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ビアンカを追って_12

「はぁはぁ……。さすがは魔王ですわね……」
 渾身の魔力を放ったフローラは両肩をだらりとたらし、それでもビアンカを見る。どこか諦めも見えたが、まだ何かあるのか表情から余裕が消えない。
「待っててリョカ、今終わらせるから……、そうしたらもう我儘を言わないで、私についてきて……」
 サンタローズの村で遊んだ時と同じように語り掛けるビアンカは過去を失っているわけではない。だから、余計に悔しかった。
「貴女はよく戦ったわ。でも、私の行き先を阻むことは適わない。ここで終わりになさい」
 鋭い爪を振るい、歩み寄るビアンカ。フローラは未だ精霊を集めようと印を組む。
「まだ悪あがき? 抵抗しなければ楽にしてあげられるの。だから、お願い……」
 フローラは聞く耳も持たず、今度は足で地面を蹴る。地団太を踏むにはその表情は真剣であり、集まる精霊は大地、風、水、炎と様々。
「悪あがきなんて、ゴルドスミス家の名が泣きますわ。もともとこれが本命!」
 両手、両足に集まる精霊、さらに口頭でのささやきで五つの眩い光が現れる。それらが彼女の胸の前で合わさり、新たな魔法となって収束する。
「この魔法、まだ名前はありません。至上の意味を込めてアンテ……、そう名付けますわ!」
 前面に出来上がった楕円球を弓のように構えると、数発の光の矢を放つ。それは光の早さで飛んで行き、ビアンカの服の袖を切る。威嚇だけではない。まだ制御ができていないのだ。
「く、まだこんな力を!?」
 速度においてはかわすこともできないだろう。けれど距離を取れば武芸のたしなみの無いフローラの魔法の矢を当てることなどできないだろう。初動で警戒をされたことで、初めてフローラの顔に険しさが来る。
「逃がすわけにもいかんな!」
 そこへ雷がビアンカ目掛けて落ちる。雷撃のダメージで戸惑う彼女の背後にテリーが落ちてきて、彼女を羽交い絞めにすると、そのまま鉄の塊へと変わる。
「さあ、その魔法でとどめをさせ!」
「な、テリーさん! ビアンカをどうするつもりなんですか! それじゃあビアンカが!」
 話の違うことに驚きを隠せないリョカは、ようやく立ち上がる。
「ビアンカが魔族を選ぶようならこれも仕方あるまい! 刺し違える覚悟で魔王を倒すのが勇者の役目!」
「そんな勇者認められるか!」
 リョカは駆け出し、ビアンカの前に立つ。同時にジャミも続く。
「僕の全魔力をかけて止めてみせる!」
「人間が魔王様を守るというのか退け!」
 互いにビアンカの盾になることを譲らない二人。その間にもフローラのアンテは大きさを増す。
 リョカはマホステを纏い、ジャミはマホカンタを最大で張る。
「リョカ! お願い逃げて! ただの人間の貴方では!」
 足手まといと言いたいのだろう。そのことは彼自身身に染みている。
 魔王と対峙する天才魔導士に勇者。そこにたかが人間にすぎないリョカがあがいたところでどうなれるというのか?
「僕は、君を!」
「そんなに大切なら、一緒に死になさい!」
 そして放たれるフローラの新魔法……が、
「うぐ……」
 自然と霧散する白い光。お腹を抑えて膝をつくフローラ。もともと身重の身体で無理をし過ぎたのだろう。
「フローラさん!」
 産気づいたのだろうか、リョカは走り、彼女の肩を抱く。
「フローラさん、早く戻りましょう。世界博物館にはお医者さんも連れているでしょう?」
「うふふ、こんな時におさんの心配だなんて、リョカさんは本当に状況判断ができませんね……」
 油汗をかき、苦しそうな顔で微笑む。リョカはそんな彼女を抱え、先ほど急に使えるようになった飛翔呪文を試す。ふわっと浮かぶ二人。博物館へと向かってゆらゆら飛ぶ。
「逃がさない!」
 ビアンカはその二人を睨みながら青白い光を放つ。するとテリーの鉄の塊化を解く。それと同時にジャミが思い切りテリーを殴る。
「参りましょう、ビアンカ様!」
 ジャミはビアンカを背に乗せると風を起こし、それに乗る。

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