FC2ブログ

目次一覧はこちら

……タイッ!?_11

シテミタイッ!

 練習が終わるのは大体午後六時頃。
 グラウンドで練習に励む生徒も日が落ちると、いつの間にかまばらになる。代わりに体育館の明かりが燈り、バスケ部の練習が始まる。
「ああーん、もう最悪。なんであたしばっかりこんな目に遭うのよ……」
 ぶつくさ不平を垂れながら倉庫に練習器具を運ぶ理恵だが、むしろそれに付き合わされる紀夫の方がいい迷惑だった。
 補習授業とはいえ、練習に遅れた理恵はペナルティとして後片付けを命じられた。
 連日のように続く補習のため、ミーティングなどを欠席することも多く、ケジメをつけろとばかりの罰則だった。
 とはいえ、高跳びのマットなど一人で運ぶには大きすぎる器具に閉口してしまうわけで、結局のところ、マネージャーだからと紀夫も付き合うことになったのだ。
「そう思うなら明日から補習受けないようにがんばってくださいよ」
「だってぇ、あたし勉強苦手なんだもん!」
「伊丹さん、僕は伊丹さんのマネージャーじゃないんですからね? そこを間違えないで下さい」
 悪びれる様子無く言う彼女はひとさし指を窄めた唇に当てて雑誌のグラビアのポーズを取るも、今日何度となく面倒ごとを押し付けられたせいか、そうそう流されることもなかった。
「ちぇ、ケチ」
 もっとも、明日の放課後になればきっとまた補習教室で彼女の指導補佐を行うことになるのだろうけれど……。
「ん、ん、よいしょっと……、ふう、終りぃ!」
 ひとまずマットをしまい終えると、今度はラダーを無造作に放り込む。すると、テニスのネットがどさっと落ちてきてしまい、こんがらがってしまう。
「あ、ちょっと、そんなことしたら絡まっちゃうよ」
 几帳面な性格の紀夫はついつい解こうとしてしまう。
「あらら、まあいいや。あとお願いね」
「ちょっと、伊丹さん?」
「もう暗いでしょ? 女の子なんだから、お願い……ね?」
 暗い夜道を一人。それはつまり……。
「あ、うん。でも、暗いなら送っていくよ。なにかあったら大変だし」
 本来の目的を思い出した紀夫は絡まるラダーを放り出し、立ち上がる。
「何いってんの? マネージャー君がいたほうが危ないじゃん。だって、男は皆狼でしょ? それとも、マネージャー君は男の子だから違うの?」
 一瞬何を言っているのかわからなかった。
 彼女からしてみれば自分は男子であり、男の子であり男のはず? いや、つまりはそういうこと……。男の子としか見られていないということだ。
「なんだよ、人がせっかく心配してるのにさ! もう、後は僕がやっとくから帰れば!」
 今日半日分のフラストレーションを爆発させた紀夫に、理恵は少しだけ驚いて見せた後、「じゃ~ね~」と気の萎える挨拶を残して去っていく。
 ――なんだよ、人がせっかく心配してるのにさ……。
 純然たる善意とは言いがたいが、彼女との帰り道になにか期待をするほど彼は温かい思考の持ち主でもない。
 ――大体、僕だってすき好んで伊丹さんなんか送るかっての。
 栗毛のポニーテールがトレードマークの伊丹理恵。スタイルはそこそこ、お尻がキュートに丸く、走るたびにブルマが捩れて、たまに違う色の布地が見えたりする。周囲に気遣う様子なく直したと思ったら、近くに居る男子に「えっち」と呟く彼女。ウザイと思われないのは、その容姿と愛想笑いにあるのだろうか?
 ――伊丹さん、結構可愛いよなあ。んでも、彼氏いたんだし、さっきのこと考えると、非処女なのかな? あはは、何考えてんだろ……。
 絡まった網を解き、ついでにネットをたたむ。細かい作業は得意ではなく、明かりの少ない倉庫ではかなり面倒な作業だった。頭に上っていた血も次第に降りてくる。作業が終りに近づくと、今度は先ほどまでのやり取りが再生され、自分の沸点に低さをあざけりたくもなる。
 ――僕もまだまだだなあ……。
 倉庫のドアを閉めたら鍵は開け放しておく。まだ男子部員が残っているし、サッカー部も練習を続けている……が?
 ――あれ、男子部員達誰も居ないや……。
 今閉めたばかりのドアを開け、用具を確認する。よく見ると男子部員の道具もすでに収納済み。となると、すでに活動は終わっているわけで、今は部室で……。
 ――まずいよ、そんなの!
 ドアを乱暴に閉めると、四月の体力測定以来久しぶりとなる短距離走を行う紀夫だった。

**――**

 理恵がロストヴァージンをしたのはつい最近の話。
 中学の頃から付き合っていた彼氏と春休みの終りに肌を重ねたのが初めてだった。
 最初は身体が裂けるほどの痛みを覚え、彼氏に憚ることなく泣き出してしまった。
 個人練習と称して自慰を行うこと週二回、それなりに快感を覚えるようになっていた。
 リベンジに燃える理恵は新品のコンドームとお気に入りの下着を身に付けていざ彼の元へと走る。しかし、彼の部屋で見たものは自分よりも数十センチ長い黒の髪の毛。彼氏に姉、妹がいないことから、彼女は浮気に気付いてしまった。
 彼がシャワーを浴びている隙に抜け出したが、胸中は複雑だった。
 そして、疼く気持も……。
 ――もう一度セックスをしてみたい。男の子達に好きだの愛しているだの歯の浮く台詞を言われながら騙されたい。
 非処女の友人の言う気持ちの良いエッチがしてみたかった。

 だからだろうか?
 悟たちのみえみえな手口に乗ったのは……。

続く

Trackback

Trackback URL
http://13koharu.blog73.fc2.com/tb.php/77-203a8e43

Comment

Comment Form
公開設定

プロフィール

小春十三

Author:小春十三
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ

創作検索ぴあすねっとNAVI
dabundoumei
trt
オンライン小説/ネット小説検索・ランキング-HONなび  
リンク予定


二次元世界の調教師様のサイトです。



無料アクセス解析