす。
「もう……」
「僕は、最期まで、君を……」
「リョカ……」
 ビアンカはお腹に視線を移し、そっと微笑む。せめて愛する者とともに最期を迎えるのも本望かもしれない。彼女がこうしてリョカをさらいに来たのが本音なのだから。
「ビアンカ様、お傍に!」
 砂煙をあげながら颯爽とやってきたのは紫の鬣と白に近い青紫の馬の魔族。ビアンカの隣につくと白く輝くバリアを放ち、フローラの放つ閃熱魔法を弾き、相殺する。
「ジャミ、待ったわ。いくわよ!」
 ビアンカは防御をジャミに任せると一瞬魔法を中断し、炎を集める。
「知を求める俊敏なるものよ、今ここに集いて形を成せ、メラ!」
 低位の詠唱と印を組むビアンカ。もともと町娘程度の育ちの彼女では高位は当然として中位の魔法の詠唱を知るすべはない。詠唱も竈に火を灯すのに便利という程度のものであり、良いところの子弟なら文字通り火遊び程度に扱えるもの。
 しかし、そこに魔王の力がこもることでその威力は上位魔法を凌駕する。
 最初は拳大の炎が燃え盛り、やがては地上の太陽とでもいうべき大きさになると、それはフローラの魔法を弾きながら彼女へ向かっていく。
「ビアンカ……!?」
 その魔法が当たればフローラとてただではすまない。
「君は本気なのかい!?」
「遅いか早いかの違いでしかないの……」
 悲しそうに言う彼女を前に、リョカはとっさに行動を起こしていた。
 普段見えない精霊が草場の影から彼にまとわりつき、浮遊感が身体を包む。かつてベネットの家で蔵書を漁っていた時に見たものを思い出す。禁止魔法の一つルーラの亜種、飛翔呪文。小さな太陽を追い越す彗星が見えた。

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